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ひとりの青年が腰ほどある石に座り、前屈みで一心不乱に生産作業に勤しんでいた。
──終わってないぃぃ!
様子を覗うように魔獣が青年を取り囲みながら一定の距離で身を潜めている。
張り詰めた緊張感があたりに漂う。
それを破るかのように、青年の独り言が紡がれる。
「はっ、はっ、うっ、はっ、それっ、すごいっ」
──なにがっ?!
魔獣がいることをわかって続けているなら、俺が隠れて動向を覗う必要はない。だが、どちらなのか判別がつかずつい様子を見てしまう。
「あ、あ、深っ……はっ、はっ」
後ろ姿しか確認できないが、二人いるようには見えない。
──ひぃ、一体なんのプレイ?!
神経を研ぎ澄ましても、人の気配はひとつなのでやはりソロプレイヤーなのだろう。
「はっ、ナカがっ……くっ、締め殺す気かっ……」
──俺が絞め殺したくなるから、さっさと終わらせろ!
「うぁっ、はっ、奥までっ、引きずり……、込まれそうっ」
──どこに?! ヤダヤダ怖い! その口閉じろっ!
「もぅ、はっ、可愛いっ、はっ、好きっ、イきそうっ、はっ」
──お願いだから、一刻も早く終わらせてっ!!
「はっ、ふっ、ベルッ……好きっ、ベルッ」
──…………は? ……………いやいや。落ち着こう。
俺は緩く首を振った。
ベルという愛称や名前など腐るほどいる。
モテ期など一度も来たことのないこの俺が妄想のオカズになるはずはない。
動揺しそうになったことを恥じた。
──キノセイ、キノセイ、チガウヨ。
そう考えていたら空気が揺れた気がした。
ツッコミを入れるのに夢中になり、魔獣の気配を追うのを失念していた。
動き出した先から姿を見せたのは複数のウルフだ。
咄嗟に剣の柄に手をあて構える。そして、全体に意識を向けた。
青年に飛びかかろうとするウルフに一息で近づき、鞘から抜き払った剣で撫でるように真横から切りつける。
左から走ってきたウルフは足で蹴りあげ、右から襲いかかるウルフを脳天めがけて剣を振り下ろす。
青年を庇うようにまだ数匹いるウルフの前へと移動する。
「早くしまえ」
青年に向かって声をかける。
背後を少し振り返ると、ポカンとこちらを見上げる青年は動きは止めたものの、ズボンの前を寛げ、未だに猛る自身を握りしめている。
「…………」
青年は俺と同じくらいの体格で髪は黒く肌は浅黒い。目の虹彩は金色で整った顔立ちをしている。
「おい?」
声をかけるが反応がない。時が止まってしまったように、青年は瞬きすらしない。
第七師団の隊服を着ているので、部下にあたるはずだ。
しかし、こんな男いただろうか? 金の目など珍しく、一度見たら忘れない。
しかし、その虹彩はどこか懐かしい気持ちにさせる。
そんな気持ちになることが不思議で、内心首を捻った。
ワイルドな見た目は貫禄があるし、ウルフを怖がっている様子もない。
ゆえに、ウルフごときに遅れをとるとは思えないのだ。
理由など考えてもわからず、ため息を抑えてウルフに向き直る。
「わぁー! ベルだっ!」
その直後、ウルフを前にして後ろから羽交い締めにされ地面に押し倒される。
──まだ、ウルフが居るんだけどっ?!
「……夢かな? 夢なのかな?!」
──俺も夢にしたいぃぃっ!
──終わってないぃぃ!
様子を覗うように魔獣が青年を取り囲みながら一定の距離で身を潜めている。
張り詰めた緊張感があたりに漂う。
それを破るかのように、青年の独り言が紡がれる。
「はっ、はっ、うっ、はっ、それっ、すごいっ」
──なにがっ?!
魔獣がいることをわかって続けているなら、俺が隠れて動向を覗う必要はない。だが、どちらなのか判別がつかずつい様子を見てしまう。
「あ、あ、深っ……はっ、はっ」
後ろ姿しか確認できないが、二人いるようには見えない。
──ひぃ、一体なんのプレイ?!
神経を研ぎ澄ましても、人の気配はひとつなのでやはりソロプレイヤーなのだろう。
「はっ、ナカがっ……くっ、締め殺す気かっ……」
──俺が絞め殺したくなるから、さっさと終わらせろ!
「うぁっ、はっ、奥までっ、引きずり……、込まれそうっ」
──どこに?! ヤダヤダ怖い! その口閉じろっ!
「もぅ、はっ、可愛いっ、はっ、好きっ、イきそうっ、はっ」
──お願いだから、一刻も早く終わらせてっ!!
「はっ、ふっ、ベルッ……好きっ、ベルッ」
──…………は? ……………いやいや。落ち着こう。
俺は緩く首を振った。
ベルという愛称や名前など腐るほどいる。
モテ期など一度も来たことのないこの俺が妄想のオカズになるはずはない。
動揺しそうになったことを恥じた。
──キノセイ、キノセイ、チガウヨ。
そう考えていたら空気が揺れた気がした。
ツッコミを入れるのに夢中になり、魔獣の気配を追うのを失念していた。
動き出した先から姿を見せたのは複数のウルフだ。
咄嗟に剣の柄に手をあて構える。そして、全体に意識を向けた。
青年に飛びかかろうとするウルフに一息で近づき、鞘から抜き払った剣で撫でるように真横から切りつける。
左から走ってきたウルフは足で蹴りあげ、右から襲いかかるウルフを脳天めがけて剣を振り下ろす。
青年を庇うようにまだ数匹いるウルフの前へと移動する。
「早くしまえ」
青年に向かって声をかける。
背後を少し振り返ると、ポカンとこちらを見上げる青年は動きは止めたものの、ズボンの前を寛げ、未だに猛る自身を握りしめている。
「…………」
青年は俺と同じくらいの体格で髪は黒く肌は浅黒い。目の虹彩は金色で整った顔立ちをしている。
「おい?」
声をかけるが反応がない。時が止まってしまったように、青年は瞬きすらしない。
第七師団の隊服を着ているので、部下にあたるはずだ。
しかし、こんな男いただろうか? 金の目など珍しく、一度見たら忘れない。
しかし、その虹彩はどこか懐かしい気持ちにさせる。
そんな気持ちになることが不思議で、内心首を捻った。
ワイルドな見た目は貫禄があるし、ウルフを怖がっている様子もない。
ゆえに、ウルフごときに遅れをとるとは思えないのだ。
理由など考えてもわからず、ため息を抑えてウルフに向き直る。
「わぁー! ベルだっ!」
その直後、ウルフを前にして後ろから羽交い締めにされ地面に押し倒される。
──まだ、ウルフが居るんだけどっ?!
「……夢かな? 夢なのかな?!」
──俺も夢にしたいぃぃっ!
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