瞳の代償 〜片目を失ったらイケメンたちと同居生活が始まりました〜

Kei

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第1章

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セミが激しく鳴き始め、ムワッとした熱気が立ち込めるライブハウス。普段から賑やかなその会場は一転して騒然とした雰囲気に包まれていた。









覚えているのは視界を染め上げる赤と体に走った鋭い激痛。そして、俺の名を悲痛に叫ぶ親友の声。最後に一瞬何かを言おうとした口を見つめて俺の意識は遠のいていった。











事の発端は大学2年の試験が無事終わり、夏休みが始まってからすぐに起こった。それは数日前に遡る。
その日はバイトが終わり家に帰ってる途中、幼い頃からの親友、斎藤大貴から電話がかかってきた。

「大貴?どうした?」と第一声を発すると電話口から低い声が聞こえた。

『あ、水樹?今大丈夫か?』

「うん、へーきだよ。今バイトから帰ってる途中」

『……1人か?』

「?うん」

『はぁ、あれほど夜の道を1人で歩くなと行ってるのになんでお前は1人で帰ってるんだ  危ないだろ?』

「へーきだよ、まだそんなに暗くないし    それに俺男だよ?」
そう、聞いてわかる通り大貴は過保護だ。超が付くほどの。

『お前はそろそろ自分の顔を自覚しろ、ただでさえ一人暮らしなんだから。とにかく今後絶対に1人で歩くなよ!連絡くれれば俺が迎え行くから』と呆れたように言った。顔?俺の顔がどうしたんだ、平々凡々な顔してるのはわかってるよ!大丈夫

話題を変えなければ延々と説教が続いていってしまう。現に今もこれだから無自覚はとか、俺がどれだけ気を使っているかとかこんこんと話している。機嫌悪いのか?カルシウム食べろよ!

「ところでなんで電話してきたの?」

『あ、ああ。そうだった、忘れてた。水樹来週の日曜日暇か?夕方から俺の知り合いがやってるライブハウスで人気のバンドがライブやるらしいんだけど、そこのチケットもらっちまって。よかったら一緒に行かないか?』

ライブ?珍しいな大貴がそういうの誘ってくれるなんて。いつもは日が暮れる前にはアパートの扉前まで送って来るくせに、お前は彼氏か  ってそうじゃなくて

「ライブ!?行く行く!俺そういうの言ったことないんだよね!バンドとか楽しそー  絶対行くよ!」と即答した俺に対し大貴は少し笑いながら『よかった。お前がOK出さなきゃ1人で行くところだった』と言った。たしかに1人でライブはきついな

『日時とか集合場所はまたメールするな』

と話してからはコロコロと話題が変わり俺のアパートに着くまで続いた。何回か切っても大丈夫だよ、と言ったが部屋着くまで話してる、もう暗いし危ないだろと返された。

だからお前は彼氏か





部屋についてから先にシャワーに入り汗を流した。一人暮らしを始めてはや一年と半年。随分この暮らしにもなれてきた。料理は小さい頃からやってきたからなんとかなったがバイトと学業の掛け持ちがなんとも難しかった。都内のアパートは一人暮らし用とはいえなかなかな値段である。仕送りはあるとはいえあまりそれを使いたくなかった。一人暮らしは家族からの大反対を受けた中で、さっさと都内の大学に合格し有無を言わさず引っ越してしまった。最後まで兄は反対していたが今では親からの仕送りに負けないほどのお金を送ってもらっている。

そう、兄も負けず劣らず過保護である。6歳も離れているから仕方がないのかもしれないが、こちとらもう二十歳の立派な成人。何がそんなに心配なのやら。俺の親は母父ともに健在で今でもラブラブいちゃいちゃしている。母は五十代とは思えないほどの美人で未だに三十代と間違えられていたりする。父は渋めのダンディーなおじさまで中年太りなにそれ、な引き締まった体格をしている。身長は184cmと高く、俺は最近やっと170cmに届いた。断然俺は母親似だ。解せぬ。

そして兄弟は上に兄がいて、下に妹がいる三人兄弟である。仲は良く昔は3人一緒に風呂に入ったものだ。


そんなことを考えながら1人でシャワーを終わらせ火照った体をクーラーで冷ましながら夕飯作りを始めた。











ちなみに今夜の夕飯はアクアパッツアと鮭のクリーム煮である。








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