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3.ダカンⅠ

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「筋はいいぞ!」

戦闘訓練として、ダカンと剣を交えた。
ぶっちゃけ……左腕だけで全く移動すらしていないダカン相手に、手も足も出なかった。
その上戦士のジョブを持っているダカンは、持っているスキルを発動すらしてない。
たしか戦士の持つスキルは、戦士の強化と言う肉体強化だ。
これを使うとすべての力が2倍になり強くなるのだが、レベル1の俺には使う事すらしてくれなかった。

ダカンのレベルがどれくらいかと聞くと、冒険者ギルドカードと言う物を見せてくれた。

名前  ダカン
レベル 56
職業  戦士

銀色の金属板にこれだけしか書かれていない。


【ダカンのデーターを登録しました】

突然目の前に画面が表示されて、メニューを開くとダカンのステータスのデーターが登録されていた。

名前 ダカン
種族 ヒューマン
職業 戦士
性別 男
年齢 32
Lv  56
HP 351
MP 0
力  71/106
器用 11/31
防御 31/105
敏捷 12/88
知力 31
技能 戦士の強化 
状態 怪我による後遺症での機能低下 

ゲームと同じようなステータスが表示され、いろいろとわかる。
メニューから、自分のステータスを開く。

名前 ゼロ
種族 ヒューマン
職業 勇者
性別 男
年齢 15
Lv  1
HP 10
MP 4
力  2
器用 1
防御 2
敏捷 3
知力 1
魔法 火1 水1 風1
技能 勇者の心
状態 良好

ダカンに戦闘で勝てる要素が全くない。
レベル差があるのはわかるが、怪我で弱まっていてもダカンの方が圧倒的に強い。
力づくは無理か……。まあ普通に考えてこんな筋肉モリモリのゴリマッチョを力づくと言うのはもとより無理だった。
何をしても犯罪行為にならないゲームの中入ったから、興奮して強姦とか馬鹿な事を考えていた。



「師匠、もう今日は終わろうよ」

周りが日が暮れて周りが暗くなっていた。チュートリアルでは場面のスチールが流れるだけなので、こんな細かいシーンはない。プライベートで二人っきりの夜を楽しみにしていた。

「そうだな、初日だしな」

近寄ると俺の肩を残っている方の手で掴み、抱き寄せる。
ゲームの中とは思えないぐらいに、ダカンの高い体温と雄臭いの体臭が鼻をくすぐり、ドキドキする。

「飯にするか?」

「うん、俺が料理作るから師匠は、お風呂用意して!」

「あー風呂か……面倒くさいな」

足や手が悪いダカンが、水を風呂に入れてお湯を作る工程をするが面倒くさいのだろう。

「師匠臭いよ、何日入っていない?」

俺が鼻を摘まむ態度を取る。

「3日だ……そうか……わかった」

頭をボリボリとかきながら、しょぼくれた顔をする。まるで犬を叱った時のような態度なので、可愛いと思った。

臭いのは臭いはするが、ぶっちゃけタイプの男の体臭だから、嫌いな臭いではない。どちらかと言えば興奮する。
ただ、風呂を沸かしてもらう事をして欲しい。
なぜにならば、俺がアイテムボックスの中からある物を取り出すつもりだからだ。
アイテムボックスの中から物を取り出す所を見られるのは、あまり良くないだろう。

だがしかし……。

「あっ水を出す魔法を使ってみたい」

「ああ、そうだな勇者なら魔法が使えるよな」

俺達はダカンの家の風呂場の前行く。昔の日本の家みたいに風呂場が外にあるのがこの世界の作りみたいだ。

水を出す魔法を使ってみる。
メニューから水魔法の中にある『水弾』と言う魔法を選択する。これはゲームや漫画でよくある、ウォーターボールと言う攻撃魔法になる。

ドバッバシュッ
バギバキッバキ

うわっ水の塊が飛んで行き、近くに有った木の枝を吹き飛ばした。……とりあえず外で実験してよかった。下手すると風呂場を壊していた。

「もう少し、抑えてやってみろ、魔法使いの奴は出来ていたぞ」

今度はメニューから選択せずに、さっき魔法を使った感覚を思い出して、水の塊を空中に出すイメージをして魔法を使った。

ボッバシャン

水の塊が空中に現れてから、下に落下した。

「おー成功したな」

なんとなく魔法を使う感覚はわかったが、何かが身体から抜けきった感覚になった。
もう一度、魔法を使おうとすると魔法が発動しなかった。
これは魔力切れMP不足だな。

「風呂に水入れてくれ」

ダカンは戦士の職業ジョブをだから、魔法が全く使えない。それなので魔法を使うとMPがなくなるという事に気づいてないのだろう。

「いいよ、水入れたら言うから火の準備して」

「わかった」

俺は風呂場に入ると、アイテムボックスから魔力回復薬のマカロンMPポーションの瓶を取り出して一口飲むと、画面に表示されるステータスのMPが0から4に回復した。
マカロンは飲み切るとMPが50回復するから、たった4回復させるために使うのはもったいないと思っていたから、一口だけでも使えるのかと思ってやってみたのが成功した。
これでゲームとは違うやり方で、いろいろとできることが証明された。

まあ表示が×999本とされていて、取り出しても一本も減らなかったからきっと物凄い量のストックがあるんだと思うけど、飲みすぎてお腹がタプタプに膨れるのは嫌だからな。

俺はMPが切れたらマカロンを一口飲むというのを3回繰り返して、風呂桶をいっぱいにする。

「師匠、沸かしていいよ」

「わかった」

窓からはモクモクと煙が上がってくる。


さて……ダカンが風呂を沸かしている間に、俺はダカンの家の中に入り、台所で料理開始する。
アイテムボックスの中から物語後半で手に入る肉を取り出す。
ストーリー後半の王様に頼まれて採ってくるフェニックスの肉だ。かなり美味いという表示だったので、食べてみたかった。

さっきと同じような要領で、火の魔法で薪に火を付けて肉を焼いていく。




「美味い! なんの肉だ!? 」

出来たフェニックスのチキンステーキと、フェニックスの肉のスープを食べてダカンは驚く。
まあそうだろうな、多分ダカンも今までに食べたことのなかった肉だろう。確かに食べてみると、今まで食べた鳥肉で一番に美味い。カモ肉やキジ肉などを食べたことはあったが、それらとは比べ物にならないぐらい美味かった。

「よく知らないけど、村に来ていた商人から買ったんだよ」

適当な嘘をつく。

「そうか、ゼンも奮発したんだな、こんな事で気を使わなくいいのにな、教えることぐらいなんでも無いのに……ゼロは優秀だから教えることも少ないのにな」

俺に優しく微笑むダカン。うーん惚れるぜ。

「まあ俺の元服の祝いも込めてだと思うよ」

「そっかならありがたくゼロに感謝だな」

納得してくれたな。



「あー食った食った、ゼロは料理上手いな、これからオイとずっと一緒に暮らすか? ガハハハッ」

美味しい料理と俺が出した酒を飲んで、かなり上機嫌のダカン。
こんな男臭い男となら、一緒に暮らしてもいいけどな。


……実はこの肉にはある狙いがある。

「あれっ古傷がひどく痒い……」

ボリボリと左足の膝を掻きだす。
ダカンはハーフパンツを穿いていた。そこから見える膝には大きな傷があるのだが、傷のある膝を掻き続ける。
あまりにも激しく掻き続けるので、皮膚がえぐれて中の肉が見えてくる。
ただ不思議と血が出てこない。

「ああぁぁなんだこれ」

痒みが全身に達したみたいで、上の服を脱ぎ上半身裸になると左手の爪を立てて、身体中を掻きむしる。

「どうすればいい? 」

俺があまりもの出来事でそうダカンに聞くと。

「身体を掻いてくれ、痒くてたまらない」

ダカンは右腕の肘があった部分を掻きだしたので、俺は背中を掻いて行く。
触ると皮膚や肉がボロボロと、まるで粘土の塊のように床に落ちる。身体中にある傷跡の部分が特にそうなっていた。
触った感触はヌルヌルとした腐りきった肉のような感じがするが、その落ちた肉は臭くはなかった。


「やっと収まった」

10分ほど悶えていたが、ようやく落ち着いたみたいだ。

「大丈夫? 」

「ああ何とか……なんだこれは! 」

驚くのは無理はない。ダカンの無くなっていた腕が生えてきたのだ。
無くなっていた右手は左手に比べるとかなり細くて、女の腕ぐらいになっていたが、確かに無くなっていたダカンの右腕が生えていた。

「足もだ! 膝が痛くない! 」

立ち上がりピョンピョンと飛び跳ねる。飛び跳ねると身体からはさっきの肉……というか垢みたいなものがボロボロと落ちていく。


実は、あのフェニックスの肉は、四肢欠損した身体さえも再生させる薬になるのだ。
ある王が大怪我をして半身不随になっていたのを治すために、フェニックスを狩って食べさせたのだ。代わりに魔王の力を封じる宝玉をもらうというイベントミッションあるのだ。
アイテムボックスの中に大量の肉が残っていたいたから、食べさせてみたのが成功した。

ただこんな大惨事になるとは思わなかったけどな。
床にはダカンの傷口と身体から出た大量の垢が散らばっているし、少し太っていてガチムチの熊体型だったダカンは、カロリーを使ったためか痩せてしまっている。

「師匠、身体を洗いましょう凄い垢だよ」

「ああ……でもどうしてこうなった? 」

不思議そうにするダカン。
まあそうだろ、無くなっていた腕が生えてくるなんかは普通なら信じられないはずだ。

「思い出したけど、肉を買った商人がフェニックスの肉とかどうとか? 売れ残りだったから捨て値の1ゴルド金の単位だったよ」

「おい?! フェニックスだと? フェニックスと言ったら四肢欠損さえも治す妙薬だぞ!普通なら手に入らないし、購入したとしても10億ゴルドは下らんぞ! 」

ダカンが大声で叫ぶ。
まあそうだろうな、ゲームでも結構苦労して狩りに行くからな。フェニックスはかなり強いし……。

「うわーそれは運が良かったな」

俺は完全に棒読みのセリフを言うが、ダカンはそのことに気が付かなかった。
ダカンは見た目通りの脳筋タイプだったのだ。
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