悪役令嬢によるヒロイン幸せ計画!

海亜

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17話:私の熱量を感じろぉ⤴︎

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「私が訓練を通してやりたいこと。まず1つめは、“大切な人たちのピンチに颯爽と駆けつける”ことです!」

ペラ





「大切な人・・・それは好きな人に限らず、家族・友達・お世話になった人達そして・・・推し!!!この方々になにかピンチがあって気づいた時には遅かったとなったら、私は・・・私は!血の涙を流します!!!!絶対に!!冗談ではなく!!!(迫真)そうならないために!私は、ピンチに颯爽と駆けつけ助けるための強靭きょうじんな脚力を身につけます!!そして、あわよくばそいつらをバッタバッタと薙ぎ倒したいと目論んでもいます。なので、ぜひ!護身術なども知りたいですね!よろしくお願いします!」

「続いて2つめは、こちらです!」

ペラ





「“世界のハッピーなエンドを見るために駆け回る”ということをしたいと思っております。」

「さっきと同じジャマイカ!と、思ったそこのあなた!!ビシィィチッチッチ(人差し指フリフリ)。さっきは“ピンチに駆けつけ助ける”でしたが、これは!“推しの幸せは世界の幸せ!!そんな世界を駆け回る!!”ということです。ぜんっぜん違いましたね??ねぇー??」

同意を求めて、目が合った新人騎士っぽい人に微笑みかける。

その人はコクコクと青い顔をしながら頷いた。

「よろしい。体調が悪いのならぜひ、御手洗にでも行ってくださいね!グッ」サムズアップ

「え、あ、はいっ!あ、ありがとう、ございます!!」

私は頷いてから、プレゼンを続ける。

「駆け回りたいので、先程も言ったように強靭な脚力は欠かせられないですね!!!ガッツ!脚力!!走り込み!!」


ペラ





「そして、これらを掛け合わせて私は!推しの幸せと共に素晴らしきシチュエーションをもこの目に!!この煌めく目に!!!焼き付けたいと思っています!!!ですが、いい雰囲気の中、こんな要らん邪魔なやつがいたら、雰囲気はぶち壊しです。そこで!!私は“忍んで見守る”という術を身につけたいと思います!!!これが、やりたいことの3つめです!!」ドヤア

指で3を作って前に突き出す。

「そもそも、なぜ私がハッピーエンドを望んでいるのか・・・それは!“みんなが笑顔で過ごす日常が好き”だからです!!たしかに、波乱万丈の方が絆も芽生えやすいです。ですがそんなものは!!人生の少しでいいと思うんです!大切な人なら尚更そう思います!!だからっ!!私は!家族や友人そして、推しのために!!この身を削ってでも!推しの幸せを見守って、ピンチの時には助けたいんです!!!涙で終わるバッドエンドは望みません!!」

私は息を吸って拳を高々と掲げる。

「さあ!!!私の言葉を復唱しましょう!!!
推しの幸せは世界の幸せ!!はい!」

「「え、お、推しの幸せは世界の幸せ。」」

「声が小さい!!もう1回!!推しの幸せは世界の幸せ!!はい!」

「「「推しの幸せは世界の幸せ!!!」」」

「私の心は推しのもの!!!はい!」

「「「私の心は推しのもの!!!」」」

「ハッピーエンドは世界のために!!!バッドエンドは断固拒否!!はい!!!」

「「「ハッピーエンドは世界のために!!!バッドエンドは断固拒否!!!!!」」」

息の合った掛け声に私は、静かに息を吸って・・・拍手した。

パチパチパチパチパチパチ!!

「素晴らしいです!!!さすが騎士団の皆さんですね!!!こんなに息が合った声に!私はっ!私はっ!!感動ですうぅぅ!!!」

出てない涙を拭いながら、私は気持ちをリセットさせる。

「さて、続きましては!なぜ私がこの騎士団を選んだのか?という理由についてお話していきたいと思います。」

ペラ





「家の近くにあることはもちろん!訓練や運動!そして、守ることに対して“誇り”を持っていると思ったからです!誇りを持ってるって凄いことだと思うんです。現に私はなにか誇りを持ってるかって聞かれたらすぐには思いつきません。だから!誇りのひとつやふたつ!持てるようになりたいな!と思い、そんな騎士団と一緒に訓練を受けたら、誇りを!輝かしい誇りを持てると思ったんです!!ただの予感ですが!!!」グッ

サムズアップして力説する私。


「続いて私が目指し今後身につけたい能力を紹介します。そして、これがプレゼンの最後となります。」

ぺこりと礼をして片手を胸に当てる。

「存在感・・・それはあるかないかで人生が決まると言っても過言ではないものっっっ!!!!存在感が無いと同じ空間にいても10分後に「えっ、いたの?」って言われてメンタルが折れます!!そして、無さすぎると自分は透明人間かっていうくらい気づかれません・・・(号泣)こうなると、ガラスハートが粉々に砂の如く砕け散ります。まあ、ですが、逆に存在感がありすぎると色んなところで注目を集めて気疲れしてしまうと思うんです。それに、私は貴族であります。注目アツメチャイマス。(震え)
そこで!私は!!ひとつの能力を!!!能力を身につけ成長したいのです!!!考えた能力・・・それは・・・。」

ペラ





「“存在感をON/OFFできる能力”です!!先程、“忍んで見守る”ということをお伝えしましたが、それの応用版みたいな感じです!!普段使い出来たら、便利だと思うんですよ!!注目を集める時や今存在感を出さねばっ!って時にバッ!っと存在感を出し、疲れた時や今は存在感などいらん!って時にヒュッ!っと存在感を引っ込めたい!!!」

「そして、そんな能力を身につけて成長した暁には・・・。」

ペラ





「空気界の頂点に君臨したいと思っています!!!気づかないけど無いと困るそんな存在の空気ですが、そういった存在になる!と言うよりはですね・・・空気になって推しシチュエーションを邪魔することなく!かつ!!近くで表情を見たい!!!とずっと前から・・・もうっ!ほんとに!前から思ってるんです!!漢の中の漢ならぬ“空気の中の空気”になるのです!そうなるために空気界の頂点にいきたいと思っています!これは私のひとつの目標です!!!精一杯、遊びではなく本気で!私は訓練に迷惑にならないよう、努力したいと思っています!この熱意が伝わったら、嬉しいなと思います。是非、訓練に加わる方へと検討していただけたら嬉しく思います。」

「これで、私による“騎士団の訓練に加わりたいがためのプレゼン”を終了させて頂きます。ご清聴ありがとうございました。」

貴婦人の如く綺麗に45度で礼をして、体を起こすと同時にノートを閉じた。


こうして、私のプレゼンは終わったのである。
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