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転がるのは程々にしてください
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物資倉庫の整理から数日が経ち、魔物討伐の遠征が正式に決まった。
申請と承認。このあたり本当に回りくどい手続きだと感じる。
そして、明日の朝には王都を立ち現地に向かうことになった。
現地の旅団を率いる旅団長からはワイバーンという飛竜がおかしな行動をしていると報告があり、こちらの準備が整い次第人員を送って欲しいという事だった。
王都をしばらく離れるため、個人的に使う薬を買いに俺は城下にある薬屋へと足を運んでいる。
薬屋と言っても店主の気まぐれで雑用品がいくつか置かれているため雑多な雰囲気だ。
「師団長様も魔物退治にかり出されて大変ねぇ」
労うように声をかけてくれるのは、大人の色気で男どもを虜にする女、サラだ。
年齢は不詳だが薬の効きも良く、評判のいい薬師である。
「これがないと、落ち着かなくてな」
見慣れた小さな包みには粉末状の薬が入っている。
一回の分量が俺の身体に合わせて計量されているため、安心して服用ができる。
サラが計量し包みに入れるという作業をカウンターごしで見ながら待っていた。
「うふふ、私の薬を愛用してくれるのは嬉しいわぁ。いつも傍に置いておきたいって言ってくれているようなものじゃない」
「あぁ、サラが時間をかけて大事に作ってくれたものだから、御守りのようにいつも懐に入れている。いつもありがとう」
「照れるわね~、いい子にはアメちゃんあげちゃうわよ~」
オマケよと、振り返って棚から飴玉を取り出そうとしていた。毎回俺を小さな子どもと同じ扱いをしてくるので、相当歳を重ねているのだろう。見た目には俺とそう変わらないのに。
「もちろんだ。ん? 髪に花びらがついてるぞ」
その花に気づいた俺は嬉しくなって口が緩む。
「え、あらぁ。見えないから取ってくれるかしら? さっきまで、店番を頼んで薬の材料を買いに外へ行ってたの。今日は風が強かったからどこかで付いてしまったのね」
「あぁ」
髪についた花びらを摘み、その花を見てリズウェンを思い出す。
サラの髪はリズウェンと同じ豊かな黒髪だ。リズウェンの髪もこんな風に撫でることができたらと、サラの柔らかな髪を撫でる。
リズウェンの黒髪は、どんな手触りなのだろう。
「ほら、花びらが取れたよ」
子どものように扱われたから照れているのだろう、バシバシと腕を叩いてきた。
痛くはないが、子どもに対して叩く力加減を間違っているのではないだろうか。叩かれる腕が盛大な音をたてている。
「ありがとうね……あ、飴ちゃんあげるから、あーんして?」
言われるがまま口を開けようとすると──。
そこに咳払いをしながら割り込んでくるものがいた。
「クラウ師団長。こんなところで戯れるとは、はしたないですよ。場所を弁えてください」
不機嫌そうな表情をしたリズウェンだった。
「リ…….、バロル師団長?」
薬が必要になるとは体調でも悪いのではないかと考えつつも、リズウェンの姿に釘付けになる。
「口説くなら彼女の仕事終わりにした方がいい。彼女だとて困るでしょう?」
「え、あ、すまない」
口説いていた訳では決してないが、そう見えていたのなら不愉快な思いをさせて悪かったなと思う。
「リ......バロル師団長。あの、頭に花びらが……」
薄紅色の花びらがリズウェンのツヤツヤと輝く黒髪に絡まり美しさを引き立たせている。
彼の代名詞としている花を纏うリズウェンは、美しさに際限がない。
しかし、どんな花吹雪の中を歩いてくれば、花飾りのような様相になるのだろう。
髪の至るところに何枚も花びらが絡まっているので取るのに一苦労しそうだ。
「そうですか」
視線を俺から外しているにも関わらず、いつまでも自分で取ろうとしないリズウェンの態度を見かねたサラが、カウンターの後ろにある休憩部屋を貸してくれた。
「わ、私のことはお気になさらずに、ごふっ、いや、大丈夫だかっ、ぐふっ」
カウンターに両手をつき、サラは何かを耐えるように噴き出しては俯いている。──本当に大丈夫だろうか?
俺は椅子に座らせたリズウェンの姿に感動を覚えながら、ひたすら髪に絡まった花びらを一枚ずつ丁寧にとる。
シャープな輪郭の中に収まるのは、長い睫毛にアーモンド型の目、宵闇を思わせる虹彩は落ち着いた色合いを見せ、瞳はさらに黒曜のように輝いている。
そして、高く通った鼻梁、艶やかで柔らかそうな唇。
手足は長く、痩身に見えてしっかりと鍛えられた身体は芸術さながらの美しさだ。
──リズウェンが完璧すぎて心臓が痛い。
「リズ……バロル師団長。絡まっていた花びらは全部取れたが、他に違和感はないか?」
「いえ、ないですね。ありがとうございます」
そう言って立ち上がろうとして、体勢を崩したのか俺の胸に寄りかかってきた。
──え? どこか体調でも悪いとか……?!
支えるようにリズウェンの身体に抱きしめるように手を回す。
「………」
薬を求めてサラの店に訪れたくらいだ。体調が悪いのかもしれない。
慌ててリズウェンの身体を確かめるようにあちらこちらに触れる。
「べ、別に体調は悪くありませんよ。胸が苦しいだけで」
──そ、それ、ホッとできないヤツ!
「さ、サラ?! リ、リズが死ぬ!」
狼狽え慌てた俺はつい愛称で呼んでしまったが、そんなことよりもリズウェンの生命の危機なのだ。
「ごっ」
サラが床を転がり、のたうつ様に苦しみ出した。
「サラもなのかっ?!」
いきなりの緊急事態にリズウェンを抱きしめることしかできない。
リズウェンがこのまま儚くなるようなことがあったら、俺は生きていけないだろう。
「リズ、まだ苦しいか?! ど、どうしたら治るんだ?!!」
「っ!」
ゴンッ
ものすごい音がした方を見ると、サラが床を転がり壁に頭を打ちつけている姿だった。
俺でも見たことのない症状だ。
どんな病気かもわからず、リズウェンを失うかもしれないことに、恐怖から血の気が引くのを感じる。
「い、いえ、私も彼女も病気ではありませんので……」
俺の顔色とは対照的にリズウェンは血行が良さそうな頬になっている。
「そ、そうよっ! 病気などではないわっ!」
大丈夫であれば、サラは床から立ち上がれるはずだ。それなのに転がったままというのはおかしいのではないだろうか。
──本当に大丈夫なのか?
「…………」
「ふざけすぎましたね」
申し訳なさそうな顔をするリズウェンは、俺の腕を解くよう視線を向ける。
大人しく従うと彼の腕が頭に伸ばされ撫でられた。
驚きのあまり俺の身体が硬直する。
撫でられるたび、ゆるゆると身体が弛緩していくのがわかった。
頭を突き出すようにリズウェンの手に擦り寄る。
リズウェンの手のひらの感触に感動しながら、じっとしていると、こちらを観察するように見ているサラと目が合った。
「ぶへぁ、ぐっ。も、猛獣が調教されっ、ぐふぉっ」
残念な感じになったサラが再び、カウンターに向き直り両手を置いて、肩を小刻みに揺らし俯いている。──サラは持病でもあるのかもしれない。
サラを心配するように窺っていると、リズウェンは面白くなさそうにフンッと鼻を鳴らす。
頭を撫でてくれていた手は離れてしまった。
「大丈夫なのか?」
「身体に何かあるわけではありません。個人的な問題ですから。世話をかけました」
リズウェンは目元を赤くして、立ち直ったらしいサラに無造作に棚から持ってきた品物の精算を頼むとそのまま去っていった。
呆気に取られた俺はリズウェンを見送るしかできない。
しかし、なぜか再び転がるサラ。床を叩いて酸素を寄越せと喚いていた。
「じ、潤滑……じゅ、じゅんか……ざぃって、ふぐっ、死ぬっ」
「おいっ、サラ?! 死ぬなよ!?」
「わた、私は、だい、じょうぶ、よ……」
全然大丈夫そうには見えない。瀕死に見える。
なぜか、サラに涙目で応援を受け、購入予定だった薬は支払いをすることなく押しつけるように渡され店から追い出された。
結局、何が何だかわからないまま俺は帰路に着く。
──『麗しの花』は病気ではない。
と、いうことがわかっただけでも、大きな収穫だ。
健康第一。
ちなみに、俺がサラに調合してもらっている薬は胃薬である。
申請と承認。このあたり本当に回りくどい手続きだと感じる。
そして、明日の朝には王都を立ち現地に向かうことになった。
現地の旅団を率いる旅団長からはワイバーンという飛竜がおかしな行動をしていると報告があり、こちらの準備が整い次第人員を送って欲しいという事だった。
王都をしばらく離れるため、個人的に使う薬を買いに俺は城下にある薬屋へと足を運んでいる。
薬屋と言っても店主の気まぐれで雑用品がいくつか置かれているため雑多な雰囲気だ。
「師団長様も魔物退治にかり出されて大変ねぇ」
労うように声をかけてくれるのは、大人の色気で男どもを虜にする女、サラだ。
年齢は不詳だが薬の効きも良く、評判のいい薬師である。
「これがないと、落ち着かなくてな」
見慣れた小さな包みには粉末状の薬が入っている。
一回の分量が俺の身体に合わせて計量されているため、安心して服用ができる。
サラが計量し包みに入れるという作業をカウンターごしで見ながら待っていた。
「うふふ、私の薬を愛用してくれるのは嬉しいわぁ。いつも傍に置いておきたいって言ってくれているようなものじゃない」
「あぁ、サラが時間をかけて大事に作ってくれたものだから、御守りのようにいつも懐に入れている。いつもありがとう」
「照れるわね~、いい子にはアメちゃんあげちゃうわよ~」
オマケよと、振り返って棚から飴玉を取り出そうとしていた。毎回俺を小さな子どもと同じ扱いをしてくるので、相当歳を重ねているのだろう。見た目には俺とそう変わらないのに。
「もちろんだ。ん? 髪に花びらがついてるぞ」
その花に気づいた俺は嬉しくなって口が緩む。
「え、あらぁ。見えないから取ってくれるかしら? さっきまで、店番を頼んで薬の材料を買いに外へ行ってたの。今日は風が強かったからどこかで付いてしまったのね」
「あぁ」
髪についた花びらを摘み、その花を見てリズウェンを思い出す。
サラの髪はリズウェンと同じ豊かな黒髪だ。リズウェンの髪もこんな風に撫でることができたらと、サラの柔らかな髪を撫でる。
リズウェンの黒髪は、どんな手触りなのだろう。
「ほら、花びらが取れたよ」
子どものように扱われたから照れているのだろう、バシバシと腕を叩いてきた。
痛くはないが、子どもに対して叩く力加減を間違っているのではないだろうか。叩かれる腕が盛大な音をたてている。
「ありがとうね……あ、飴ちゃんあげるから、あーんして?」
言われるがまま口を開けようとすると──。
そこに咳払いをしながら割り込んでくるものがいた。
「クラウ師団長。こんなところで戯れるとは、はしたないですよ。場所を弁えてください」
不機嫌そうな表情をしたリズウェンだった。
「リ…….、バロル師団長?」
薬が必要になるとは体調でも悪いのではないかと考えつつも、リズウェンの姿に釘付けになる。
「口説くなら彼女の仕事終わりにした方がいい。彼女だとて困るでしょう?」
「え、あ、すまない」
口説いていた訳では決してないが、そう見えていたのなら不愉快な思いをさせて悪かったなと思う。
「リ......バロル師団長。あの、頭に花びらが……」
薄紅色の花びらがリズウェンのツヤツヤと輝く黒髪に絡まり美しさを引き立たせている。
彼の代名詞としている花を纏うリズウェンは、美しさに際限がない。
しかし、どんな花吹雪の中を歩いてくれば、花飾りのような様相になるのだろう。
髪の至るところに何枚も花びらが絡まっているので取るのに一苦労しそうだ。
「そうですか」
視線を俺から外しているにも関わらず、いつまでも自分で取ろうとしないリズウェンの態度を見かねたサラが、カウンターの後ろにある休憩部屋を貸してくれた。
「わ、私のことはお気になさらずに、ごふっ、いや、大丈夫だかっ、ぐふっ」
カウンターに両手をつき、サラは何かを耐えるように噴き出しては俯いている。──本当に大丈夫だろうか?
俺は椅子に座らせたリズウェンの姿に感動を覚えながら、ひたすら髪に絡まった花びらを一枚ずつ丁寧にとる。
シャープな輪郭の中に収まるのは、長い睫毛にアーモンド型の目、宵闇を思わせる虹彩は落ち着いた色合いを見せ、瞳はさらに黒曜のように輝いている。
そして、高く通った鼻梁、艶やかで柔らかそうな唇。
手足は長く、痩身に見えてしっかりと鍛えられた身体は芸術さながらの美しさだ。
──リズウェンが完璧すぎて心臓が痛い。
「リズ……バロル師団長。絡まっていた花びらは全部取れたが、他に違和感はないか?」
「いえ、ないですね。ありがとうございます」
そう言って立ち上がろうとして、体勢を崩したのか俺の胸に寄りかかってきた。
──え? どこか体調でも悪いとか……?!
支えるようにリズウェンの身体に抱きしめるように手を回す。
「………」
薬を求めてサラの店に訪れたくらいだ。体調が悪いのかもしれない。
慌ててリズウェンの身体を確かめるようにあちらこちらに触れる。
「べ、別に体調は悪くありませんよ。胸が苦しいだけで」
──そ、それ、ホッとできないヤツ!
「さ、サラ?! リ、リズが死ぬ!」
狼狽え慌てた俺はつい愛称で呼んでしまったが、そんなことよりもリズウェンの生命の危機なのだ。
「ごっ」
サラが床を転がり、のたうつ様に苦しみ出した。
「サラもなのかっ?!」
いきなりの緊急事態にリズウェンを抱きしめることしかできない。
リズウェンがこのまま儚くなるようなことがあったら、俺は生きていけないだろう。
「リズ、まだ苦しいか?! ど、どうしたら治るんだ?!!」
「っ!」
ゴンッ
ものすごい音がした方を見ると、サラが床を転がり壁に頭を打ちつけている姿だった。
俺でも見たことのない症状だ。
どんな病気かもわからず、リズウェンを失うかもしれないことに、恐怖から血の気が引くのを感じる。
「い、いえ、私も彼女も病気ではありませんので……」
俺の顔色とは対照的にリズウェンは血行が良さそうな頬になっている。
「そ、そうよっ! 病気などではないわっ!」
大丈夫であれば、サラは床から立ち上がれるはずだ。それなのに転がったままというのはおかしいのではないだろうか。
──本当に大丈夫なのか?
「…………」
「ふざけすぎましたね」
申し訳なさそうな顔をするリズウェンは、俺の腕を解くよう視線を向ける。
大人しく従うと彼の腕が頭に伸ばされ撫でられた。
驚きのあまり俺の身体が硬直する。
撫でられるたび、ゆるゆると身体が弛緩していくのがわかった。
頭を突き出すようにリズウェンの手に擦り寄る。
リズウェンの手のひらの感触に感動しながら、じっとしていると、こちらを観察するように見ているサラと目が合った。
「ぶへぁ、ぐっ。も、猛獣が調教されっ、ぐふぉっ」
残念な感じになったサラが再び、カウンターに向き直り両手を置いて、肩を小刻みに揺らし俯いている。──サラは持病でもあるのかもしれない。
サラを心配するように窺っていると、リズウェンは面白くなさそうにフンッと鼻を鳴らす。
頭を撫でてくれていた手は離れてしまった。
「大丈夫なのか?」
「身体に何かあるわけではありません。個人的な問題ですから。世話をかけました」
リズウェンは目元を赤くして、立ち直ったらしいサラに無造作に棚から持ってきた品物の精算を頼むとそのまま去っていった。
呆気に取られた俺はリズウェンを見送るしかできない。
しかし、なぜか再び転がるサラ。床を叩いて酸素を寄越せと喚いていた。
「じ、潤滑……じゅ、じゅんか……ざぃって、ふぐっ、死ぬっ」
「おいっ、サラ?! 死ぬなよ!?」
「わた、私は、だい、じょうぶ、よ……」
全然大丈夫そうには見えない。瀕死に見える。
なぜか、サラに涙目で応援を受け、購入予定だった薬は支払いをすることなく押しつけるように渡され店から追い出された。
結局、何が何だかわからないまま俺は帰路に着く。
──『麗しの花』は病気ではない。
と、いうことがわかっただけでも、大きな収穫だ。
健康第一。
ちなみに、俺がサラに調合してもらっている薬は胃薬である。
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