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8章:学園に入学したらしい

95話:割れた結界 強まる憎しみ

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紅葉と結恵さんの案内で森の入り口にについた私達。

森の中は一層暗かった。

それに、強い憎しみを感じる。

でも、その憎しみは狗社隼真だけのものではなかった。

殺された・・・精霊の憎しみも感じる。

怖い。

その気持ちが私の足を止めさせる。

でも・・・でも・・・。

恐怖の気持ちの中で頭のなかで雪都様の顔が浮かぶ。

私には今、紅葉達がいる。

でも、雪都様はいま、1人なんだ。

こんなとこで怖がってちゃダメだ!

私は震える体を押さえつつなんとか歩き出そうとすると・・・なにか、薄い膜のようなものが張ってあることに気づいた。

「?なんだろう?これ。」

私は恐る恐る触れてみる。

私の行動を不思議に思ったらしい6人は首をかしげている。

固い・・・ん~なんか変な感じがするな。

私は扉をノックする感じで音を確かめる。

コンコンコン

パリーンッ!!!!

「!!!?」

私は割れた膜に驚いて固まった。

えっ・・・え"!?な、なんで割れたの!?怖っ!!

割れた音が聞こえたのか6人も驚いて固まっていた。

「!!これ・・・狗社隼真の結界だわ!結構前に張られたから、今の璃杏ちゃんにはすぐに破れたのね。・・・・・・だからこの森には誰も近づかなかったって事だったのね。」

最後の言葉は聞こえなかったけれど、狗社隼真が張った結界を私が壊したことは理解した。

この先は私が先頭になって皆を誘導する。

ぐっと手を握りしめて私は今度こそ歩き出した。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

パリーンッ!!!

森の中に結界の割れた音が響く。

璃杏達が来るのを監視していた狗社隼真はその音を聞いた瞬間、目を見開いた。

「なぜ・・・結界が破れたんだ!?あれは・・・あの結界は・・・俺の魔力を最大限に使って張った結界だったのに!!・・・・・・いや、でも、それは昔のことだ。古くなって・・・いや、それなら他の精霊も入ることが出来たはず。」

狗社隼真の張った結界は普通の人なら通り抜けられる結界だが、精霊は決して通れないような結界を張っていた。

それも強力な。

強力な結界を破られるのは2回目だ。

狗社隼真の脳裏に銀髪の三つ編みの少女の顔が過ぎる。

狗社隼真は顔を一気に歪めて木の幹を思いっきり叩いた。

「憎い・・・あいつの呪いも破られてしまう!!その前に・・・月鍵璃杏を殺してやるっ!」

狗社隼真の憎しみが強くなる。

森の霧も黒くなる。

森はただの憎しみしか溢れない森となっていた。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

雪都様の気配を辿って歩くこと10分くらい。

壊れた屋根が一部しかない聖堂に着いた。

私は立ち止まり皆の方へ振り返る。

「ここに・・・・・・雪都様がいます。」

私の言葉に紅葉と結恵さんは頷き。

湖乃美ちゃん達は息を呑み聖堂を見上げる。

ここに雪都様がいる。

いつも一緒にいた雪都様の気配がこの聖堂からする。

私は嬉しさと不安な気持ちでいっぱいだった。

「よし、じゃあ行くわよ。でも、しっかり用心をすること。分かった?」

紅葉の言葉に私達は頷く。

そして、聖堂の中へと入っていった。



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