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第13話 事業拡大
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海賊を捕獲すると、奴らのナノマシンをハッキングし強制的にデブリの解体に従事させることに成功した。
これによりデブリ解体のペースが速くなると共に、俺が自由に過ごせる時間が増えた。
回収専門のドローンが自動でデブリを回収し、捕虜となった海賊たちに解体をさせる。
これぞ不労所得。働かずして自動で儲かる仕組みが出来上がりだ。
しかし、現状の収入には満足できたが、まだ足りない。
一日で20万ゼニーを稼ぎ出すことに成功したが、これにはばらつきがある。
デブリを多く回収できた日は収益が増えるが、逆に少なければ収益は下がる。
また、電子基板やレアメタルの少ないハズレを引いてしまえばその分もロスとなり、これも利益を下げる要因となる。
安定した収益を挙げるべく話し合いの場を設けると、シシーがこれまでデブリの回収で挙げた利益と共に、中古パーツショップの調査記録が表示した。
『我々が供給したパーツは、回収業者を通じて中古品店や修理業者へ卸されることとなります。この際、原価に50%を上乗せしたものが末端価格として流通することとなります』
「つまり、回収業者や小売店の仕事を奪えばその分利益を上乗せできて、さらなる利益が見込めるというわけだ」
シシーの提案に納得していると、エクリが割り込んできた。
「でも、お店もないのにどうやって売るつもり? まさか、冒険者ギルドにいる連中に片っ端から声かけていくつもりじゃないでしょうね」
なるほど、その手があったか。
「うわ……その顔、ぜったいロクなこと考えてないでしょ……」
俺の顔を見て、エクリが後ずさる。
『闇雲に営業をしたところで、満足な成果は期待できません』
「じゃあ、どうするのよ」
「……つまり、必要としている奴らに狙い撃ちして、直接売りに行けばいいってことだ」
冒険者ギルドで、ガックリと肩を落としている男がいた。
「まいったなぁ……。船、これからどうしよう……」
モンスター討伐のクエストをクリアしたはいいものの、船体に深刻なダメージを受けてしまった。
クエストの報酬で修理をしたとしても、トータルの収支はマイナスとなってしまう。
「格安で直せりゃ、話が早いんだけどなぁ……」
「なあ、良ければ修理してやろうか?」
声をかけてきたのは、新人の冒険者だ。この男、たしか昇格試験を完全クリアしてしまったという逸材だった。
「できるのか? 修理……」
「できるからこうして持ち掛けているんだ」
自信満々に胸を叩く男。
なんにせよ、彼の提案は渡りに船だ。
「ありがてぇ……! 頼むぜ、えっと……」
「カイルだ。カイル・バトラー」
「おう、頼んだぜ、カイル!」
「もちろん。その代わり、相応の手間賃と材料費はかかるが……」
カイルの算出した金額は、付近の整備工場の見積もりよりも大幅に安い金額であった。
カイルと冒険者のやりとりを見て、エクリがポツリと呟いた。
「そういえば、アイツ機関士の免状持っていたわね……」
なるほど、修理をするという名目であれば、大量の部品を買わせることができる。
その上修理費までとれるのだから、抜け目のないことだ。
冒険者の男から船を預かると、シーシュポスと手に入れた海賊船で挟むように接舷させ、物資の搬入を進めていく。
それと並行して修理箇所をチェックしていると、エクリがやってきた。
「大丈夫なの? 宇宙船を修理なんて……。シールド発生装置を修理するのとは、ワケが違うのよ?」
「なんだ、俺の腕を信用していないのか?」
「そうじゃなくて……いくらアンタが頑張っても、一人で丸々一隻修理するなんて無茶よ! せめて、もっと人手があれば……」
なんだ、そういうことか……
ここにきて、ようやく俺はエクリの言わんとしていることを理解した。
「いるだろ。手が空いていて、なんでもさせられる連中が」
「おい……なんで俺たちは船の解体までやらされてるんだ……?」
修理する船に集められた海賊が、ぼそりと愚痴をこぼす。
「解体じゃない、修理するんだ。直すのは俺がやるから、お前たちはバラすところまでやってくれ」
修理計画と各々の役割をナノマシンに送信すると、海賊たちを使役して宇宙船の修理が始まるのだった。
直した宇宙船を冒険者に返すと、修理費と称して500万ゼニーをもらった。
「わっ……こんなに儲かるなんて……!」
現金を見てエクリが目を輝かせる。
従来通り部品を売れば70万ゼニー程度の売却益だったところが、宇宙船の修理という付加価値をつけただけで500万に化けてしまった。
「ふむ……材料が中古で済んだことと海賊の人件費がタダなのを鑑みても、いい利益率だな」
紹介料として利益の1割を受け取ったエクリが、嬉しそうに札を数える。
「ふふん、こんなにお金があるなら、装備でも新調しようかしら」
「それなら、新しくスキルを買ったらどうだ?」
「スキルを?」
これによりデブリ解体のペースが速くなると共に、俺が自由に過ごせる時間が増えた。
回収専門のドローンが自動でデブリを回収し、捕虜となった海賊たちに解体をさせる。
これぞ不労所得。働かずして自動で儲かる仕組みが出来上がりだ。
しかし、現状の収入には満足できたが、まだ足りない。
一日で20万ゼニーを稼ぎ出すことに成功したが、これにはばらつきがある。
デブリを多く回収できた日は収益が増えるが、逆に少なければ収益は下がる。
また、電子基板やレアメタルの少ないハズレを引いてしまえばその分もロスとなり、これも利益を下げる要因となる。
安定した収益を挙げるべく話し合いの場を設けると、シシーがこれまでデブリの回収で挙げた利益と共に、中古パーツショップの調査記録が表示した。
『我々が供給したパーツは、回収業者を通じて中古品店や修理業者へ卸されることとなります。この際、原価に50%を上乗せしたものが末端価格として流通することとなります』
「つまり、回収業者や小売店の仕事を奪えばその分利益を上乗せできて、さらなる利益が見込めるというわけだ」
シシーの提案に納得していると、エクリが割り込んできた。
「でも、お店もないのにどうやって売るつもり? まさか、冒険者ギルドにいる連中に片っ端から声かけていくつもりじゃないでしょうね」
なるほど、その手があったか。
「うわ……その顔、ぜったいロクなこと考えてないでしょ……」
俺の顔を見て、エクリが後ずさる。
『闇雲に営業をしたところで、満足な成果は期待できません』
「じゃあ、どうするのよ」
「……つまり、必要としている奴らに狙い撃ちして、直接売りに行けばいいってことだ」
冒険者ギルドで、ガックリと肩を落としている男がいた。
「まいったなぁ……。船、これからどうしよう……」
モンスター討伐のクエストをクリアしたはいいものの、船体に深刻なダメージを受けてしまった。
クエストの報酬で修理をしたとしても、トータルの収支はマイナスとなってしまう。
「格安で直せりゃ、話が早いんだけどなぁ……」
「なあ、良ければ修理してやろうか?」
声をかけてきたのは、新人の冒険者だ。この男、たしか昇格試験を完全クリアしてしまったという逸材だった。
「できるのか? 修理……」
「できるからこうして持ち掛けているんだ」
自信満々に胸を叩く男。
なんにせよ、彼の提案は渡りに船だ。
「ありがてぇ……! 頼むぜ、えっと……」
「カイルだ。カイル・バトラー」
「おう、頼んだぜ、カイル!」
「もちろん。その代わり、相応の手間賃と材料費はかかるが……」
カイルの算出した金額は、付近の整備工場の見積もりよりも大幅に安い金額であった。
カイルと冒険者のやりとりを見て、エクリがポツリと呟いた。
「そういえば、アイツ機関士の免状持っていたわね……」
なるほど、修理をするという名目であれば、大量の部品を買わせることができる。
その上修理費までとれるのだから、抜け目のないことだ。
冒険者の男から船を預かると、シーシュポスと手に入れた海賊船で挟むように接舷させ、物資の搬入を進めていく。
それと並行して修理箇所をチェックしていると、エクリがやってきた。
「大丈夫なの? 宇宙船を修理なんて……。シールド発生装置を修理するのとは、ワケが違うのよ?」
「なんだ、俺の腕を信用していないのか?」
「そうじゃなくて……いくらアンタが頑張っても、一人で丸々一隻修理するなんて無茶よ! せめて、もっと人手があれば……」
なんだ、そういうことか……
ここにきて、ようやく俺はエクリの言わんとしていることを理解した。
「いるだろ。手が空いていて、なんでもさせられる連中が」
「おい……なんで俺たちは船の解体までやらされてるんだ……?」
修理する船に集められた海賊が、ぼそりと愚痴をこぼす。
「解体じゃない、修理するんだ。直すのは俺がやるから、お前たちはバラすところまでやってくれ」
修理計画と各々の役割をナノマシンに送信すると、海賊たちを使役して宇宙船の修理が始まるのだった。
直した宇宙船を冒険者に返すと、修理費と称して500万ゼニーをもらった。
「わっ……こんなに儲かるなんて……!」
現金を見てエクリが目を輝かせる。
従来通り部品を売れば70万ゼニー程度の売却益だったところが、宇宙船の修理という付加価値をつけただけで500万に化けてしまった。
「ふむ……材料が中古で済んだことと海賊の人件費がタダなのを鑑みても、いい利益率だな」
紹介料として利益の1割を受け取ったエクリが、嬉しそうに札を数える。
「ふふん、こんなにお金があるなら、装備でも新調しようかしら」
「それなら、新しくスキルを買ったらどうだ?」
「スキルを?」
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