悪役令嬢によるヒロイン幸せ計画!

海亜

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3.5話:おかしなリティー ③【ラリアside】

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それから20分くらいした頃。

ルスターさんがリティーのことについて報告してくださった。

「リティー様は、酷い高熱で今はラリア様も近づかない方がいいですよ。せめて明後日までは様子見といったところですね。」

「そう、ですか。」

リティーが心配だったけれど、ノアやお父様とお母様、それに屋敷の人達に迷惑はかけられないから、リティーの部屋に行くのは我慢した。

─── それから3日後。

ルスターさんからリティーの容態が安定したから部屋に行ってもいいと許可を貰った。

だから、今はノアと一緒にリティーの部屋に向かっている。

「ラリア様。絶対にリティー様が起きても近づいたらダメですよ?」

リティーの部屋に行くと決まった時からノアはそう口酸っぱく注意をする。

「もう!ノア。わかったから、それ以上は言わないでね!」

思わずほっぺたを膨らませてノアに怒った。

「・・・わかりました。」

不服そうにしているノアを苦笑いしながら見ていると、リティーの部屋の扉が見えてきた。

扉の前に来た私は、静かにノックをして扉を開ける。

「リティー。部屋に入るわね。」

そう声をかけて、リティーの部屋に入る。

ベッドにはリティーがぐっすりと眠っている。

その頬は熱で赤くなっていた。

少し苦しそう。

そう思ってリティーに近づこうとした時だった。

「ぎゃあああああああああ!!!!遅刻だあああああああああああぁぁぁ!!!!!!」

「きゃあああ!」

リティーが叫んだかと思ったら、そのまま飛び起きてベッドから降り、どこかへ走ろうとしたリティーはその場にへたり込んでしまった。

数秒唖然としていたリティーは、自分の手を見つめた途端、震え出した。

心配になって声をかけたあと、ノアの制止の声も無視してリティーに近づいた。

リティーは私の顔を見るとそのまま驚いた顔をして固まってしまった。

やっぱり、私には会いたくなかったのかもしれない。

だけど、リティーが心配で目線を合わせるようにしゃがみ込んだ。

よくよく見てみるとリティーの顔がさっきよりも赤くなっている気がする。

これは大変っ!と思って熱を測るためおでこを合わせると、案の定リティーの顔がとても熱かった。

リティーに立てるか聞いても返事はなくて、どうしたのかと聞いてみた。

そうしたら明るくとても大きな声で「はいっ!!!!!元気です!!!!!」と返事をしてくれた。

あまりに大きな声だったから、驚いて黙ってしまった。

ノアの方を見ると、ノアも驚いて固まっている。

今までのリティーでは考えられない明るい声と言葉にその場はとても静かになった。

何秒かたった時、リティーはまた叫び出した。

「どびぃやああああああ!!!ごめんなさいいいい!!!静寂よぉぉおおお!!!おさまれええええええええええええ!!!!」

ゴンゴンゴンゴン!!

そして、何故か床に頭をぶつけ出した。

訳が分からず、リティーに必死に頭をぶつけることを辞めるように言っても、リティーは止まってくれない。

ノアに必死にお願いをした後、嫌々ながらもノアが助けてくれたので、頭をぶつけることは収まったけれど、ノアを見た瞬間リティーが倒れてしまった。

リティーを見つめて私たちは数秒ほど唖然とした。

先に正気に戻ったノアは、ルスターさんを呼びに行くため部屋を出ていき、私はリティーの頭から流れている血を止めるためにハンカチで頭を押えた。

私はどこか幸せそうに眠るリティーを見ながら思った。

・・・・・・・・・リティーがおかしくなってしまった。



数分後にルスターさんが慌てた様子でリティーの部屋に来て、リティーの頭の怪我やまた上がってしまった熱を見て困惑をしていた。

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