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6章:8歳になったらしい

52話:まさかの再会

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「では、今から魔力検査を致しますのでお付の方々は隣の部屋で待機しているようにしていてください。魔力検査を受ける14名の方は一人ずつお呼び致しますのでお待ちください。」

白いマントを着た男の人がそう合図を出す。

「では、璃杏様。お気をつけください。」

「う、うん。分かった!」

陽夏凛さんと一言二言言葉を交わして陽夏凛さんは部屋を出ていった。

お付きの人たちが出て行っている扉を見つめながら陽夏凛さんが言っていたことについて考える。

お気をつけくださいってどういう意味なんだろう?

えっ?もしかして魔力検査ってなにか危険か事とかするのかな!?猛獣と戦ったりとか?

ひぇぇええ!!そんなの無理があるよー!!

そんなことを考えてふと気づく。

・・・・・・はっ!ま、待って・・・そんなことより、今、私、ひ、ひとり!?

ど、ドウシヨウ!!まともに喋れる人いないよぉぉぉぉ!!!

し、知り合い・・・知り合いどこかに居ないかな!?

いや、で、でもよく考えて!璃杏!!知り合いがいたとしても会話が続かないよ!!困らせちゃうよ!

な、なんて言うことだ!!!

よし!ここは、隅のほうに行こう。

私はそっと人が来なそうなところへ行く。

髪が目立つ色だから人が多い所にいると余計目立って変な視線を浴びるからちょっとというかかなり嫌だ。

私は気持ちを落ち着かせるために深呼吸をする。

すうーはあー。

大丈夫。大丈夫。

「あの。」

魔力検査の時は死角があって特に支障はない。

「璃杏ちゃん・・・ですよね?」

あ、でも、契約者は水晶玉に近づいてなんの精霊と契約してるのか見られるんだっけ。

なんか、第二王子の意思とか何とか。

「り、璃杏ちゃん?」

第二王子の意思とかで紅葉を見せしめにしたくないな。

「あ、あれ?違ったのかな?でも、綺麗な銀色の髪をしているからそうだと思うんだけど・・・もしかして、聞こえていないのかな?えっと・・・あの!」

でも、でも、紅葉は大丈夫よって言ってたから私が気にしてイライラしてたらダメだよね。

ていうか、なんかさっきから呼ばれている様な?

「あ、あの!!」

ゴンッ

俯きがちだった視線を上にあげたら頭の頂点に鈍い衝撃を受けた。

「うぅぅ~~~。」

「~~~~っ!!!」

声にならない声を発し頭の頂点を抑えながら視線を向ける。

そこに居たのは私より少し身長が大きい胸ぐらいの長さの茶髪に小さな林檎の花が付いたカチューシャをつけ綺麗な黄緑色の瞳をして鼻を抑えている────「湖乃美・・・ちゃん?」がいた。

私がぼそっと名前を言うと湖乃美このみちゃんは嬉しそうな顔をした。

「うん!!覚えててくれたの!?嬉しい!璃杏ちゃん!!会いたかった~!」

そう言って涙目になった湖乃美ちゃんは私に抱きついてきた。

「ほおわぁぁぁ!!!」

抱きつかれた私はどうしていいか分からず変な奇声をあげてパニックを起こしていた。

「えっと・・・・・・何をしているんですか?」

パニック状態を起こしてから数秒後聞きなれた声が隣から聞こえた。

私は隣の方へ首を向ける。

「あ、えっと、雪都ゆきと様。こんにちは~!」

私の隣に立っていたのは星舞ほしま家子息の星舞雪都ほしまゆきと様だった。

漆黒の髪に綺麗な薔薇色の瞳をした美少年。

その美しさは歳とともに増している気がする。

今も尚、あちらこちらからチラチラと視線を感じる。

流石は攻略対象。

「こんにちは。璃杏様。えっと、その抱きついている方はどなたですか?」

困ったような顔をして聞く雪都様。

その声に反応して湖乃美ちゃんは私から離れ雪都様の前にいく。

そして、スカートを持ち上げ優雅に礼をした。

「お初にお目にかかります。星舞雪都様。私、立花湖乃美と申します。よろしくお願いします。」

「お初にお目にかかります。星舞家子息。星舞雪都と申します。こちらこそよろしくお願いします。」

雪都様も優雅に紳士の礼をする。

・・・・・・やばい。泣きそう。

絵になりすぎて萌えるっ!!!綺麗!!!スチル!!最高ですか!!!

肖像画にして部屋に飾りたい!!!

そりゃあそうだよね。攻略対象と主人公だし。

はぁぁぁ。もう死んでも悔いはない・・・でも、まだ死にたくはないな。うん。

そんなことを考えていると湖乃美ちゃんが私の方へ向き直った。

でも、その表情は不安げだった。

ん?どうしたんだ?困り事かな?

「あ!ご、ごめんなさい。璃杏ちゃんじゃなくて璃杏様!先程は失礼な態度をとってしまって本当に申し訳ありません。」

そう言いながらガバッと頭を下げる湖乃美ちゃん。

・・・・・・はて?失礼な態度・・・とは?

「え?ん?ほ?な、なんのこと??ていうか、頭を上げてくれたら私は嬉しいな。」

頭の中ははてなマークでいっぱいだったけれど流石に頭を下げられたままだと困る。

「あ、はい。ごめんなさい。」

そう言いながら体を起こす湖乃美ちゃん。

「で、失礼な態度とは?」

そう聞くと湖乃美ちゃんは少し目を見開いたあと困った顔になって口を開いた。

「き、貴族のご令嬢でしたのに気軽に話しかけてしまったり抱きついてしまったりしてとても失礼な態度をとってしまったんですけど・・・すみません。言い訳がましくなってしまいますが貴族社会について詳しくないもので。ですが、本当にすみません。」

喋っていくにつれて涙目になってく湖乃美ちゃん。

そんな湖乃美ちゃんに近づき頭を撫でてみる。

「えっと、私はあんまりそんなの気にしてないよ?だから、謝らないで。それに、湖乃美ちゃんには感謝してるんだ。」

なんて言葉をかけたらいいのか分からなかったけれど思っていることを口にしてみた。

そんな私の言葉に目を見開く湖乃美ちゃん。

「え?か、感謝ですか!?」

「うん!私ね。髪の色がすごく異質で初めて城下町に行った時に言われたんだ。化け物って。」

私がそういった時、湖乃美ちゃんと雪都様の表情が固くなった。

「気にしてないつもりでいたんだけど、やっぱり心のどこかでは寂しくてね。それで、湖乃美ちゃんにあって別れ際にこの髪が綺麗だって言ったくれたでしょ?それが、すごく嬉しくて心強かった。だから、湖乃美ちゃんには感謝してるんだ!!だから、本当にありがとう!!」

私はニコッと湖乃美ちゃんに笑顔を向ける。

「ふふっ。どういたしまして!」

湖乃美ちゃんは嬉しそうな表情をして私に笑いかけた。

天使っ!!

「あ、あの。湖乃美様に少し聞きたいんですがいいですか?」

天使の微笑みに悶え死にそうになっていると雪都様が手を挙げ湖乃美ちゃんに聞く。

「?は、はい。ど、どうぞ!」

「ありがとうございます。あの、失礼ながら湖乃美様は平民の方・・・ですよね?」

少し聞きずらそうに言う雪都様。

コクンっと頷いた様子を見て話を切り出す雪都様。

「えっと、なんの魔力を持っているんですか?ここに今日いるってことは高い魔力を持っているんですよね?」

周りに配慮してなのか少し小声で話す雪都様。

「は、はい。光の魔力を。」

「!?ひ!光の魔力を・・・ですか?す、凄いですね。」

光の魔力と聞いた瞬間雪都様は目を見開き一瞬大きな声を上げそうになっていたけれど何とか持ちこたえたらしい。

ふむ。魔法系はゲーム通りなんだな。

「いえ。そんな!!平民で魔力を持っているものは稀で私は・・・いえ、なんでもありません。」

首を小さく横に振り笑顔を作る湖乃美ちゃん。

でも、その瞳には光を失わずキラキラと輝いている。

こういう姿を見て私は本当に湖乃美ちゃんは強い子なんだと思う。

でも、やっぱり表情はどこか悲しそうだった。

元気づけてあげたいけど・・・元気づけても気持ちは晴れないかもしれないよね。

湖乃美ちゃんはきっと町の人から色々言われたんだろうな。

んんーこういう時どんな言葉をかけたらいいんだ?

うぅぅぅ~どうすればいいんだあああ!!!

悩みに悩みまくって頭が沸騰しようとした頃。

「雪都様!?」

そんな声が聞こえ視線を前にすると────はうわぁ!!!な、な、なんて言うことだっ!!!!

雪都様が湖乃美ちゃんの頭を撫でているではないか!!!

うっひょぉぉおおおお!!!!これはなんのご褒美ですか!?最高すぎますね!!

私は歓喜で言葉もでず心の中はFEVER状態で心の中で暴れまくっていた。

「あんまり自分を追い詰めすぎてはいけないと思います。それに、自分が信頼出来る人はもう近くにいると思いますよ。だから、大丈夫です。」

そう言って優しく微笑む雪都様。

「・・・・・そうですね。ありがとうございます。雪都様。」

湖乃美ちゃんも優しく微笑み返す。

ん"ん"ん"!!天に召される!!!このまま直視し続ければ私は天に召される!!!

私はスっと二人から少し距離をとりクルっと後を向き壁とこんにちはをする。

壁真っ白で落ち着くなー。

「立花湖乃美様。いらしてください。」

「は、はい!!」

湖乃美ちゃんは呼ばれて前の方へ向かっていった。足音的に。

(・・・・・・璃杏様は何をしているんでしょうか?)

私は知らなかった。

雪都様がじっとこっちを見つめ笑いがこみあげてくるのを必死に抑えているということを。

私は思いもしなかった。

まさか、この王城で事件が起こるなんて。
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