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第2章 出会い
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驚いて固まっている俺をよそに眼鏡をかけた知らない男の人が緊張した面持ちで話しかけてきた。
「お話中失礼いたします。私、この4人のグループ Dahliaのマネージャーをさせていただいております、高木と申します」と知らない男、高木さんは名刺を差し出しながら軽く頭を下げた。
高木さん?高木さん、、から名刺を受け取り、まじまじとその紙面を見つめる。この人たちのグループDahliaって言うんだ。ダリアって確か花の名前だった気がする。などと少し現実逃避しながらチラッと4人の人を見る。
うわぁ、やっぱり近くで見るとすごいイケメン。それぞれが違う分野の顔の整い方をしている。モデルでも通用するくらいかっこいいし。演奏も上手なんだよなぁ。しかし、4人の顔はステージ上で見た顔とは違い、翳りがある。4人とも悲痛なそれでいて気まずそうな顔で俺を見つめているが、中でもドラムを叩いていた銀髪の人は翳りがあるを通り越していっそ顔色が真っ青だ。怪我人である俺が大丈夫?と声をかけたくなるレベルで。
といろいろ考えてそっと銀髪の人に声をかけようとすると、名刺と4人を眺める俺に意を決したように高木さんが話しかけてきた。
「あの、黒崎水樹様でお間違い無いでしょうか。」の問いかけになんとも言えない気の抜けた「はあ」と言う返答をしてしまったのはしょうがないことである。
「こ、この度はメンバーの軽率な行動により怪我を負わせてしまったことを深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした!」と高木さんが高らかにいいガバッと頭を下げた。それはもう綺麗な直角90度で惚れ惚れするほどである。つむじが見える。
高木さんに習うようワンテンポ遅れ4人が
「「「「すいませんでした」」」」とガバッと頭を下げた。これまた綺麗な直角90度。みんなして俺の近くで勢いよく頭をふるもんだからシャンプーなのかよくわからないがいい香りがふわり、と漂ってくる。いい匂いだなぁ、きっとお高いの使ってるんだろうなぁ。などと、違うことを考えどうしたらいいか分からず「え、えっと、あの」とオロオロしていると、大貴が不機嫌そうな顔をして頭を下げる5人を見つめ、それから俺のほうを向いて言った。
「謝罪してるが、どうするんだ?俺は許さなくてもいいと思うぞ、っていうか水樹が許したとしても俺は許さない。たとえわざとじゃなかったにしろお前に消えない傷を負わせたんだ」険しい顔をしながら俺を見つめる。
でも、この人たちは大好きな演奏を心から楽しんでただけだと思う。そりゃドラムスティックを投げるのは少し危ないとは思うけど。でも、あのライブすごい楽しそうだった。笑顔がキラキラして汗が光って全力で突っ走ってる感じがして……うん、やっぱり俺またあのライブ行きたいしこの人たちの演奏もっと聞きたい。こんな翳りがある顔じゃなくてキラキラした笑顔が見たい。
と悶々と考えていると俺の沈黙が長かったのか、高木さんがそろりそろりと頭を上げ
「もちろん、こちらとしましては慰謝料としてそれ相応の金額をお支払いして償おうとは思いますが、それ以外にもダリアの活動は無期限停止で黒崎様の承諾がなければ演奏もしないようにいたします。それと、黒崎様の生活の支援も私たちが保証いたします。本当にもうしわけ……」とまた謝罪を続けようとする高木さんの言葉に「ちょ!ちょっと待って!」とストップをかけた。
「えーっと、慰謝料?はまだわかるとして、いや、治療費とかもだしてもらってるからそんなに大丈夫ですし。それに活動が無期限停止って?それに何で俺の承諾が必要になるんですか?」なんか大ごとになりすぎてよく分からなくなってきた。
「いえ、慰謝料は必ずきっちりとお支払い致します。無期限停止の方は演奏中に黒崎様にけがを負わせてしまいましたので、黒崎様がダリアの曲を聴いて嫌な思いをするかもしれないと思いましたのでそうさせていただきました」
「いやいや!俺みなさんの曲聴いて嫌な気持ちなんてならないですし!それに俺、初めて皆さんのライブに行ったけどあんな楽しいことがあるんだって初めて知りました。何よりみなさんがすごい楽しそうに演奏するところが好きになりました。それがまた見れなくなるなんて嫌です!俺の承諾が必要なら今からもうしていいです!活動停止は終了です!」とズイズイと高木さんに詰め寄り訴える。
「黒崎様ッ。なんてお優しい方、私これからどうなるのか心配でしたが黒崎様がこんなに慈悲深い方だとは。いえ!これからはもう黒崎様のお心に添えるよう今一度精進します!そして黒崎様の片目となるよう私たちが生活の支援をさせていただきます!」俺に負けず劣らず高木さんもズイズイとくる。「は、はぁ、」と高木さんの圧に負けぎこちなく頷く。
「ご両親にもここへ来る途中謝罪とお話をさせていただきましたが、支援に関しては快く快諾してくださいました。詳しいお話をまたさせていただきますので黒崎様はゆっくりと体を休めていてください。私はご両親へもう一度説明に参ります。」と高木さんは俺が謝罪を受け入れたことに安心したのか、さっきまでとは違い流暢に話す。「これからは、何かと交流があるかと思いますのでダリアを少し置いておきます」と言いさっさと病室を出て行ってしまう。
そして今まで黙って話を聞いていた大貴がなぜか顔を真っ青にして慌てて高木さんを追って行った。
え?えっと、生活の支援?それって何するの?っていうかもう両親に承諾してもらったって何してるの父さんたち!
大貴は走ってどっか行っちゃうし、話の内容わけわかんないし
っていうかこんなイケメンさんたちを置いていかないで!高木さん!
「お話中失礼いたします。私、この4人のグループ Dahliaのマネージャーをさせていただいております、高木と申します」と知らない男、高木さんは名刺を差し出しながら軽く頭を下げた。
高木さん?高木さん、、から名刺を受け取り、まじまじとその紙面を見つめる。この人たちのグループDahliaって言うんだ。ダリアって確か花の名前だった気がする。などと少し現実逃避しながらチラッと4人の人を見る。
うわぁ、やっぱり近くで見るとすごいイケメン。それぞれが違う分野の顔の整い方をしている。モデルでも通用するくらいかっこいいし。演奏も上手なんだよなぁ。しかし、4人の顔はステージ上で見た顔とは違い、翳りがある。4人とも悲痛なそれでいて気まずそうな顔で俺を見つめているが、中でもドラムを叩いていた銀髪の人は翳りがあるを通り越していっそ顔色が真っ青だ。怪我人である俺が大丈夫?と声をかけたくなるレベルで。
といろいろ考えてそっと銀髪の人に声をかけようとすると、名刺と4人を眺める俺に意を決したように高木さんが話しかけてきた。
「あの、黒崎水樹様でお間違い無いでしょうか。」の問いかけになんとも言えない気の抜けた「はあ」と言う返答をしてしまったのはしょうがないことである。
「こ、この度はメンバーの軽率な行動により怪我を負わせてしまったことを深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした!」と高木さんが高らかにいいガバッと頭を下げた。それはもう綺麗な直角90度で惚れ惚れするほどである。つむじが見える。
高木さんに習うようワンテンポ遅れ4人が
「「「「すいませんでした」」」」とガバッと頭を下げた。これまた綺麗な直角90度。みんなして俺の近くで勢いよく頭をふるもんだからシャンプーなのかよくわからないがいい香りがふわり、と漂ってくる。いい匂いだなぁ、きっとお高いの使ってるんだろうなぁ。などと、違うことを考えどうしたらいいか分からず「え、えっと、あの」とオロオロしていると、大貴が不機嫌そうな顔をして頭を下げる5人を見つめ、それから俺のほうを向いて言った。
「謝罪してるが、どうするんだ?俺は許さなくてもいいと思うぞ、っていうか水樹が許したとしても俺は許さない。たとえわざとじゃなかったにしろお前に消えない傷を負わせたんだ」険しい顔をしながら俺を見つめる。
でも、この人たちは大好きな演奏を心から楽しんでただけだと思う。そりゃドラムスティックを投げるのは少し危ないとは思うけど。でも、あのライブすごい楽しそうだった。笑顔がキラキラして汗が光って全力で突っ走ってる感じがして……うん、やっぱり俺またあのライブ行きたいしこの人たちの演奏もっと聞きたい。こんな翳りがある顔じゃなくてキラキラした笑顔が見たい。
と悶々と考えていると俺の沈黙が長かったのか、高木さんがそろりそろりと頭を上げ
「もちろん、こちらとしましては慰謝料としてそれ相応の金額をお支払いして償おうとは思いますが、それ以外にもダリアの活動は無期限停止で黒崎様の承諾がなければ演奏もしないようにいたします。それと、黒崎様の生活の支援も私たちが保証いたします。本当にもうしわけ……」とまた謝罪を続けようとする高木さんの言葉に「ちょ!ちょっと待って!」とストップをかけた。
「えーっと、慰謝料?はまだわかるとして、いや、治療費とかもだしてもらってるからそんなに大丈夫ですし。それに活動が無期限停止って?それに何で俺の承諾が必要になるんですか?」なんか大ごとになりすぎてよく分からなくなってきた。
「いえ、慰謝料は必ずきっちりとお支払い致します。無期限停止の方は演奏中に黒崎様にけがを負わせてしまいましたので、黒崎様がダリアの曲を聴いて嫌な思いをするかもしれないと思いましたのでそうさせていただきました」
「いやいや!俺みなさんの曲聴いて嫌な気持ちなんてならないですし!それに俺、初めて皆さんのライブに行ったけどあんな楽しいことがあるんだって初めて知りました。何よりみなさんがすごい楽しそうに演奏するところが好きになりました。それがまた見れなくなるなんて嫌です!俺の承諾が必要なら今からもうしていいです!活動停止は終了です!」とズイズイと高木さんに詰め寄り訴える。
「黒崎様ッ。なんてお優しい方、私これからどうなるのか心配でしたが黒崎様がこんなに慈悲深い方だとは。いえ!これからはもう黒崎様のお心に添えるよう今一度精進します!そして黒崎様の片目となるよう私たちが生活の支援をさせていただきます!」俺に負けず劣らず高木さんもズイズイとくる。「は、はぁ、」と高木さんの圧に負けぎこちなく頷く。
「ご両親にもここへ来る途中謝罪とお話をさせていただきましたが、支援に関しては快く快諾してくださいました。詳しいお話をまたさせていただきますので黒崎様はゆっくりと体を休めていてください。私はご両親へもう一度説明に参ります。」と高木さんは俺が謝罪を受け入れたことに安心したのか、さっきまでとは違い流暢に話す。「これからは、何かと交流があるかと思いますのでダリアを少し置いておきます」と言いさっさと病室を出て行ってしまう。
そして今まで黙って話を聞いていた大貴がなぜか顔を真っ青にして慌てて高木さんを追って行った。
え?えっと、生活の支援?それって何するの?っていうかもう両親に承諾してもらったって何してるの父さんたち!
大貴は走ってどっか行っちゃうし、話の内容わけわかんないし
っていうかこんなイケメンさんたちを置いていかないで!高木さん!
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