こんな俺でも世界救えますか?

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敵は影だけじゃなかったんだ。

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ん?俺は歩きながらある事に気づいた。
俺、傷治ってるのにコイツと一緒にいるんだ?
え?は?自分の行動に理解できない。
「ねぇ、白くん。君はこれからどうする?」
と、ナイスタイミングで言ってきた。
「1人で前へ前へ進む。ただ、それだけだ」
と、俺は淡々と言った。
「ふ~ん。」
と、微妙な反応だ。
お前が聞いたんだろ?!と、思っていると。
「でも、それは悲しい事だね」
と、まるで自分の事のように言ってきた。
少し嫌な気分だ。バカにしてるのか?

「は?なぜだ。1人で自分のしたいことができるし、誰にも邪魔されない。
もし、死んだときはおのれ自身の力が及ばなかっただけだ。」
と、アイツに理解してもらうために詳しく言った。
自分の行動が分からない。なぜだ
アイツに理解してもらおうとしている?
「でも、1人は寂しい。自分の力を試せるかもしれない。けど、それで死んでしまったら、それは悲しくないことなのかい?」
と、いつになく聞いてくる。
少し風が強くなった。
「別に……いいんだ。それで。」
と、それっきり話はない。
ガサガサっ……!物音がする。
また影かっ………!2人は構える。
いや、違う。これは……。


人?!そうか、こいつは憑依されたか。
影は人だけではなく生きているもの全てに、憑依できる。
日にちが経つほど憑依された人は強くなるが、自我を失う。
こうなってはもう人ではないな……。
こうなった人を堕天という。
弱みを影に握られたやつらだ。あわれな
「白くん、下がっててくれ!
今回は少し危ないかもね。そしたら逃げてくれ!」
と、自分の事は気にせず俺のことを気にしながら言ってきた。
もう声はかけられない、戦闘に入った。
アイツの刀が光る。前より強く。
「はぁぁあ!朽ち果てろ!」
と、思いっきり切った。



でも、ダメだった。
「ぐぉぉぉ!こ……ろす。」
と、影はアイツを殴った。
「がっっ!」
と、前にいたはずのアイツが俺の後ろの壁にぶつかった。
「ダンっ!」
鈍い音だ。
「おい!大丈夫かよ!しっかりしろよ!
おい!」
と、声をかけた。
「し……白…くん。にげ……て、、」
と、アイツは言った。
頭や手。色々な所から血が溢れている。



こんなに負傷してはアイツはもう戦えない。

俺は……逃げる?

俺は……戦う?


助けてくれた人を見捨てる?


また。俺は……人を見捨て…る?

もう。俺は……。

「俺は!もう!俺の前で大事な人を殺させない!」
「白…くん。な……にを…言って?」
俺は後ろを向き、こう言った。
「もう喋らなくていい。そこで待ってろ。
俺がアイツを殺す。」
アイツはニコッと笑った。
「はぁぁぁぁぁ!堕天したものよ!
しね!」
俺の目が赤く染まり、背中から黒い羽が生え髪が赤く伸び角が生えた。
それはそれは。
おぞましい悪魔の姿のようだった。




あぁ、力を使ってしまうのだね。
私は知らない。私は知らない。
君は何をする?
運命に抗う?抗ってもう無駄だ。
私は知らない。
知らない。



…………運命が苦しめる。
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