茄子

或る年の晩夏、私は人里離れた、もう天狗でも棲んで居そうな森の奥を歩いて居た。
この森だけに生息する、大変珍しい虫を探しに来たのだ。私は、研究者の端くれだ。然し、端くれでも研究成果を論文にすると言う仕事がある。その論文の内容を、私は自分の得意分野である「虫」にした。
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