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4章:4歳になったらしい

29話:お母さんを探し隊

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ニコッと可愛らしく無邪気に笑う女の子───湖乃美このみちゃん。

ぐはあ!!可愛いい!!

・・・・じゃなくて!!

「あ、あのー。お母さんが迷子になったの?」

私は確認のためもう一度聞く。

「?うん!あのねー、湖乃美ね可愛いお人形がある所見てたらねーお母さんがいなくなってたのー!だから、お母さんが迷子になったから湖乃美探してるんだ!」

首を1回傾げてまたにっこり笑顔で答える湖乃美ちゃん。

ふむ、これはきっと湖乃美ちゃんが迷子になっちゃった感じ?

ここで『それって、湖乃美ちゃんが迷子じゃない?』って言って不安を大きくしたくないし。

・・・・・・よし!!

「じゃあ、一緒にお母さん探そう!!」

私は湖乃美ちゃんの手をとって言った。

これなら不安はそれなりに無くなってお母さんも探せる!

「え?いいの!?わあ!ありがとう!!!」

ぱああと顔を明るくする湖乃美ちゃん。

ぐっ!!可愛すぎでしょおおお!!!

湖乃美ちゃんは茶髪の髪をポニーテールにして綺麗な黄緑色のタレ目をしたとても可愛い子だ。

でも、こんなに喜ぶなんてやっぱり不安だったのかな?

そう考えると湖乃美ちゃんってすごく強いな。

だって、泣かずにお母さんをさがしてるんだよ?私だったら泣くよ!!

見知らぬ人たちに囲まれ1人でお母さんを探す。

うひゃあー!精神削れる。

「?どうしたの??暗い顔して。」

こてんっと首をかしげて聞いてくる湖乃美ちゃん。

はっ!!ついつい暗い思考になってしまった!!

「な、なんでもないよ!!じゃあ探しに行こう!!」

私は湖乃美ちゃんの手をとって歩き出した。

「うん!!」

私は心の中で『お母さん探し隊結成』とこっそり唱えるのであった。

「・・・・・私達空気ですねー。」

「はい。そうですねー。そう言えば璃杏様あの子のお母さんどんな容姿なのか分かるんですかね?」

「・・・わからないと思いますよふふっ。璃杏様って意外にアホですからね。私達も行きましょうか。」

「今しれっと璃杏様のことアホって言ったな。確かにそうだと思うけど。」

2人も璃杏たちを追って歩き出す。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

歩き始めて約5分。

私は重大なことに気づいてしまった。

「ど・・どうしよう!わ、私!!湖乃美ちゃんのお母さんどんな容姿なのかなのか分からないっ!!」

わなわなと震えながら私は言った。

私の5分間とは一体。

それに、日も陰ってきている。

暗くなっちゃったら湖乃美ちゃんのお母さんが心配しちゃう!!早く見つけなきゃ!!

「湖乃美ちゃん!お母さんってどんな人?」

湖乃美ちゃんのお母さんのことを聞き出すため質問する。

「お母さん?私のお母さんはねー。とっても優しいけど怒ると怖いんだー!」

「ほ、ほおー。そうなんだ!いいお母さん?だね!」

聞き方間違えた!!どんな人って聞いたらそういう答え方になっちゃうよね。

うーん?どうすれば欲しい答えが・・・・。

うぅぅ言葉って難しい。

「湖乃美ちゃん3つ質問があります。1つ目!湖乃美ちゃんのお母さんってどんなお洋服着てるのかな?」

「お洋服?えっとねー・・・・・薄い茶色のワンピースに白いエプロンしてるよ!」

「そうですか!では、2つ目の質問です。どんな髪型をしてるのかな?」

「髪型・・・えっとね、一つにまとめてるよ!!」

「では、最後の質問です。お母さんの髪と目の色は何色ですか?」

「私と同じ色だよ!お揃いー!えへへ」

私が悩んでいると陽夏凛さんが湖乃美ちゃんの視線に合わせて的確な質問をする。

陽夏凛さんの質問にしっかり答える湖乃美ちゃん。

「ありがとうございます!それでは行きましょうか。璃杏様と空桜くんも行きますよー!」

感心しながら二人の会話を聞いていると陽夏凛さんが私と空桜さんを呼んだ。

「はーい!」

「はい!」

私は湖乃美ちゃんの手を握り歩き出す。

♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟

湖乃美ちゃんのお母さんを探して約20分。

全然見つからない!!

今は疲れただろうからと近くのベンチに座っている。

「どこにいるんだろう。」

「・・・お母さん。」

初めはとても元気いっぱいだった湖乃美ちゃんも疲れてお母さんがいないことにとても不安が大きくなってきたのか元気がない。

「本当にどこにいるんでしょうね。」

心配顔をしながら湖乃美ちゃんを見つめる空桜さん。

「ええ。そうですね。どこかにはいるはずなんですが。」

湖乃美ちゃんの頭を撫でながら陽夏凛さんも言う。

はあ、迷子センターとかあれば湖乃美ちゃんもこんなに悲しまなくて済むのになー。

「──────!!!──み!ど──!?」

遠くの方で女の人の声が聞こえてきた。

その人の声は焦っている声をしている。

誰かを探してるのかな?

ん?・・・・探している?

私は湖乃美ちゃんを見る。

もしかして・・・。

私は女の人の声に耳を傾ける。

「─のみ!!湖乃美!!!どこにいるの!?湖乃美!!」

はっきりと聞こえた。

湖乃美ちゃんも聞こえたのかぴくっと反応して俯いていた視線をバッと上げる。

「お母さん?・・・・!!」

湖乃美ちゃんが見つめている方を見ると湖乃美ちゃんと同じ色の髪と瞳をして髪をひとつに束ねた茶色のワンピースに白いエプロンをした可愛らしい女の人が走っていた。

湖乃美ちゃんのお母さんらしき人もこっちに気づいたのかゆっくりめに走っていた速度を上げこちらに近づいてきた。

「湖乃美!!湖乃美!こんな所にいたの!?心配したのよ!急にどこかに行かないで!!」

こちらに近づいてきて安堵した表情をした後湖乃美ちゃんにお説教をした。

湖乃美ちゃんも反省しているのか下を向きながら聞いている。

「わかった?湖乃美!」

「ごめんなさい。」

お説教を一通り終えて私達の方に湖乃美ちゃんのお母さんは視線を向けた。

「本当にありがとうございます!好奇心旺盛でよくどこかに行ってしまうんです。今回私もしっかり見ていなかったのが悪かったのですが。本当に良かった。ありがとうございます!!・・・・!!」

お辞儀をしながらお礼を言った湖乃美ちゃんのお母さん。

顔を上げる途中私と目が合い目を見開く湖乃美ちゃんのお母さん。

??どうしたんだ?

「綺麗な髪ですね。」

ニコッと優しく微笑んだ湖乃美ちゃんのお母さん。

「だよね!!お母さん!綺麗な髪してるよね!!いいなー。湖乃美もこんな綺麗な髪が欲しい。」

お母さんの言葉に湖乃美ちゃんは頷く。

なんで私の髪の色知ってるんだろう。

私は頭の方に手をやる。

フードはしっかり被っていたけれど前髪が見えていた。

そっか、これで分かったのか。

湖乃美ちゃんは同じくらいの身長だから分かったのか。

「あ、そうだ!ねえ!貴女はお名前なんて言うの?湖乃美は湖乃美っていうの!よろしくね!」

ニコッと笑って手を差し出す湖乃美ちゃん。

そう言えば、自己紹介をしてなかった!!

「わ、私は璃杏っていうの!よろしくね!湖乃美ちゃん!」

私も湖乃美ちゃんの手をとり握手する。

「じゃあ帰りましょうか。」

そう言ってから湖乃美ちゃんの手をとり歩きだそうとする湖乃美ちゃんと湖乃美ちゃんのお母さん。

そうだ!お礼言わなきゃ!!

「あ、えっと、その、あ、ありがとうございます!!」

私の声に気づいて2人は私の方に向き直る。

「「どういたしまして!璃杏ちゃん!」」

ニコッと笑って言う湖乃美ちゃんとお母さん。

ペコッとお母さんがお辞儀をしてその後また歩き出した湖乃美ちゃん達を手を振って見送る。

私の心の中はとても暖かかった。

化け物ではなく綺麗だとそう言ってくれたことがとても嬉しかった。

その後急いで馬車に乗り込み嬉しさ満点で帰った。

・・・・・・そう言えば湖乃美ちゃん誰かに似てたな。

誰だっけ?
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