瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei

文字の大きさ
上 下
8 / 15
第2章 出会い

しおりを挟む
驚いて固まっている俺をよそに眼鏡をかけた知らない男の人が緊張した面持ちで話しかけてきた。


「お話中失礼いたします。私、この4人のグループ  Dahliaダリアのマネージャーをさせていただいております、高木と申します」と知らない男、高木さんは名刺を差し出しながら軽く頭を下げた。


高木さん?高木さん、、から名刺を受け取り、まじまじとその紙面を見つめる。この人たちのグループDahliaダリアって言うんだ。ダリアって確か花の名前だった気がする。などと少し現実逃避しながらチラッと4人の人を見る。


うわぁ、やっぱり近くで見るとすごいイケメン。それぞれが違う分野の顔の整い方をしている。モデルでも通用するくらいかっこいいし。演奏も上手なんだよなぁ。しかし、4人の顔はステージ上で見た顔とは違い、翳りがある。4人とも悲痛なそれでいて気まずそうな顔で俺を見つめているが、中でもドラムを叩いていた銀髪の人は翳りがあるを通り越していっそ顔色が真っ青だ。怪我人である俺が大丈夫?と声をかけたくなるレベルで。



といろいろ考えてそっと銀髪の人に声をかけようとすると、名刺と4人を眺める俺に意を決したように高木さんが話しかけてきた。

「あの、黒崎水樹様でお間違い無いでしょうか。」の問いかけになんとも言えない気の抜けた「はあ」と言う返答をしてしまったのはしょうがないことである。



「こ、この度はメンバーの軽率な行動により怪我を負わせてしまったことを深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした!」と高木さんが高らかにいいガバッと頭を下げた。それはもう綺麗な直角90度で惚れ惚れするほどである。つむじが見える。




高木さんに習うようワンテンポ遅れ4人が
「「「「すいませんでした」」」」とガバッと頭を下げた。これまた綺麗な直角90度。みんなして俺の近くで勢いよく頭をふるもんだからシャンプーなのかよくわからないがいい香りがふわり、と漂ってくる。いい匂いだなぁ、きっとお高いの使ってるんだろうなぁ。などと、違うことを考えどうしたらいいか分からず「え、えっと、あの」とオロオロしていると、大貴が不機嫌そうな顔をして頭を下げる5人を見つめ、それから俺のほうを向いて言った。

「謝罪してるが、どうするんだ?俺は許さなくてもいいと思うぞ、っていうか水樹が許したとしても俺は許さない。たとえわざとじゃなかったにしろお前に消えない傷を負わせたんだ」険しい顔をしながら俺を見つめる。


でも、この人たちは大好きな演奏を心から楽しんでただけだと思う。そりゃドラムスティックを投げるのは少し危ないとは思うけど。でも、あのライブすごい楽しそうだった。笑顔がキラキラして汗が光って全力で突っ走ってる感じがして……うん、やっぱり俺またあのライブ行きたいしこの人たちの演奏もっと聞きたい。こんな翳りがある顔じゃなくてキラキラした笑顔が見たい。


と悶々と考えていると俺の沈黙が長かったのか、高木さんがそろりそろりと頭を上げ
「もちろん、こちらとしましては慰謝料としてそれ相応の金額をお支払いして償おうとは思いますが、それ以外にもダリアの活動は無期限停止で黒崎様の承諾がなければ演奏もしないようにいたします。それと、黒崎様のの支援も私たちが保証いたします。本当にもうしわけ……」とまた謝罪を続けようとする高木さんの言葉に「ちょ!ちょっと待って!」とストップをかけた。




「えーっと、慰謝料?はまだわかるとして、いや、治療費とかもだしてもらってるからそんなに大丈夫ですし。それに活動が無期限停止って?それに何で俺の承諾が必要になるんですか?」なんか大ごとになりすぎてよく分からなくなってきた。


「いえ、慰謝料は必ずきっちりとお支払い致します。無期限停止の方は演奏中に黒崎様にけがを負わせてしまいましたので、黒崎様がダリアの曲を聴いて嫌な思いをするかもしれないと思いましたのでそうさせていただきました」

「いやいや!俺みなさんの曲聴いて嫌な気持ちなんてならないですし!それに俺、初めて皆さんのライブに行ったけどあんな楽しいことがあるんだって初めて知りました。何よりみなさんがすごい楽しそうに演奏するところが好きになりました。それがまた見れなくなるなんて嫌です!俺の承諾が必要なら今からもうしていいです!活動停止は終了です!」とズイズイと高木さんに詰め寄り訴える。

「黒崎様ッ。なんてお優しい方、私これからどうなるのか心配でしたが黒崎様がこんなに慈悲深い方だとは。いえ!これからはもう黒崎様のお心に添えるよう今一度精進します!そして黒崎様の片目となるよう私たちがの支援をさせていただきます!」俺に負けず劣らず高木さんもズイズイとくる。「は、はぁ、」と高木さんの圧に負けぎこちなく頷く。

「ご両親にもここへ来る途中謝罪とお話をさせていただきましたが、支援に関しては快く快諾してくださいました。詳しいお話をまたさせていただきますので黒崎様はゆっくりと体を休めていてください。私はご両親へもう一度説明に参ります。」と高木さんは俺が謝罪を受け入れたことに安心したのか、さっきまでとは違い流暢に話す。「これからは、何かと交流があるかと思いますのでダリアを少し置いておきます」と言いさっさと病室を出て行ってしまう。

そして今まで黙って話を聞いていた大貴がなぜか顔を真っ青にして慌てて高木さんを追って行った。













え?えっと、生活の支援?それって何するの?っていうかもう両親に承諾してもらったって何してるの父さんたち!

大貴は走ってどっか行っちゃうし、話の内容わけわかんないし




っていうかこんなイケメンさんたちを置いていかないで!高木さん!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

運命を変えるために良い子を目指したら、ハイスペ従者に溺愛されました

十夜 篁
BL
 初めて会った家族や使用人に『バケモノ』として扱われ、傷ついたユーリ(5歳)は、階段から落ちたことがきっかけで神様に出会った。 そして、神様から教えてもらった未来はとんでもないものだった…。 「えぇ!僕、16歳で死んじゃうの!? しかも、死ぬまでずっと1人ぼっちだなんて…」 ユーリは神様からもらったチートスキルを活かして未来を変えることを決意! 「いい子になってみんなに愛してもらえるように頑張ります!」  まずユーリは、1番近くにいてくれる従者のアルバートと仲良くなろうとするが…? 「ユーリ様を害する者は、すべて私が排除しましょう」 「うぇ!?は、排除はしなくていいよ!!」 健気に頑張るご主人様に、ハイスペ従者の溺愛が急成長中!? そんなユーリの周りにはいつの間にか人が集まり… 《これは、1人ぼっちになった少年が、温かい居場所を見つけ、運命を変えるまでの物語》

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

楓の散る前に。

星未めう
BL
病弱な僕と働き者の弟。でも、血は繋がってない。 甘やかしたい、甘やかされてはいけない。 1人にしたくない、1人にならなくちゃいけない。 愛したい、愛されてはいけない。 はじめまして、星見めうと申します。普段は二次創作で活動しておりますが、このたび一次創作を始めるにあたってこちらのサイトを使用させていただくことになりました。話の中に体調不良表現が多く含まれます。嘔吐等も出てくると思うので苦手な方はプラウザバックよろしくお願いします。 ゆっくりゆるゆる更新になるかと思われます。ちょくちょくネタ等呟くかもしれないTwitterを貼っておきます。 星見めう https://twitter.com/hoshimimeu_00 普段は二次垢におりますのでもしご興味がありましたらその垢にリンクあります。 お気に入り、しおり、感想等ありがとうございます!ゆっくり更新ですが、これからもよろしくお願いします(*´˘`*)♡

耳の聞こえない僕があなたの声を聞くまでの物語

さばさん
BL
僕は生まれつき声が聞こえない。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

何故か正妻になった男の僕。

selen
BL
『側妻になった男の僕。』の続きです(⌒▽⌒) blさいこう✩.*˚主従らぶさいこう✩.*˚✩.*˚

処理中です...