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1章:ルーシャの願い
Ⅰ
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青薔薇の色をした大きな満月が綺麗に光る夜。
毎年1度訪れる青薔薇の満月の夜はリーフレインドフェルイト学園の卒業パーティーが行われる。
煌びやかな衣装を着飾った令嬢と令息たちが学園の広いホールを彩らせ、皆尊敬する先輩に祝いの言葉を送るなどして談笑を楽しんでいる。
そんな会場内に突如響いた頬を叩く乾いた音。
会場にいた者は音が響いた場所──会場の中心に誰もが注目した。
そこにいたのは、真っ白な透けるような肌に青みがかった長い黒髪を横でひとつに括り、豪華な雰囲気の美しい令嬢───ルーシャ・マリアンローズ。
そして、見事なまでの美しい漆黒でストレートの長髪を片耳にかけて、リボンのピンでとめたとても華奢で可憐な美少女───サクラ・フェンリルの2人だった。
ルーシャはもともと目がつり上がった水色の瞳をさらに吊り上げサクラに向けてとても凄みのある睨みをきかせている。
サクラは叩かれた頬を抑えながら無表情でこれまた鋭い視線をルーシャに怯むことなく向けている。
「何をなさるんですか。ルーシャ様。」
サクラは少し低めの怒りを抑えた声でルーシャに問う。
「何をなさるのですか・・・ですって!?男爵家のくせに!私の婚約者である殿下を奪っておきながら偉そうに私に歯向かわないでちょうだい!貴女なんて元は貧乏で貧相な平民だったじゃない!だからそんなに醜いのよ!醜くいくせに殿下に言いよるんじゃないわよ!!殿下が穢れてしまいますわ!!殿下を誰よりもお慕いしているのは私なの!!!私は地位もありますし誰よりも美しい容姿をしている自信がありますの!!!!貴女なんかより私の方が殿下にふさわしいですわ!!!!あなたみたいな醜くて気品もなく汚らわしい表情のない気持ち悪いサクラ・フェンリルなんて・・・・・・死んでしまえばいいですわ!!!!!!」
ルーシャは怒りで顔を真っ赤にしながらサクラに罵声を浴びせる。
そして、近くにあったワイングラスを割りサクラに向かって振り上げる。
サクラはルーシャの話を無表情で聞いていたが、さすがに割れたワイングラスを振り上げられた時は驚きで目を見開いた。
サクラは避けることも出来ず目を閉じ腕で顔を守り痛みがくるのを待っていた。
しかし、サクラに当たる寸前でルーシャの手首を掴む者がいた。
ルーシャはサクラに怒りをぶつけようとしたのに止められ、イラついて手首を掴んだ相手を睨んだ。
そしてルーシャの顔が一気に青ざめた。
ルーシャの手首を掴んだのはルーシャの婚約者であるソルト・ウォリカステ・フローリア。
このフローリア王国の第2王子である。
毎年1度訪れる青薔薇の満月の夜はリーフレインドフェルイト学園の卒業パーティーが行われる。
煌びやかな衣装を着飾った令嬢と令息たちが学園の広いホールを彩らせ、皆尊敬する先輩に祝いの言葉を送るなどして談笑を楽しんでいる。
そんな会場内に突如響いた頬を叩く乾いた音。
会場にいた者は音が響いた場所──会場の中心に誰もが注目した。
そこにいたのは、真っ白な透けるような肌に青みがかった長い黒髪を横でひとつに括り、豪華な雰囲気の美しい令嬢───ルーシャ・マリアンローズ。
そして、見事なまでの美しい漆黒でストレートの長髪を片耳にかけて、リボンのピンでとめたとても華奢で可憐な美少女───サクラ・フェンリルの2人だった。
ルーシャはもともと目がつり上がった水色の瞳をさらに吊り上げサクラに向けてとても凄みのある睨みをきかせている。
サクラは叩かれた頬を抑えながら無表情でこれまた鋭い視線をルーシャに怯むことなく向けている。
「何をなさるんですか。ルーシャ様。」
サクラは少し低めの怒りを抑えた声でルーシャに問う。
「何をなさるのですか・・・ですって!?男爵家のくせに!私の婚約者である殿下を奪っておきながら偉そうに私に歯向かわないでちょうだい!貴女なんて元は貧乏で貧相な平民だったじゃない!だからそんなに醜いのよ!醜くいくせに殿下に言いよるんじゃないわよ!!殿下が穢れてしまいますわ!!殿下を誰よりもお慕いしているのは私なの!!!私は地位もありますし誰よりも美しい容姿をしている自信がありますの!!!!貴女なんかより私の方が殿下にふさわしいですわ!!!!あなたみたいな醜くて気品もなく汚らわしい表情のない気持ち悪いサクラ・フェンリルなんて・・・・・・死んでしまえばいいですわ!!!!!!」
ルーシャは怒りで顔を真っ赤にしながらサクラに罵声を浴びせる。
そして、近くにあったワイングラスを割りサクラに向かって振り上げる。
サクラはルーシャの話を無表情で聞いていたが、さすがに割れたワイングラスを振り上げられた時は驚きで目を見開いた。
サクラは避けることも出来ず目を閉じ腕で顔を守り痛みがくるのを待っていた。
しかし、サクラに当たる寸前でルーシャの手首を掴む者がいた。
ルーシャはサクラに怒りをぶつけようとしたのに止められ、イラついて手首を掴んだ相手を睨んだ。
そしてルーシャの顔が一気に青ざめた。
ルーシャの手首を掴んだのはルーシャの婚約者であるソルト・ウォリカステ・フローリア。
このフローリア王国の第2王子である。
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