どうやら私（オタク）は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい

８章：学園に入学したらしい

９８話：人間界への影響

狗社隼真の黒くおぞましいモヤは人間界にも影響をもたらしていた。

───マレード学園

学園の中は『精霊界の扉』があり、狗社隼真が1番いたところのため影響が強かった。

璃杏達が精霊界の扉に入った数時間後に、黒いモヤが濃くなり学園や寮を包み込むほどのモヤが広がった。

そのモヤには闇魔法が少しかかっており、寮にいた生徒や学園の中ににいた生徒・先生は強い眩暈に襲われたり眠りについてしまった人達がいた。

闇魔法が少しでも使える者は意識を保てる者もいるが、時間の問題だろう。

学園の教師兼璃杏の守護騎士の百織空桜は、璃杏達が学園のどこにも居ないことに気づき、報告するために一度月鍵家に向かって行った。



そんな月鍵家にも、学園ほどではないが影響があった。

魔力が弱い侍従や侍女が倒れ眠りについた。

魔力が強い者は闇の魔力や光魔法がある者関係なくしっかりとした意識や行動ができる者もいた。

羽流や白百合達は魔力が強いためしっかりとした意識と行動が出来た。

「羽流様。これで眠りについた従者は10人目ですわ。」

白百合は羽流の執務室に報告しに行っていた。

「そう。10人目か。その子も魔力が弱い子だった？」

「はい。でも、今まで倒れた方よりは強い方だと思いますわ。」

羽流の問に白百合は頷き言った。

「急に皆どうしたんだろうな。」

楓斗は首を傾げて独り言のように呟いた。

「ええ。それに、だんだん魔力が強い子達も眠り始めている。最初は起こそうと試みたけど、ダメだったわ。全然起きない。どうしたのかしら？本当に。」

考え込見始めてしまう双美。

「眠りにつく魔法？・・・・・・んー聞いたことあるような・・・確か──。」

コンコンコンッ

羽流が何か言い始める前に扉がノックされた。

「誰だ？」

楓斗がそう声をかける。

「百織空桜です！今よろしいでしょうか？」

4人は思ってもいなかった人物に目を合わせ驚く。

「入っていいよ。」

驚きつつ羽流は、扉に向かってそういった。

何か知っているかもしれない・・・そう思って。

ガチャ

空桜は扉を開けて一礼して中に入る。

「羽流様に報告したいことがあるため一度こちらへと戻って参りました。」

羽流にそう告げた羽流。

「報告したいこと？」

羽流は首を傾げて空桜に報告するよう促す。

「はい。実は・・・」

少し言いにくそうに空桜は不安そうな顔をしたあと告げる。

空桜の表情にいい情報ではないと悟った4人は空桜の言葉に緊張しながら言葉を待った。

「陽夏凛さんと璃杏様達がいなくなりました。申し訳ありません！！！僕がしっかりと見ていなかったばかりに。」

深く頭を下げる空桜。

空桜の報告に部屋の中はぴりりとした張り詰めた空気になった。

「・・・顔をあげてくれないかな空桜くん。君は教師をしながら璃杏を守ってくれている。よくやってくれているよ。だから、責めたりはしない。そのかわり、何があったのか分かる範囲で教えてはくれないかな？」

そう言って空桜に微笑む羽流。

空桜は申し訳なさそうな顔をしつつ顔を上げた。

「はい。璃杏様達のことはよく分かりませんが、学園であった事なら話せます。それでも構いませんか？」

一層申し訳なさそうな顔をして言った空桜。

そんな空桜に優しくほほ笑みかける羽流。

「もちろん。少しでも、情報が欲しいからね。今何が起きているのか知りたいから。」

そう言った。

空桜はその言葉を聞き頷き話し始めた。