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第2章 出会い

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俺の質問にシーンと静まり返った病室。
4人は一瞬固まった後、顔を見合わせそれからぎこちなくこちらを向いた。 



「あ、あれ?水樹、高木さんから聞いてないの?水樹が片目を失って生活が大変になるから今住んでる僕たちの家で生活してもらおうって高木さんが言ったんだけど。そうすれば僕たちが水樹の支えになれるからって」と悠が戸惑いながらいう。


「いや、だって生活の支援をさせていただくってしか言わなかったから。流石にそれで一緒に住むだなんて思わなかったし」 



やっぱり、やっぱり!一緒に暮らすってことだったんだ……どうしよう曖昧に頷いちゃったし、しかも両親も承諾してるって言ってたし 


と悶々と考えてると
「水樹は嫌か?俺たちと住むの」と道人が聞いてくる。イケメンさんたちと暮らす?のは緊張はするけど、、
「いやでは、ないかな?…」
「じゃあ、いいじゃねーか。俺も水樹のこと気に入ったし」とポンポンと頭を撫でる。


き、気に入った?


「僕も僕も!水樹好きだから一緒に暮らしたい!僕が片目の代わりになる!」と、はいはいはい!と主張しながら悠が迫る。


え?俺が好き?


まったく、そんなにポンポンと恥ずかしげもなく言葉が出るなんて。これだからイケメンさんは。




他の2人からもいいじゃんいいじゃん、と押し勧められてしまう



なんとかしなければ…


「そ、そういえば、4人は一緒に住んでるの?」と話題を変えようとさっき気になった事を聞く。



「そうですよ。4人でお金を出し合ってマンションの一つの階を買ったんですよ。広いですから水樹さんがきても大丈夫ですよ」と麗さんがウフフと笑いながらいう。麗さんの綺麗な顔で微笑まれるとドキドキするっ



「そ、そうなんだ」

「はい、そうです。水樹の部屋ももう決めてありますよ」


「そうそう!ベッドの色とか僕が選んだんだ!きっと気にいると思って」


「俺も、自分が昔使ってたカーテン引っ張り出したんだー。手直ししたら結構いいのができたから、楽しみにしててね」



へぇーと相槌を打ちながら気づいた。あれ?話題を逸らそうとしてたのにいつのまにか一緒に住む事になってる?



4人の話を止めることができず、戸惑いながら盛り上がっていると病室の扉がノックされる音が聞こえ、「はーい」と返事をすると複数の足音が近づいてくる。


「水樹?お話は終わったかしら?」と母さんの声が聞こえカーテンがシャッと開く。そこには両親とトイレに行っていたはずの妹、それに不機嫌そうな大貴とにこやかな高木さんにお医者さんまで勢揃いしている。



「黒崎様、ご両親へも詳しい説明が終わりましたので私たちは一旦失礼します。また改めてお見舞いに来させていただきますのでお大事になさってください」と高木さんは一度俺に頭を下げてから周りに会釈し、4人を伴って病室を出て行った。4人はそばを離れる時に「またな」「じゃーねー」「お大事に」などと思い思いの挨拶をして帰って行った。道人に至ってはまたもや俺の頭を撫でていった。頭撫でるの好きなのかな。



「あらあら、仲良くなれたのね。これなら任せても安心かしら。ね?」

「あぁ、そうだね。水樹、父さんたちもそろそろ帰るからあの人たちと仲良くするんだよ。何かあればすぐに連絡しなさいね」と母さんと父さんは妹を連れて帰ろうとする。


「ちょっ、ちょっと待って!俺、本当にあの人たちと暮らすの?これから?」帰らないで!と慌てて引き止めてたずねる。


あの人たちと一つ屋根の下?一緒に生活するの?たしかに良い人そうだったけど、急すぎて頭が追いつかない。


不安そうな俺に安心させるように母が言い聞かせる。
「そうよ、高木さんっていう方も丁寧な物腰で良い人だったわよ。説明もわかりやすかったし。大丈夫よ。生活に慣れればまた一人暮らしができるようになるでしょう?私たちも水樹が1人で暮らすよりその方が安心だわ。それに大貴くんも一緒に暮らしてくれるって行ってたわよ」


「え!?大貴も!?」急に出てきた大貴の名前にバッとそばにいる大貴を見る。大貴はなんともいえない顔をして「そうだ」とうなづいた。


「よかったね、お兄ちゃん。新しい生活頑張ってね(いろいろと)」少し意味深に笑う妹に気づかず、その笑顔に癒される。かわいい。




両親と妹はそろそろ飛行機の時間だと言って泊まっているホテルに帰って行った。




「黒崎さん、大丈夫ですか。今日、この後検査の時間でしたが別の日にずらしましょうか」俺の疲弊っぷりに先生がそう言ってくれて、俺はありがたくその提案を受け入れる。先生は左目とガーゼの様子を見ると「ゆっくりと休んでください」と病室を出て行った。



「ふぅ」と上体が起こされたベットに寄りかかり目を閉じる。疲れた。何が何だかわからないが俺はいきなり大人数と暮らす事になったらしい。


「大丈夫か?」

目を開けてそっと大貴のほうを見ると、心配そうに椅子に座りながら俺を見つめる大貴がいる。


「うーん、ちょっと疲れた。っていうか、それよりなんで大貴も一緒に住むことになってるの?」俺は知っている人が一緒に住んでくれることは嬉しいが、



「言ってただろ?俺がお前の片目になるから一緒にすまないかって。それなのにどこの誰とも知れない奴らが一緒に住み始めるとか言ってるからだろ。そんな中に水樹を1人にできないしお前もすんなりと了承してんなよ」


コツンとおでこを小突かれた。睨まれているけど怖くない。嬉しい。怪我をしている俺は、きっと負担になるのに支えると言ってくれる。緩んでいく頬を抑えられずきっとにまにまと笑ってしまっているだろう。「何笑ってんだ」とさらに頬をつつかれたけど顔が元に戻るのには時間がかかった。














少しの不安を感じながら俺はまたゆっくりと目を閉じた。


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