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8章:学園に入学したらしい

81話:紅葉の強い思い

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紅葉はお城の中にある小さな泉の中を覗いていた。

そこに映っているのは紅葉の主───璃杏だった。

璃杏の全身に綺麗な金色の光が纏っている。

この泉は泉を通して見たい人の魔力がどれくらいあるのかというのを光で見れる物である。

光は魔力の強さを表している。

一番下から

赤→黄→オレンジ→黒→白→銀→金

という順番になっている。

赤色~オレンジまでは、魔力は少なかったり標準の強さ。

黒~金までは、標準より強かったり今までに存在しない強さ。

もちろん、強くても黒が少し薄かったりする場合もある。

だけど、璃杏の金色の光は濃くはっきりとしている。

今までに存在しない強さを璃杏は持っていることになる。

紅葉はそれを恐れていた。

璃杏の魔力はどんどん強くなっている。

魔力を抑えたネックレスがなければ最悪周りに影響を及ぼしかねない。

そして、なにより、狙われやすくなる。

魔力が強いのは良いことはもちろんある。

例えば、人を助けることをしやすくなる。

だからその分、人を殺しやすくなる。

強いことはいい事ばかりではない。

だから、狗社隼真を早く何とかしなければならない。

狗社隼真は璃杏を狙っている。

狗社隼真は知っているはずだ。

紅葉が封じられていた石は元は狗社隼真のものだ。

だから、封印が解かれたのならすぐに分かる。

紅葉を封じ込めた結界は決して弱いものではなかった。

だからこそ、狗社隼真は美結の呪いが解かれることを恐れ璃杏を狙っているのではないか・・・という推測を紅葉はしていた。

でも、あの狗社隼真ならやりかねない。

狂ったように美結を愛し、自分のものにしたがっていたあの狗社隼真なら。

狗社隼真は今も生きている。

1000年前からずっと・・・だが、もうそれは人間とは言わない。

人ならざるものだ。

神でも妖精でも精霊でもない・・・多分、分類されるとしたら・・・・・・『悪魔』だ。

そんな悪魔を璃杏なら倒せる。

確かにそうだ。

だけど、璃杏ばかりにはそんなことを押し付けてはいけない。

という気持ちが結恵や紅葉にあった。

大切な美結を助けると約束してくれて、たくさん情報を集めたり聞いたりしてくれていた。

だけど、美結と同じくらいに大切な璃杏に危険なことをこれ以上して欲しくはないと思っていた。

怪我をして死ぬようなことがあったのなら、後悔してもしきれない。

悲しくて辛くなるだけだ。

だから、結恵と話し合い二人で決めた。

自分達で狗社隼真を倒そうと。

自分達は狗社隼真には叶わない。

けれど、精霊と女神であればもしかしたら倒せなくても、人間じゃなくなるように出来るかもしれない。

そう、思って・・・。

紅葉は璃杏から狗社隼真へと泉に映す相手を変えた。

彼は今、黒川隼人として学園に潜んでいる。

クラス担任で優しく魅惑的だと人気がある。

黒川隼人の纏う光は濃い銀色。

璃杏の次にとても強い力を持っている。

そして、もしかしたら、彼は、とても恐ろしい計画を立てているのかもしれない。

璃杏を見る時の目がいかにも違う。

まるで、獲物を狙う蛇のような・・・そんな目をしている。

ぐっと泉の入っている岩場の縁に置いた手に力を込める。

「早く、何とかしなきゃ。」

紅葉は璃杏を絶対に守ってみせると心に強く誓った。
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