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第3章

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シロネコさんのマグカップを両手で持ちニコニコしていると悠がソファの隣に座って頬杖をついてこちらを覗き込んできた。


「?、なーに?」


「それ、気に入った?」

「うん!シロネコさんかわいい」

「(水樹のがかわいい)それね!道人が選んだんだよ!食器とか色々見に言った時にそれじっと見つめて水樹みたい、って言ってた!」


「へぇー!そうなの?道人ありがとう!」

「あ、ああ。(悠のやつ余計なこと言うなよ)」道人は赤くなる頬を気付かれないようにそっぽを向いた。


僕は気付かずにまたネコさんカップを眺める。









燐くんがお料理してくれたご飯はとても美味しかった。みんなは俺の左側にあって、俺が見えてなかった料理をせっせと取り分けてくれる。悠に至ってはあーんをしてくる。
燐くんがお料理を作ってる時、いつのまにか大貴が隣に立ち手伝っていた。
俺が知らないうちに仲良くなってるんだな。いいなぁ僕もお手伝いしたかったのに。

わいわいとおいしいご飯を食べゆったりとしている。燐くんが洗い物をしようと立ち上がるのですかさずいっしょに立ち上がる。今度は絶対やる!

苦笑いしながら「残念だけど、食洗機があるんだよねー」と燐くんが言った。
うわぁーん!なんだよ!金持ちめ!としゅんとしながら食洗機を睨みつける。


「まぁまぁー、手伝ってくれるのはもっと生活に慣れてからでもいいじゃん。それよりほら、家の中案内してあげるよー」
燐くんになだめられお家探検が始まる。さっきまでの不機嫌さは何処へやら、パァっと笑顔になり元気よく返事をした。



「じゃあまずはー、水樹の部屋からだねー。こっちだよ。」


全員でぞろぞろと案内をしてくれる。焦げ茶色のシックな扉の前に立ち燐くんがここだよと言って扉をあける。



「うわぁー! すごい!」

すごい!すごい!


部屋の中は結構な広さがあり、家具も1人分とは思えないぐらい大きかった。特にベッドが。
ベッドは壁際に寄せられ、中央にソファとテーブルのセットがある。窓も大きく、差し込む日差しがキラキラとして部屋全体を明るく照らしている。ベッドやカーテン、カーペットなどはダークグリーンの落ち着いた色で統一されどことなく心も落ち着けて、ホッとする雰囲気がある。
窓に近づきカーテンをよく見ると細かい金糸の刺繍がされてある。つると葉っぱの刺繍が下から上に伸びていて繊細で綺麗だった。


部屋の中をうろちょろと動いて周り、ベッドやソファなどをさらっと触り、肌触りを楽しむ。すごさに感動する。


「どーかな? 気に入った?」


「うん!とても!部屋すごい綺麗!色も俺の好きな色だし!こんな素敵なお部屋使っていいの!?」

「当たり前でしょー、っていうかこれからは水樹の部屋なんだから使うとか使わないとかないよ」


興奮が冷めきらないうちに、燐くんから嬉しい言葉を聞いてさらに嬉しくなる。
ここがこれから俺の部屋なんだ。ジン、と心が温かくなる。



「水樹!色気に入った!?この色ね、燐矢と相談して決めたんだ!燐矢がこのカーテン持ってたから手直しして使ってこれに合わせて僕がベッド選んだの!」

「気に入った!この色好きなんだよね。カーテンて、もしかしてこの金糸燐くんがやったの!?」

「そーだよー。すごい?」

「すごい!燐くんてなんでもできるんだね!」
ニコニコと笑ってそういうと燐くんは嬉しそうに笑ってくれた。
料理に刺繍に、燐くんてできないことないのかな?





クローゼットの中にはアパートにあった俺の荷物が全て入っていた。入院中に運んでおくって言って鍵を借りて行ったんだよね。本当にありがたい。みんなにお礼を言って感謝を伝える。
これからみんなでここで生活していくんだ。まだ少し不安なこともあるけどそれ以上にわくわくとした気持ちが膨れ上がる。




俺の部屋を後にして、今度はみんなの部屋を紹介をしてもらう。どこの部屋も大きくゆったりとしている。
そして何故か麗さんの部屋には和室があった。沖縄風の濃い色の畳だったためそこまで違和感はないが、何故ここにあるのだろう。部屋の一部が何の隔たりもなく急に畳になってくるのは少し面白い。
何故ここにあるのか気になって麗さんに聞いてみると「着物を着るんです」と返ってきた。なんでも、着物の着付け教室を不定期で開催するそうで、その教室に着物を着てく時に使うんだそう。

……着物を、着る、麗さん。絶対似合うー!!
サラサラとした細い銀色の髪の毛に優しげな顔立ち、そして丁寧な所作。似合うどころじゃないよ!見てみたい!すんごい見てみたい!


麗さんの意外な一面をまた知れたことに嬉しくなる。

なんかみんなに会ってから嬉しいことばっかりだなー



近くの方が安心するかなと思って、と大貴の部屋は俺の隣になっていた。これまた嬉しい。




お風呂場とトイレも案内してもらいやっと人心地ついて元のリビングに戻ってきた。
お風呂場もトイレもこのマンションに合うそれはもう素晴らしいものだった。



「まだ部屋はあるんだが、疲れたろ?それはまた案内するから今日はもう休め」

ソファに座り道人にそう言われる。

確かにちょっと疲れたな。右目を閉じてソファに寄りかかる。少しの間そうやってじっとしていると、不意に右目に温かいものが乗せられた。

なんだろ?っと手で探ると温かく湿ったタオルの感触がした。


「目が疲れた時は温かくすると良いとネットに書いてあった。そのまま少しじっとしてろ」
大貴の声が上から聞こえる。じんわりとした温かさに目の疲れが取れていく感じがした。

「気持ちぃ~~。ありがとー」そう言うとフッと笑う気配がしてそばから離れていった。
















あったかい。きもちいい。これぜったいねちゃう。
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