15 / 15
第3章
15
しおりを挟む
翌朝目が覚めるとまだ早い時間だった。
のそのそと起き上がりこのままラフな格好でいたいが大貴に怒られそうなので下だけ履き替えた。
洗面所に行き顔を洗い、寝癖を直す。今日はガーゼを貼るのがめんどくさかったので眼帯にした。リビングに行くとまだ誰も起きてないみたいだった。そうだよね、昨日遅くまで起きてたみたいだし。
キッチンに行きシロネコさんのマグカップに牛乳を注ぐ。少し砂糖を入れレンジで温める。冷蔵庫にあるものは自由にしてね、ただし料理はまだダメだよ。と昨日燐くんに言われたのでありがたく勝手に使う。
温まったホットミルクを持ちソファに腰掛ける。この家は空調管理されているのかどこの部屋へ行っても廊下へ行っても温度が変わらなく、涼しい。しかし、俺は朝体温が低いのでこの気温は少し肌寒く感じる。
シロネコさんを両手で持ち近くにあったタオルで体を包む。うむ、満足である。
そうしてのんびりテレビを見たりと優雅な朝のティータイムをしているとカチャっとリビングの扉が開いた。
「水樹?おはよ、もう起きてたんだねー」
燐くんが起きてきたみたいだ。ラフな服を着て髪の毛をセットしていない素の状態の燐くんだ。なんか可愛い。
「おはよう!目が覚めちゃって、燐くんこそ早くない?昨日遅かったんじゃないの?」
「う~ん、そうなんだけどみんなの朝ごはん作らなきゃだからねー」
「燐くんがいつもご飯作る人?」
「そー、みんなご飯作るのすっごい下手くそなんだよね、だから俺が料理担当。そのかわり掃除とか洗濯とかは他の3人の担当なんだよねー」
「そーなんだ。、、ねね、朝ごはん、お手伝いしちゃダメ?」
キッチンで冷蔵庫を覗き込んでいる燐くんにスススッと近寄りお手伝いを申し出る。やっちゃダメかな、少しくらい。
「んふふ。わかった、いーよ。そのかわりサラダだけね」
やった!サラダだけでも手伝えるのは嬉しい。
フライパンを扱う燐くんの隣でレタスをちぎる。
レッタッスーをちっぎりますー♪そのあとおっ水でジャブジャブジャブー♪
誰かと料理を作るのが久しぶりで嬉しい。ニコニコと笑いながら心の中で歌う。
「ッふ、ふふふ、」
燐くんが急に笑いだすのでキョトンと見つめると
「、かわいいお歌だね。さっきから、ふふ、
口に出てるよ」
カーッと顔が熱くなる。口に出てた!?あう、恥ずかしい。
あうあう言いながら赤くなったほっぺたを隠すように俯いた。
燐くんはまだ笑っている。そんな笑わなくてもいいじゃん、嬉しかったんだもん。横目で睨みつけると燐くんがごめんごめんと言って頬にキスをしてきた。
とても自然に、滑らかな動作でチュッとして何事もなかったかのようにまた料理を作り始める。
「水樹!ほらー手が止まってるよー」
「あっ、ご、ごめん」
え?あれ?俺今ほっぺにちゅーされたよね?燐くんが自然体すぎてそんなことなかったような気さえしてくる。
「………」
「……、燐くんなんで今ちゅーしたの?」
「えー?水樹が可愛かったからかなー。ごめんね我慢できなかった」
かわいい?かわいいとほっぺにちゅーするの?あ、もしかして外国の挨拶みたいな?
「あ、言っとくけど外国の挨拶じゃないからね?」
、、燐くんは俺の心の中読めるのかな
悶々と考えながら燐くんと一緒にご飯を作っていると、どんどんとみんなが起きてきた。みんなはキッチンに立ってる俺を見てギョッとした顔をしてからサラダを作ってるのを見てホッとした顔をした。
なんだよ、俺そんなに信用ない?料理だってきっとちゃんと作れるし。今はまだ燐くんに止められるけど
出来立てホヤホヤの朝ごはんをみんなで囲む。ふっくらご飯にお味噌汁。焼き鮭やベーコン、卵、そして俺が作ったサラダ。どれも美味しい。
もぐもぐと食べていると、スッと俺の前に手が伸びてきた。
「ついてるよ」
隣に座っていた燐くんが頬についていたらしきご飯粒をとってくれる。
「あ、ありがと」
さっきのほっぺちゅーのこともありドギマギしながらお礼を言う。俺顔赤くなってないかな
そんな態度をごまかそうと慌てて水を飲もうとコップを取ろうとする。が、距離感がつかめずコップは指先をかすり上手く掴めず、ガチャンッと倒してしまった。
「!、ご、ごめん!」
溢れた水を拭こうと慌てて席を立つ。
「水樹!大丈夫!?」と悠が素早く持ってきてくれたタオルで拭いてくれる。
「…大丈夫、ごめんなさい」
「謝んなくて大丈夫ですよ。誰にもそんなことはありますから」
「ああ、そんな泣きそうな顔するな。大丈夫だから。こいつもよくこぼす」
「!? そんなことないですよ!私がいつこぼしたのですか。それに食事に関しては悠の方が汚いです」
「え!急に僕!?水樹そんなことないからね!嘘だから!僕綺麗に食べられるから!」
「ふふふ」
よく分からない張り合いをし始めた2人に思わず笑みがこぼれる。
「よかった笑ったな、そんな落ち込むことないぞ。これから慣れてけばいいだろ?」
大貴がそばに来て背中にそっと手を当ててくれる。
「そうだよー、まだまだ時間はあるんだし。俺たちも協力するためにいるんだから自分だけで抱えんじゃダメだよー?」燐くんが優しい笑顔で頬を撫でてくる。
ゆっくりと落ち着いた動作なら、なんら問題なくできるのにさっきみたいに慌てたりしていると途端に難しくなる。俺、こんなに物を掴むのが難しいだなんて思ってなかった。
「うん、そうだね」
でも、まだ生活し始めたばかりだし、燐くんが言ってくれたようにみんな側にいてくれる。周りを見るとみんな心配そうにそれでいて優しい笑顔で見つめてくれる。
沈んでいた心がポカポカと暖かくなる。嬉しくなってニコニコ笑ってまた朝ごはんを食べ始めた。
心なしかさっきより美味しく感じる。食事の時とかちょっと気にしてたけど、失敗してもみんな笑って受け止めてくれる、 そう思うと心が軽くなった気がした。
のそのそと起き上がりこのままラフな格好でいたいが大貴に怒られそうなので下だけ履き替えた。
洗面所に行き顔を洗い、寝癖を直す。今日はガーゼを貼るのがめんどくさかったので眼帯にした。リビングに行くとまだ誰も起きてないみたいだった。そうだよね、昨日遅くまで起きてたみたいだし。
キッチンに行きシロネコさんのマグカップに牛乳を注ぐ。少し砂糖を入れレンジで温める。冷蔵庫にあるものは自由にしてね、ただし料理はまだダメだよ。と昨日燐くんに言われたのでありがたく勝手に使う。
温まったホットミルクを持ちソファに腰掛ける。この家は空調管理されているのかどこの部屋へ行っても廊下へ行っても温度が変わらなく、涼しい。しかし、俺は朝体温が低いのでこの気温は少し肌寒く感じる。
シロネコさんを両手で持ち近くにあったタオルで体を包む。うむ、満足である。
そうしてのんびりテレビを見たりと優雅な朝のティータイムをしているとカチャっとリビングの扉が開いた。
「水樹?おはよ、もう起きてたんだねー」
燐くんが起きてきたみたいだ。ラフな服を着て髪の毛をセットしていない素の状態の燐くんだ。なんか可愛い。
「おはよう!目が覚めちゃって、燐くんこそ早くない?昨日遅かったんじゃないの?」
「う~ん、そうなんだけどみんなの朝ごはん作らなきゃだからねー」
「燐くんがいつもご飯作る人?」
「そー、みんなご飯作るのすっごい下手くそなんだよね、だから俺が料理担当。そのかわり掃除とか洗濯とかは他の3人の担当なんだよねー」
「そーなんだ。、、ねね、朝ごはん、お手伝いしちゃダメ?」
キッチンで冷蔵庫を覗き込んでいる燐くんにスススッと近寄りお手伝いを申し出る。やっちゃダメかな、少しくらい。
「んふふ。わかった、いーよ。そのかわりサラダだけね」
やった!サラダだけでも手伝えるのは嬉しい。
フライパンを扱う燐くんの隣でレタスをちぎる。
レッタッスーをちっぎりますー♪そのあとおっ水でジャブジャブジャブー♪
誰かと料理を作るのが久しぶりで嬉しい。ニコニコと笑いながら心の中で歌う。
「ッふ、ふふふ、」
燐くんが急に笑いだすのでキョトンと見つめると
「、かわいいお歌だね。さっきから、ふふ、
口に出てるよ」
カーッと顔が熱くなる。口に出てた!?あう、恥ずかしい。
あうあう言いながら赤くなったほっぺたを隠すように俯いた。
燐くんはまだ笑っている。そんな笑わなくてもいいじゃん、嬉しかったんだもん。横目で睨みつけると燐くんがごめんごめんと言って頬にキスをしてきた。
とても自然に、滑らかな動作でチュッとして何事もなかったかのようにまた料理を作り始める。
「水樹!ほらー手が止まってるよー」
「あっ、ご、ごめん」
え?あれ?俺今ほっぺにちゅーされたよね?燐くんが自然体すぎてそんなことなかったような気さえしてくる。
「………」
「……、燐くんなんで今ちゅーしたの?」
「えー?水樹が可愛かったからかなー。ごめんね我慢できなかった」
かわいい?かわいいとほっぺにちゅーするの?あ、もしかして外国の挨拶みたいな?
「あ、言っとくけど外国の挨拶じゃないからね?」
、、燐くんは俺の心の中読めるのかな
悶々と考えながら燐くんと一緒にご飯を作っていると、どんどんとみんなが起きてきた。みんなはキッチンに立ってる俺を見てギョッとした顔をしてからサラダを作ってるのを見てホッとした顔をした。
なんだよ、俺そんなに信用ない?料理だってきっとちゃんと作れるし。今はまだ燐くんに止められるけど
出来立てホヤホヤの朝ごはんをみんなで囲む。ふっくらご飯にお味噌汁。焼き鮭やベーコン、卵、そして俺が作ったサラダ。どれも美味しい。
もぐもぐと食べていると、スッと俺の前に手が伸びてきた。
「ついてるよ」
隣に座っていた燐くんが頬についていたらしきご飯粒をとってくれる。
「あ、ありがと」
さっきのほっぺちゅーのこともありドギマギしながらお礼を言う。俺顔赤くなってないかな
そんな態度をごまかそうと慌てて水を飲もうとコップを取ろうとする。が、距離感がつかめずコップは指先をかすり上手く掴めず、ガチャンッと倒してしまった。
「!、ご、ごめん!」
溢れた水を拭こうと慌てて席を立つ。
「水樹!大丈夫!?」と悠が素早く持ってきてくれたタオルで拭いてくれる。
「…大丈夫、ごめんなさい」
「謝んなくて大丈夫ですよ。誰にもそんなことはありますから」
「ああ、そんな泣きそうな顔するな。大丈夫だから。こいつもよくこぼす」
「!? そんなことないですよ!私がいつこぼしたのですか。それに食事に関しては悠の方が汚いです」
「え!急に僕!?水樹そんなことないからね!嘘だから!僕綺麗に食べられるから!」
「ふふふ」
よく分からない張り合いをし始めた2人に思わず笑みがこぼれる。
「よかった笑ったな、そんな落ち込むことないぞ。これから慣れてけばいいだろ?」
大貴がそばに来て背中にそっと手を当ててくれる。
「そうだよー、まだまだ時間はあるんだし。俺たちも協力するためにいるんだから自分だけで抱えんじゃダメだよー?」燐くんが優しい笑顔で頬を撫でてくる。
ゆっくりと落ち着いた動作なら、なんら問題なくできるのにさっきみたいに慌てたりしていると途端に難しくなる。俺、こんなに物を掴むのが難しいだなんて思ってなかった。
「うん、そうだね」
でも、まだ生活し始めたばかりだし、燐くんが言ってくれたようにみんな側にいてくれる。周りを見るとみんな心配そうにそれでいて優しい笑顔で見つめてくれる。
沈んでいた心がポカポカと暖かくなる。嬉しくなってニコニコ笑ってまた朝ごはんを食べ始めた。
心なしかさっきより美味しく感じる。食事の時とかちょっと気にしてたけど、失敗してもみんな笑って受け止めてくれる、 そう思うと心が軽くなった気がした。
50
お気に入りに追加
1,160
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました
十夜 篁
BL
初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。
そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。
「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!?
しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」
ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意!
「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」
まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…?
「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」
「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」
健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!?
そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり…
《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。


前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。


囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる