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第一章
サボりの代償
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「…ったく。なんで俺が資料の返却なんかしなきゃなんないんだよ…。」
ブツブツ文句を言いながら城の図書室に向かって歩く1人の騎士の青年。
手には分厚い資料の束を抱えている。
「ジーンに見つかりさえしなければ、今頃はマリーちゃんとアンナコトやコンナコトを…。」
恨めしそうに呟きながら青年はため息をつくと、ふと窓の外を眺めた。
自身の瞳の色と同じような快晴の空に目を細める。庭園では庭師が少し暑そうにしながらもせっせと作業をしていた。
庭園から視線を移すと、先ほど休憩を共にしないかと誘いそびれたメイドのマリーが他のメイドと何やら話しているのが見え、青年は再び盛大なため息をつくのだった。
「何ぼんやり外なんか眺めてるんだ、アロン。手に持ってるそれはさっき返却を頼んだ資料だろう?まだ返しに行って無かったのか…。」
窓の外をぼけーっと眺めていた騎士の青年、ー…アロン…ーに、呆れたといった口調で話しかけたのはアッシュグレーの髪の長身の青年。格好を見るに彼も騎士のようだ。
「!ジーン…。図書室の場所がわからなくて時間くったんだよ。俺、んなとこ普段行かねーし。」
アロンと呼ばれた青年、アロンダイトは窓の外を眺めていた顔をアッシュグレーの髪の青年の方に向ける。道草がバレてしまいその表情は少しバツが悪そうだ。
アッシュグレーの髪をサラりと揺らしながらアロンダイトの方へ向かって来るもう1人の騎士が、さっきアロンの愚痴に出てきた人物、ジーンことユージーンである。
「場所がわからないなら聞けば良いだろう。ったく、今度は資料の返却を理由に仕事をサボる気じゃないだろうな…。」
「はぁ!?そんなん言うならお前が返しに行けば良かっただろ!?」
少し道草をくってはいたが、資料の返却を長引かせて仕事をサボる気など無かったアロンダイトは心外だとユージーンにくってかかる。
しかし、ユージーンにああ言われても仕方ないほどにアロンダイトにはサボりの前科が山ほどあった。…というか、今彼が頼まれている資料の返却自体が、実はサボりの罰なのである。
…少し時間を遡る。
後輩に仕事を変わって貰ったアロンダイトは、ちょうど休憩に入るところだったメイドのマリーに話しかけていた。
…というか、半分押し倒していた。
「ア、アロン様…こんな場所では…人に見られてしまいます…っ。」
「…それって…人に見られない場所なら…良いってこと…?」
壁に持たれかかるマリーに覆い被さるような体勢のアロンダイトはマリーの耳元に唇を寄せて甘く囁いた。
頬を赤く染め、潤んだ瞳で見つめるマリー…。
アロンダイトが心の中で、
(フッ…堕ちたな…。)
とほくそ笑んだ、その時。
「…後輩に仕事を押し付けて何をやっているんだ、アロン。」
これから燃え上がろうとしていた2人の炎は、横から出てきた1人の青年の声に跡形もなく消し飛ばされた。
現れたのはそう、ユージーンである。
「ユ、ユージーン様…。」
「げっ…ジーン…。」
赤くなっていた顔を、今度は青ざめさせながら慌てるマリー。
それに対してアロンダイトは面倒なことになった…と渋い顔をしている。
(“まだ”ナニもしてないっつーの…。)
などと、下品なことを心で呟きながらマリーに覆いかぶさる体勢になっていた身体を退かす。
「…アロンが迷惑をかけた。君も忙しいだろう?コイツは放っておいて仕事に戻って大丈夫だよ。」
アロンダイトが退いたことで自由に動けるようになったマリーに、ユージーンはニッコリ笑って声をかけた。
ユージーンの表情はニコニコとした爽やかな笑顔を描いてはいるが、目はマリーに早くここから立ち去れと告げている。
間違っても、休憩中なのでお気遣いなく、なんて言える雰囲気ではない。
「し、失礼致します…っ。」
「あ、マリーちゃんっ!」
アロンダイトはマリーの背中に向かって呼びかけるが、マリーは顔を更に青くしながら慌てて走り去って行ってしまった。
「おい。邪魔すんなよ、ジーン…。」
「お前が後輩に見回りを押し付けてサボってるのが悪い。」
恨めしそうに見つめるアロンダイトをユージーンはバッサリと切り捨てる。
しかしアロンダイトは全く悪びれる素振りを見せず、それどころかまだブツブツ文句を言っている。
「…押し付けたなんて人聞きが悪い。向こうから代わりましょうか?って言ってきたんだよ。」
「どうせ、お前が無理やり言わせたんだろうが。まったく、幼なじみだからって毎度毎度お前が何かやらかす度に尻拭いさせられる俺の身にもなれ。」
別に頼んで無いし…という反論をアロンダイトはすんでのところで飲み込む。
これ以上怒らせるとユージーンがお説教モードに入ってしまうからだ。
お説教モードのユージーンはとにかくめんどくさい。幼少の頃から今に至るまで自分がどれだけアロンダイトに迷惑をかけられたかを、くどくどとノンストップで語り出すのだ。
遠い昔のことまで掘り返してアレコレ言われ、反論しようものなら倍以上のお小言で返される。
そんなことは真っ平御免なので、ここは反論せずに反省した素振りを見せることにしておく。
「あー…悪かったよ。これからは気を付ける。…なるべく。」
表情だけは反省している雰囲気を醸し出してはいるが、全く気をつける気など無いことを最後にボソリと付け足された「なるべく」という言葉が示していた。
「何回同じようなセリフを聞いただろうな。さすがにもう聞き飽きたよ…。」
辟易したといった風なユージーン。いつもならアロンダイトが謝罪の言葉を口にすれば、やれやれと言った感じでお小言はおしまいになるのだが、今日は終わる様子を見せない。
ヤバい、お説教モード突入か…と焦っているアロンダイトにユージーンは手に持っていた資料の束を差し出した。
アロンダイトは訳も分からずにとりあえず資料の束を受け取る。
「…図書室から借りていた資料だ。返却して来てくれ。」
「は?なんで俺が?図書室なんて入ったことねーよ。」
「俺の気がすむまで説教されるか、資料の返却に行くか選べ。」
「…イッテキマス。」
…という訳で、冒頭のあのシーンに至るのだった。
ブツブツ文句を言いながら城の図書室に向かって歩く1人の騎士の青年。
手には分厚い資料の束を抱えている。
「ジーンに見つかりさえしなければ、今頃はマリーちゃんとアンナコトやコンナコトを…。」
恨めしそうに呟きながら青年はため息をつくと、ふと窓の外を眺めた。
自身の瞳の色と同じような快晴の空に目を細める。庭園では庭師が少し暑そうにしながらもせっせと作業をしていた。
庭園から視線を移すと、先ほど休憩を共にしないかと誘いそびれたメイドのマリーが他のメイドと何やら話しているのが見え、青年は再び盛大なため息をつくのだった。
「何ぼんやり外なんか眺めてるんだ、アロン。手に持ってるそれはさっき返却を頼んだ資料だろう?まだ返しに行って無かったのか…。」
窓の外をぼけーっと眺めていた騎士の青年、ー…アロン…ーに、呆れたといった口調で話しかけたのはアッシュグレーの髪の長身の青年。格好を見るに彼も騎士のようだ。
「!ジーン…。図書室の場所がわからなくて時間くったんだよ。俺、んなとこ普段行かねーし。」
アロンと呼ばれた青年、アロンダイトは窓の外を眺めていた顔をアッシュグレーの髪の青年の方に向ける。道草がバレてしまいその表情は少しバツが悪そうだ。
アッシュグレーの髪をサラりと揺らしながらアロンダイトの方へ向かって来るもう1人の騎士が、さっきアロンの愚痴に出てきた人物、ジーンことユージーンである。
「場所がわからないなら聞けば良いだろう。ったく、今度は資料の返却を理由に仕事をサボる気じゃないだろうな…。」
「はぁ!?そんなん言うならお前が返しに行けば良かっただろ!?」
少し道草をくってはいたが、資料の返却を長引かせて仕事をサボる気など無かったアロンダイトは心外だとユージーンにくってかかる。
しかし、ユージーンにああ言われても仕方ないほどにアロンダイトにはサボりの前科が山ほどあった。…というか、今彼が頼まれている資料の返却自体が、実はサボりの罰なのである。
…少し時間を遡る。
後輩に仕事を変わって貰ったアロンダイトは、ちょうど休憩に入るところだったメイドのマリーに話しかけていた。
…というか、半分押し倒していた。
「ア、アロン様…こんな場所では…人に見られてしまいます…っ。」
「…それって…人に見られない場所なら…良いってこと…?」
壁に持たれかかるマリーに覆い被さるような体勢のアロンダイトはマリーの耳元に唇を寄せて甘く囁いた。
頬を赤く染め、潤んだ瞳で見つめるマリー…。
アロンダイトが心の中で、
(フッ…堕ちたな…。)
とほくそ笑んだ、その時。
「…後輩に仕事を押し付けて何をやっているんだ、アロン。」
これから燃え上がろうとしていた2人の炎は、横から出てきた1人の青年の声に跡形もなく消し飛ばされた。
現れたのはそう、ユージーンである。
「ユ、ユージーン様…。」
「げっ…ジーン…。」
赤くなっていた顔を、今度は青ざめさせながら慌てるマリー。
それに対してアロンダイトは面倒なことになった…と渋い顔をしている。
(“まだ”ナニもしてないっつーの…。)
などと、下品なことを心で呟きながらマリーに覆いかぶさる体勢になっていた身体を退かす。
「…アロンが迷惑をかけた。君も忙しいだろう?コイツは放っておいて仕事に戻って大丈夫だよ。」
アロンダイトが退いたことで自由に動けるようになったマリーに、ユージーンはニッコリ笑って声をかけた。
ユージーンの表情はニコニコとした爽やかな笑顔を描いてはいるが、目はマリーに早くここから立ち去れと告げている。
間違っても、休憩中なのでお気遣いなく、なんて言える雰囲気ではない。
「し、失礼致します…っ。」
「あ、マリーちゃんっ!」
アロンダイトはマリーの背中に向かって呼びかけるが、マリーは顔を更に青くしながら慌てて走り去って行ってしまった。
「おい。邪魔すんなよ、ジーン…。」
「お前が後輩に見回りを押し付けてサボってるのが悪い。」
恨めしそうに見つめるアロンダイトをユージーンはバッサリと切り捨てる。
しかしアロンダイトは全く悪びれる素振りを見せず、それどころかまだブツブツ文句を言っている。
「…押し付けたなんて人聞きが悪い。向こうから代わりましょうか?って言ってきたんだよ。」
「どうせ、お前が無理やり言わせたんだろうが。まったく、幼なじみだからって毎度毎度お前が何かやらかす度に尻拭いさせられる俺の身にもなれ。」
別に頼んで無いし…という反論をアロンダイトはすんでのところで飲み込む。
これ以上怒らせるとユージーンがお説教モードに入ってしまうからだ。
お説教モードのユージーンはとにかくめんどくさい。幼少の頃から今に至るまで自分がどれだけアロンダイトに迷惑をかけられたかを、くどくどとノンストップで語り出すのだ。
遠い昔のことまで掘り返してアレコレ言われ、反論しようものなら倍以上のお小言で返される。
そんなことは真っ平御免なので、ここは反論せずに反省した素振りを見せることにしておく。
「あー…悪かったよ。これからは気を付ける。…なるべく。」
表情だけは反省している雰囲気を醸し出してはいるが、全く気をつける気など無いことを最後にボソリと付け足された「なるべく」という言葉が示していた。
「何回同じようなセリフを聞いただろうな。さすがにもう聞き飽きたよ…。」
辟易したといった風なユージーン。いつもならアロンダイトが謝罪の言葉を口にすれば、やれやれと言った感じでお小言はおしまいになるのだが、今日は終わる様子を見せない。
ヤバい、お説教モード突入か…と焦っているアロンダイトにユージーンは手に持っていた資料の束を差し出した。
アロンダイトは訳も分からずにとりあえず資料の束を受け取る。
「…図書室から借りていた資料だ。返却して来てくれ。」
「は?なんで俺が?図書室なんて入ったことねーよ。」
「俺の気がすむまで説教されるか、資料の返却に行くか選べ。」
「…イッテキマス。」
…という訳で、冒頭のあのシーンに至るのだった。
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