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何だか少し
しおりを挟むーーーキーンコーンカーンコーン
チャイムと共にHRが終わる。
「悠希!今日空いてるよな?久々に部活オフだし、未来も誘って遊ぼーぜ。カラオケ行こカラオケ!叫びまくるぞー!!」
さっきからカラオケカラオケとうるさいのは俺と未来の共通の友人、水島隼人だ。
全くこいつは俺に予定がないことを前提に話を進めている。...まあ予定なんてないんだけども。
「おー、じゃあ俺未来にLIMEしとくわ」
「任せた!駅前のカラオケ集合な。俺お菓子買ってくし、先行っとくって言っといて!」
「んー」
LIMEを送って10分。
いつもならもうとっくに返信がきている頃なのに未来からの連絡はない。
あいつのクラスまだHRやってんのか?
...しょーがない、見に行くか。どーせ隣のクラスだし。
大当たり。やっぱりまだHR中だった。
仕方ない、俺は先にに下駄箱行くことにした。
♪ピロリロリン
メッセージの差出人は未来。『あと5秒で来ないとおいてくぞ』とでも言ってやろうかな...
そんなことを考えながらトーク画面を開く。
『ごめん、今日はちょっと予定あって...隼人にも言っといて~(>_<)
また機会があれば誘ってほしい!』
...ってあいつ来れねえのかよ。せっかく待ってたのに。
しかし男に似合わないはずの可愛らしい絵文字も未来が使っていると思うと不思議と違和感がない。
というか、予定ってなんだ?あいつ帰宅部だしバイト...はしてなかったはず......まあいいか。考えたって仕方ねえし、どうせ何時でも遊べるしな。
「仕方ない、今日は隼人と2人かぁ」
ぽつりと呟いて、俺は駅に向かって歩き出した。
「っはぁ~、歌った歌った!めっちゃスッキリしたー!」
「なーにが『スッキリした!』だよ!!ほぼお前のリサイタルだったじゃん!」
「いやごめんってwだからお礼に飯奢ったじゃん?それで許してよ~、な?今度は悠希リサイタルでいいから!」
悠希リサイタルってなんだよ。。だっさい名前つけんなよ。。
「ま、飯奢ってくれたから今回はチャラな」
「やた、じゃあ今度は未来も空いてる日に3人で悠希リサイタルな!」
だから悠希リサイタルってなんだよ、わけわかんねえけど絶対ろくなもんじゃねえしそんなもの開催させない。
「じゃあ俺こっちだから!じゃーな悠希!」
「おう、じゃーな」
5月。もうかなり暖かくなっているとはいえ夜は冷える。暗い夜道を、薄暗い街灯が頼りなく照らしている。
今何時だ?カラオケ行って飯も行ったからな...ってもう11時過ぎか。流石にこの時間は冷えるわ。早く帰ろ、俺寒いの苦手だし。
マンションが見えてきた。電気はついてないからきっともう皆寝てるのだろう。
冷えた体を擦りながら足早に歩いているところに、ふと見慣れた背中を見つけた。
今朝も隣で見ていた、あのすらっと伸びた手足の持ち主といえば......やっぱり。
「おーい、みらーー」
名前を呼び終える前に、俺は口を噤んだ。
横には見知らぬ低身長で小太りな男。
誰だあのおっさん、未来の親父?...にしては微塵も同じ遺伝子を感じとれねぇけど...
しかし2人は妙に親しそうに見える。
見知らぬ男に笑いかける未来の顔は、何だか少し知らない人のように見えた。
...取りあえず今は声掛けねぇほうがいいか。
そんな事を思いながら2人の背中がマンションの中へ消えるのを、ただぼうっと見ていた。
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