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第17話 決着
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「チクショウ……何でオレがこんな目に……」
身体の自由を奪われたライが、ガックリとうなだれる。
「オレはただ、ラウンジでタダ酒飲んで、ちやほやされたかっただけなのに……」
「自業自得だ」
打ちひしがれるライを見下ろし、俺は念のため発動させていたコンバットモードを解除した。
ライが俺を睨みつける。
「……いったい何が目的だ! オレに何をさせようってんだ!」
冒険者ギルドにやってくると、宇宙要塞所持の手続きをするべく受付嬢に書類を用意してもらった。
黙々とライが記入していく中、受付嬢がこっそりと耳打ちした。
「……ライさんを説得するなんて、さすがカイルさんですね」
「なんてことはない。存外、話のわかる男だったよ」
俺はライの秘密を口外しない。その代わり、ライは俺が宇宙要塞を所持するための名義人になってもらう。
まさにwin-win。双方が得をする、実にいい取引だった。
ギルドで書類申請が終わると、俺とライは冒険者ギルドを後にした。
疲れた様子でライがため息をつく。
「オレがニセSランク冒険者と知って、その上で宇宙要塞所持の名義人をさせようとするなんて……。人のこと言えた義理じゃないが、アンタ相当ぶっ飛んでるな」
「勘違いするなよ。俺は何も知らなかった。ライとかいう詐欺師に騙された、ただの被害者だ」
「おいおい、それじゃあまるで、全部オレが悪いみたいじゃねぇか!」
「そうだろ、実際。身から出たサビだ。最初からSランク冒険者だなんて偽らなければ、俺に目をつけられなかったのにな」
ライが心底恨めしそうに俺を睨んでくるのだった。
顔合わせのためにシーシュポスにやってくると、エクリにライを紹介した。
「えっ……この人、Sランク冒険者のライさんじゃない!? ウソ……まさか、あたしたちに協力してくれるの!?」
「半分正解だ」
『ライのランクは虚偽のものです。正しくはニセSランク冒険者です』
シシーの言葉に、エクリが耳を疑った。
「はぁ!? ニセって……ギルドカードを偽造したの!?」
一同の視線がライに集まる。
「いや、ギルドカードは本物だ」
ライによると、莫大な功績と引き換えに戦死した冒険者と身分を偽り再発行してもらったらしい。
「俺はただ、整形して名前も変えたって設定で冒険者ギルドで再発行してもらっただけだ」
エクリが呆れた様子でため息をついた。
「……アンタの周りにはロクなのがいないわね……」
ナノマシンをハッキングされ、強制労働している海賊。身分を偽りSランク冒険者を自称する詐欺師。
なるほど、たしかにエクリの言う通りかもしれない。
俺がうんうんと頷いていると、エクリがジト目で俺を睨みつけた。
「……アンタよ、ロクでなし一等賞は」
一ヵ月後。無事、宇宙要塞所持の申請が通ると、俺たちは建設計画を練るのだった。
身体の自由を奪われたライが、ガックリとうなだれる。
「オレはただ、ラウンジでタダ酒飲んで、ちやほやされたかっただけなのに……」
「自業自得だ」
打ちひしがれるライを見下ろし、俺は念のため発動させていたコンバットモードを解除した。
ライが俺を睨みつける。
「……いったい何が目的だ! オレに何をさせようってんだ!」
冒険者ギルドにやってくると、宇宙要塞所持の手続きをするべく受付嬢に書類を用意してもらった。
黙々とライが記入していく中、受付嬢がこっそりと耳打ちした。
「……ライさんを説得するなんて、さすがカイルさんですね」
「なんてことはない。存外、話のわかる男だったよ」
俺はライの秘密を口外しない。その代わり、ライは俺が宇宙要塞を所持するための名義人になってもらう。
まさにwin-win。双方が得をする、実にいい取引だった。
ギルドで書類申請が終わると、俺とライは冒険者ギルドを後にした。
疲れた様子でライがため息をつく。
「オレがニセSランク冒険者と知って、その上で宇宙要塞所持の名義人をさせようとするなんて……。人のこと言えた義理じゃないが、アンタ相当ぶっ飛んでるな」
「勘違いするなよ。俺は何も知らなかった。ライとかいう詐欺師に騙された、ただの被害者だ」
「おいおい、それじゃあまるで、全部オレが悪いみたいじゃねぇか!」
「そうだろ、実際。身から出たサビだ。最初からSランク冒険者だなんて偽らなければ、俺に目をつけられなかったのにな」
ライが心底恨めしそうに俺を睨んでくるのだった。
顔合わせのためにシーシュポスにやってくると、エクリにライを紹介した。
「えっ……この人、Sランク冒険者のライさんじゃない!? ウソ……まさか、あたしたちに協力してくれるの!?」
「半分正解だ」
『ライのランクは虚偽のものです。正しくはニセSランク冒険者です』
シシーの言葉に、エクリが耳を疑った。
「はぁ!? ニセって……ギルドカードを偽造したの!?」
一同の視線がライに集まる。
「いや、ギルドカードは本物だ」
ライによると、莫大な功績と引き換えに戦死した冒険者と身分を偽り再発行してもらったらしい。
「俺はただ、整形して名前も変えたって設定で冒険者ギルドで再発行してもらっただけだ」
エクリが呆れた様子でため息をついた。
「……アンタの周りにはロクなのがいないわね……」
ナノマシンをハッキングされ、強制労働している海賊。身分を偽りSランク冒険者を自称する詐欺師。
なるほど、たしかにエクリの言う通りかもしれない。
俺がうんうんと頷いていると、エクリがジト目で俺を睨みつけた。
「……アンタよ、ロクでなし一等賞は」
一ヵ月後。無事、宇宙要塞所持の申請が通ると、俺たちは建設計画を練るのだった。
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