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5章:5歳になったらしい

38話:初めての友達

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「こんにちは!璃杏様!ようこそおいでくださいました!!」

家の外玄関で満面の笑みを浮かべて美しい礼をした黒髪の可愛らしい女の子───華美様。

人懐っこい笑顔を見つめ私はただ笑顔をひきつるしかなかった。

そんなご飯を食べて眠くなる午後の時間。

私は今、華美様の家──星舞家に来ていた。

何故私が星舞家に来ているのかと言うとお母様に頼まれごとをされたからだ。

本当なら紅葉に光魔法を教わるはずだったのだけれど、お母様に頼まれごとをされたため紅葉に明日またやろうと言って星舞家に来ている。

じゃあ、お母様にどんなことを頼まれたのかと言うと星舞家に地域の資料を星舞家に届けることと雪都様が忘れて行ったハンカチを届けることだ。

こういうのは普通に使用人が届けるべきなのだと思ったけどこの国では○○家に何かを届ける場合□□家の人間が自ら届けることになっている。

裏切り者がいたとしたら秘密の資料とか他の国にバラされるのを防止するため・・・って教わった。

お父様は忙しいしお母様はあんまり遠出は出来ないということで私が行くことになった。

勿論、陽夏凛さんと空桜さんもいる。

「では、お父様のところに案内致しますわ!」

色々と考えていると華美様が私の手を引いて屋敷の中に入っていった。

屋敷の中は白を基調とした空間だった。

でも、不思議と過ごしやすい雰囲気だった。

月鍵家より星舞家の方が少し大きめのお屋敷で部屋の数も月鍵家より多い。

だからその分廊下が長く華美様曰くお父様──星舞真琴ほしままこと様のお部屋は奥の方らしい。

そう・・・だから、歩く長さは長くなる・・・ということはだよ!?話す時間が長くなる!!

な、何話せばいいの!?同年代の友達なんて生まれてこの方いや前世からこの方いなかったから何話せばいいのか全っ然分からない!!!

いい天気ですねーとか?いや、でも曇っててそんなにいい天気でもないし。

「璃杏様はお家では何をしていらっしゃるのですか?」

何を話していいのか混乱していると気を使ってか華美様が話しかけてくれた。

「い、家ですか?えっと、な、習い事など色々としています。」

うぅぅつまらない回答でごめんなさい~!!

でも、しょうがないんだよー!インドア派だからあまり外には出ないし。

でも、お母様とお父様といつかお庭でピニックしてみたいなーっていう願望がある。

「そうなんですね!わたくしはよくお外でお散歩や森を散策してますわ!」

私の回答につまらなそうな顔をすることなく嬉しそうな顔をして自分のことを教えてくれた。

ふわああ!!もう!優しすぎだよおおお!!

「そ、そうなんですか!!外が好きなんですか?」

感動のあまりつい大きな声を出してしまった。

「ふふっ。ええ、外は空気が良くて好きですわ!」

にっこり笑顔で言う華美様は悪役令嬢だなんて感じられないほど可愛らしかった。

それから華美様が色々と質問してきてくれた(つまらない回答しか出来なかった)おかげで会話が途切れることがなく真琴様の部屋に着くことごできた。

真琴様の部屋の扉はどの部屋よりも大きめな扉だった。

き、緊張するー!!

華美様は私の手を離して扉をノックして声をかけた。

コンコンッ

「お父様!失礼しますわ!」

「うん。入っていいよ。」

扉の向こうから落ち着いた声が聞こえてきた。

お父様と全然違すぎて新鮮すぎる!!

ガチャ

扉を華美様が開ける。

「こんにちは。よく来てくれたね。華美も案内ありがとう。」

優しそうな笑みを浮かべる真琴様。

黒髪に桃色の瞳をしたつり目の爽やかな男性だった。

華美様はきっとお父様似なのだろう。

それに、この人もかなりのイケメンだ。

真琴様は座っていた席から立ち上がり私と華美様の元へ歩いてきて目線を合わせる。

私は持ってきていた資料を真琴様に渡した。

「あ、あああの!資料です!!」

「ああ、ありがとう。屋敷に来るまで疲れただろうから少し休んでいくといいよ。」

「あ、え、ありがとうございます!!」

そう言われたのと同時に華美様がずいっと顔を近づけて手をとって言った。

「では!今から私が屋敷の中を案内致しますわ!!あ、その前に雪都のところに行きましょう!!ハンカチを返しに来たのですよね!!」

あまりの近さに1歩下がる。

「あ、えっと、ありがとうございます?」

お礼を言ったと同時にふと私は疑問に思った。

「あ、あのなぜ、私が雪都様にハンカチを届けに来たこと知ってるんですか?」

そう、私は華美様に雪都様にハンカチを届けに来たことをまだ言っていなかった。

資料を届けたあとに言おうと思っていて後回しにしていたのだ。

だから華美様は知らないはず・・・・。

私がそう質問すると華美様は固まった。

「え、あ、そ、その、ですね。はっ!そうです!ゆ、ゆゆゆ雪都がパーティーの時にハンカチ忘れてたって言っていたようなー?」

すごく不自然な動作をしながら言う華美様。

それに、こんな感じに不自然な動作をお母様もしてた気がする。

「う、あ、のご、ごめんなさいいい!!ほ、本当はですね!!あ、あのですね。」

涙目になったかと思ったら今度は頬を赤くしてモジモジし始めた。

その姿は小動物で可愛らしかった。

うん!目の保養だね!

「あ、あの!!わ、私!!り、璃杏様とな、仲良くなりたいと思いましたの!!そ、それでですね。白百合様と雪都に頼んでハンカチを届けるのを口実にしてお近付きになろうと。ごめんなさい。」

顔を赤くしながらそう叫んだ華美様。

「へ?」

華美様の言葉に私の口から間抜けた声が出た。

まさか、お母様と華美様姉弟がぐるだったとは。

でも、今はそんなことより・・・・・・華美様い、いま、な、仲良くなりたいって・・・・!!

「じゃあ、ゆっくりして行くといいよ。華美。案内は任せたよ。」

私が嬉しさのあまり固まっていると真琴様が声をかけてきてくれた。

「そ、そうですね!で、では、行きましょう!!」

そう言って私の手を取り真琴様の部屋を出た。

「では、雪都のところに行きましょう!いつも庭の1番大きな木の下で本を読んでいますの!」

私の手を引いて駆け出す華美様。

ど、どうしよう!!私、いますっごく嬉しい!!

私、初めての友達が出来そうです!!!
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