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第7話 クエスト完了
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降伏した海賊たちを捕虜にすると、自由を奪った状態で商船の機関室に収容する。
「悪いな。海賊の収容まで任せて……」
「いえいえ、こちらは船を修理してもらった上、海賊の襲撃から守って頂いたのですから。これくらいさせてください」
海賊たちはマタスたちに任せると、俺とエクリは金目のものはないか物色するべく、海賊船に乗り込んだ。
海賊の持つ船や宝は倒した者のモノになるらしく、この場合海賊と戦っていた俺とエクリに所有権があるということになる。
「さてと……それじゃあお宝でも探しますかー!」
エクリが戦い以上のやる気を見せながら船内を物色していく。
「……なあ、その前に、取り分を決めないか? あとで揉めても困るだろ」
「そ、それもそうね……」
エクリがおあずけを食らった猫のようにしゅんとする。
「……言っておくけど、今までぼっちだったからそこまで気が回らなかったとかじゃないから。本当に本当にうっかりしてただけだから!」
いらないことを言うエクリをなだめ、ちらりと船内に目をやる。
「……それで、取り分はどうやって決めるんだ?」
「そうね……パーティーにもよるんだけど、所有している船の数で決めたり、戦いでの貢献度で決めたり、単純に乗組員の人数比にすることもあるわね」
「ふむ……それじゃあ、取り分は一対一でいいか?」
「えっ、いいの……? あたし、今回ほとんどなにもしてないけど……」
「そんなことはないだろ。俺が修理している間、お前が戦ってくれてたからなんとかなったんだ。正当な取り分だ」
「カイル……!」
感極まったのか、熱の籠った瞳で俺を見つめるエクリ。
とはいえ、今は護衛の任務があるため、この場に長居はできない。
すぐに回収できる金目の物だけ頂くと、後日この場に戻るべく座標を記録するのだった。
目的地であるユトランゼ星系に到着すると、マタスから護衛の報酬を頂いた。
「こっ……こんなに……! いいの!? こんなに貰っちゃって……!」
「もちろんです。護衛費と日割りの拘束費、シールド発生装置の修理費も込みですから」
予想以上の収穫なのか、エクリがホクホク顔で金を受け取る。
「上の連中に言っておけ。船はもっと大事に扱えってな」
マタスが苦笑した。
「善処します」
そうして護衛が終了すると、捕虜にしていた海賊たちを帝国軍に引き渡し、報奨金を受け取った。
「護衛の報酬が150万ゼニー、修理費が100万ゼニー、海賊の報奨金が500万ゼニー……さらに船や金品もつくのか……。美味いな、海賊狩り」
「でしょ!」
エクリがふふんと薄い胸を張る。
「海賊船は放置していたから、これから回収しましょ。廃品回収の業者に出せば、それなりにいい額になるんだから!」
「廃品回収、ね……」
置いていったものの中には、電子機器を始め、それなりに高価な品もある。
それらもすべて廃品回収の業者とやらに丸投げしてしまうのか。
「……なあ、自分で解体して使えるものを貰ってもいいのか?」
「別に大丈夫だけど、船の解体なんて素人のあたしには……って、そういえばアンタは機関士の免状を持ってたっけ。それなら一人で解体くらいできそうね……」
エクリが一人納得する。
「エクリの分も解体しようか?」
「いいの!?」
「別に構わないぞ。趣味の延長線みたいなもんだ」
貴金属や食料品など簡単に回収できるものはエクリに任せ、俺は機械類の解体を進めていく。
パッと見たところ、ドローンの材料になりそうなものも多い。
「シシー、使えそうなものがあったらリストアップしてくれ」
『了解しました』
そうして、使えそうな部品や電子パーツをシーシュポス号に格納していく。
あらかじめ倉庫に余裕を持たせておいてよかった。おかげで、船体重量にもまだまだ余裕がある。
コックピットや動力部を分解すると、空になった宇宙船もドローンでバラバラにした。
少し前まで現役だった船が廃船となり、今度は影も形もなく分解されていく。
その様を見て、エクリは自分の船でポロリとこぼした。
『まるでハゲタカね……』
「……俺の分はもう終わったんだが、自分の分は自分で解体するか?」
『い、いい! カイルに全部お願いするわ! ……なんなら、手間賃とか払うし!』
態度を急変させたエクリに呆れつつ、残る船の解体を進めていくのだった。
すべての船の解体を終えると、画面の向こうではエクリがうーんと背伸びをした。
『解体も終わったことだし、冒険者ギルドに戻るわよ』
「ああ……、分解したパーツの買い手を見つけなきゃいけないもんな」
『それもあるけど……もっと他にやることがあるでしょ』
「やること?」
『クエスト成功を祝して、パーっと飲むのよ!』
「悪いな。海賊の収容まで任せて……」
「いえいえ、こちらは船を修理してもらった上、海賊の襲撃から守って頂いたのですから。これくらいさせてください」
海賊たちはマタスたちに任せると、俺とエクリは金目のものはないか物色するべく、海賊船に乗り込んだ。
海賊の持つ船や宝は倒した者のモノになるらしく、この場合海賊と戦っていた俺とエクリに所有権があるということになる。
「さてと……それじゃあお宝でも探しますかー!」
エクリが戦い以上のやる気を見せながら船内を物色していく。
「……なあ、その前に、取り分を決めないか? あとで揉めても困るだろ」
「そ、それもそうね……」
エクリがおあずけを食らった猫のようにしゅんとする。
「……言っておくけど、今までぼっちだったからそこまで気が回らなかったとかじゃないから。本当に本当にうっかりしてただけだから!」
いらないことを言うエクリをなだめ、ちらりと船内に目をやる。
「……それで、取り分はどうやって決めるんだ?」
「そうね……パーティーにもよるんだけど、所有している船の数で決めたり、戦いでの貢献度で決めたり、単純に乗組員の人数比にすることもあるわね」
「ふむ……それじゃあ、取り分は一対一でいいか?」
「えっ、いいの……? あたし、今回ほとんどなにもしてないけど……」
「そんなことはないだろ。俺が修理している間、お前が戦ってくれてたからなんとかなったんだ。正当な取り分だ」
「カイル……!」
感極まったのか、熱の籠った瞳で俺を見つめるエクリ。
とはいえ、今は護衛の任務があるため、この場に長居はできない。
すぐに回収できる金目の物だけ頂くと、後日この場に戻るべく座標を記録するのだった。
目的地であるユトランゼ星系に到着すると、マタスから護衛の報酬を頂いた。
「こっ……こんなに……! いいの!? こんなに貰っちゃって……!」
「もちろんです。護衛費と日割りの拘束費、シールド発生装置の修理費も込みですから」
予想以上の収穫なのか、エクリがホクホク顔で金を受け取る。
「上の連中に言っておけ。船はもっと大事に扱えってな」
マタスが苦笑した。
「善処します」
そうして護衛が終了すると、捕虜にしていた海賊たちを帝国軍に引き渡し、報奨金を受け取った。
「護衛の報酬が150万ゼニー、修理費が100万ゼニー、海賊の報奨金が500万ゼニー……さらに船や金品もつくのか……。美味いな、海賊狩り」
「でしょ!」
エクリがふふんと薄い胸を張る。
「海賊船は放置していたから、これから回収しましょ。廃品回収の業者に出せば、それなりにいい額になるんだから!」
「廃品回収、ね……」
置いていったものの中には、電子機器を始め、それなりに高価な品もある。
それらもすべて廃品回収の業者とやらに丸投げしてしまうのか。
「……なあ、自分で解体して使えるものを貰ってもいいのか?」
「別に大丈夫だけど、船の解体なんて素人のあたしには……って、そういえばアンタは機関士の免状を持ってたっけ。それなら一人で解体くらいできそうね……」
エクリが一人納得する。
「エクリの分も解体しようか?」
「いいの!?」
「別に構わないぞ。趣味の延長線みたいなもんだ」
貴金属や食料品など簡単に回収できるものはエクリに任せ、俺は機械類の解体を進めていく。
パッと見たところ、ドローンの材料になりそうなものも多い。
「シシー、使えそうなものがあったらリストアップしてくれ」
『了解しました』
そうして、使えそうな部品や電子パーツをシーシュポス号に格納していく。
あらかじめ倉庫に余裕を持たせておいてよかった。おかげで、船体重量にもまだまだ余裕がある。
コックピットや動力部を分解すると、空になった宇宙船もドローンでバラバラにした。
少し前まで現役だった船が廃船となり、今度は影も形もなく分解されていく。
その様を見て、エクリは自分の船でポロリとこぼした。
『まるでハゲタカね……』
「……俺の分はもう終わったんだが、自分の分は自分で解体するか?」
『い、いい! カイルに全部お願いするわ! ……なんなら、手間賃とか払うし!』
態度を急変させたエクリに呆れつつ、残る船の解体を進めていくのだった。
すべての船の解体を終えると、画面の向こうではエクリがうーんと背伸びをした。
『解体も終わったことだし、冒険者ギルドに戻るわよ』
「ああ……、分解したパーツの買い手を見つけなきゃいけないもんな」
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「やること?」
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