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恋とレシーブと17
しおりを挟む「俺、汗掻いてるから」
「あはは。知ってる。ちょっとしょっぱいね」
「ですよね」
そして私は、口でこれをするのは初めてです。
「でも、それも全部好きだから。本音を言うと、きょーくんの匂いは割と好き。こういうのも、慣れるまで下手だけど、我慢して?」
「っ、くっ……き、もち、いい」
ゆっくりと、怖いなと思いながら彼の下を撫でていく。怖いのでさきっぽだけ下着から出して、少しずつ舌と唇で撫でていく。
「ごめん、別に口でそんな、してほしかったわけじゃ……」
「いいの。今日の汗は、私の唾液で掻き消してあげたい気分、だから」
自分で告げる台詞のいやらしさに、顔から火が出そうになる。けれど高揚した今の私に恥ずかしいものなんて何もなく、あるのはただ、恭介君への奉仕欲のみだ。
ゆっくりと私の体も熱を持ち始めている。そっと自分の熱源に指で触れてみると、恥ずかしいけれど、濡れていた。自分で準備をしながら、彼の熱の側面を撫でていく。下着の中に納まっている部分が半分ほどになり、全長が出てきたところで、私の覚悟もできた。
「ちょ、まだ俺何も」
「今日は私の、番って言ったよね?」
ぐいと彼を押し倒し、完全にベッドの上に乗る。恭介君の上に跨って、彼の硬い部分の角度を合わせる。こういうのも初めてだけれど、やってやれない、事はない。
愛おしい、愛おしい彼氏様のあれを、私のあそこで包むんだぁ。
思えば思う程、愛おしくてしょうがない。癒してあげたい。全力で。
「黙って、私の中に納まりな、さ、ぁ……い」
私はそう呟いて、彼の硬い場所を自らの体内へと、埋没させた。
まだ濡れきっていないあそこに、彼の猛りが収まって、静かに埋没していくそれを感じ柄、私は彼が驚きのまま固まっていることに、遅れて気づいた。
「あさみ、あの」
「……ごむ、付け忘れちゃった」
てへと、笑いながら、私はもういいやーと、腰を一気に落とし込んだ。
……。
…………。
「明日も、応援行くからね」
「うん」
翌日の試合、恭介君たちは決勝で負けた。三セットフルで戦い、最後の最後で競り負けたのだ。
全力を出し切った。悔しがっていた。泣いていた。そしてその日、私は改めて気付いたのだ。
彼らを応援し、泣きじゃくる女子の存在に気付いた。ううん無視していた存在を直視したと言った方が正しい。選手と同じコートの傍に立ち、ジャージを着て、頑張ったねと告げながら笑い、泣くマネージャーを直視した。彼女も確か、三年生だった。
それを眺めながら、私は決意した。
「安藤あさみです! よろしくお願いします!」
夏休みを終えてすぐ、私は一枚の紙を握りしめ、顧問の先生の元に願い出た。そして次の日、私は彼の場所へと、正々堂々と躍り出た。
「なんで……」
「あれって、葉山の彼女じゃ」
もちろん私が恭介君の彼女だという事はみんなに知られていた。だからここに来るのは邪魔だろうから、決してやろうとは思わなかった。
けれどそんな、周りの事を気にしている場合じゃないのだ。私が、彼らを応援する場を自ら作り出さないといけない。
そのためなら、周りの目なんて気にするものか。
「この前の試合、感動しました! みんなの応援をしていたら、居てもたってもいられなくなりました! 精一杯頑張ります! よろしくお願いします!」
頭を下げ、全力で言った。恭介君には相談しなかった。たとえ断られても、これだけは絶対に譲らないと決めていたからだ。
一番驚いているのは恭介君だった。空いた口が塞がらない、そんな面持ちだった。
「まさかあさ……安藤がマネージャーになるとは思ってなかった」
さすがの恭介君も動揺を隠せなさそうだった。怒るかなと思ってはいたけれど、案外照れているあたり、悪い気はしていないのかもしれない。とりあえず。
「私だって、一緒に喜びたいじゃない?」
それが一つ。そして練習に来ればいつだって恭介君に会えるのだ。堂々と、もちろん一人を応援する気はない。みんな応援する。当たり前だ。でもやっぱり、傍に居たいのだ。
「勉強は大丈夫なのか?」
「うん。それも大事。でもやっぱり、見たいもん」
君の全力の姿を、雄姿をもっと見たいもん。
そう決めた私は、バレー部のマネージャーとして、彼の傍に居ることに決めた。ただの応援で、頑張ってくれる人が居るのだから。
応援したい。感動したい。
私は知ったからだ。
もっとそばで、彼を支えられる存在になれる事を知ったからだ。
私がしたい事。
誰よりも傍で、彼を応援したいと。
《終わり》
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