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二の八

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しばらく鬼ごっこをした後、お互い体力切れになり鬼ごっこを辞めた。

「ぜー...はー...お前馬鹿だよ...」
「うるさいセナが悪いだろ...」

口喧嘩をする体力はあるので口で喧嘩だけしているその時、周りに誰かがいる気配がした。

「......」
「スマイル」
「うん」

セナも気づいたのか体を起こして周りをあからさまに警戒しだす。


カサ、カサカサッ!


そんな音が聞こえてそちらを振り向くと、イノシシのような見た目をした魔物がこちらに突っ込んできた。

「ブゴーーーーッ!!!!」

「うわぁぁぁぁぁ?!?!」
「イノシシィィィ?!?!」

2人で慌てて回避をすると、イノシシはそのまま木に衝突した。

「ブゴッ?!」

というイノシシの鳴き声と倒れていく木、そしてこちらを睨むイノシシの仲間らしきイノシシ✕3

「あっ」
「あー...」

そしてふたりで顔を見合わせて結論を出す。


「「逃げよう!!!!」」
「「「「ブヒーーーーーッ!!!!」」」」


追いかけてくるイノシシ。
全力で走るセナと飛ぶ俺っち。
なんか俺っち達超全力なのに追いつかれてるんだけどなんで?!?!
時速何kmだよこのイノシシ共!!
しかもここ行き止まりじゃん!!

「詰んだーーーっ!!」
「アレを倒せ?!何その無理ゲー!!」

2人してまた叫ぶ。
なんなのもう!!
とにかく、ここは倒すしかないと割り切って俺っちはスプーンをイノシシに向けて構える。
セナもあの覆面野郎共から奪った剣を構えて、イノシシに向ける。
そして、いざ戦闘!!


という所で1匹のイノシシが倒れた。

「......え?」

俺っちが驚いて固まると、もう1匹、もう1匹と倒れて行き、ポカーンとしてるとイノシシに追われている時には気づかなかったが後ろから魔法の様な気配を感じとれた。

「誰だ?!」

そこを見ると、1匹の蝶がいた。
青く光っていて、とても綺麗だ。

「蝶......?」

その喋は、俺っちとセナの周りをしきりにくるくると回ってはとある木に止まり、またくるくると回り...を繰り返していた

「ついて来いってことか?」

とセナが言い、蝶が止まった木の方へ行く。
蝶は俺っちの周りをくるくると回り、先程の木に止まらず奥の方に進み始めた。

「ついて来いってことか。」

セナが抜いた剣をしまわずに、警戒心を剥き出しにして蝶の後を追っていく。
俺っちも置いていかれないように2人?の後を必死に追う。


蝶を追いかけて10分ほどだろうか?
開けた道に出た。

その道で蝶は木の上にいる何者かの方向へと飛んで行った。
恐らくこの何者かの所へと案内するのが役目だったのだろう。

 
(絵    ねっしぃ 様
@Amagumo1105)

「ありがとう、お疲れ様。」

少年はニッコリと微笑んで蝶に話しかける。

「お久しぶり、かな?」
「この見た目じゃわかんないかもね」

「......誰だよ」

セナが剣を両手で構えて睨む。

「ハクだよ」

少年は答えた。

「忘れた?同ギルドのハク。」

その名前を言われた瞬間、セナが構えてた剣を鞘の中に仕舞う。
そしてハクに向き直って言った。

「ちっさくなりすぎじゃね?」
「カエル投げるよ」
「なぜカエルなんだやめろ」

先程の緊迫した空気が嘘かのように2人は仲良く会話し始める。
ハクは俺っちの方を見て、ニヤッとしながら声をかけてきた。

「で、そこのかわい子ちゃんはスマイル?」
「お前の乗ってる枝へし折るよ」

イラッとしたのでシンプルに暴力的に脅すとヘラヘラと笑いながら木から降りてくる。

「それがね、宵の社に稀にポップする『幽戯門』あるでしょ?あれ通ったら小さくなった。」

『幽戯門』とは、ここら辺のフィールドのどこかにごく稀に出てくる不思議な門だ。
通った時の効果はバラバラで、今のハクのようにスキンの見た目が小さくなったり大きくなったり、武器の見た目が変えられたり(過去にそれで巨大スプーンが巨大フォークにされた)、バフ効果が付いたりする。
プレイヤーからしたら見た目変化は大したことないので見かけたら通るのが癖になっているものでもあるのだが...

「おかげで縮んだよ...」
「なんで転生した世界でそんな結構リスキーな門通るの?」

デバフがかかるかもでしょ...

そんな気持ちを込めつつ、ジト目でハクの方を見る。
ハクは俺っちと視線を合わせることなく口笛を吹きながら目線を逸らす。

「ちっちゃくて可愛いなハク!」
「もーちーあーげーるーなー!!」

ちっちゃくなったハクをセナが持ち上げる。
前世ではセナのスキンの方がちっちゃくて定期的に抱っこされてたもんね。
こういう時はしたいよね、わかる。

「ねーぇー!!おーろーせー!!」

ハクがジタバタしながら降ろせとセナに文句を言う。
セナは気にせず「力も弱くなったか?」とハクを振り回す。
その光景を笑いながら見てると、セナの頭にハクの踵落としが直撃した。

「っ~~~!!」

ハクの踵落としがそんなにも痛かったのか頭を抑えてうずくま
そんなセナにハクが近づいて聞いた。

「何か言うことある?」
「ふざけ過ぎてすいませんでした...」
「よろしい」

(今の姿でよろしいって言うとなんか威張ってる子供みたいだな...)
と思ったが心の中に秘めておいた。

「さてと、僕が君たちをわざわざ蝶に案内させたのは君たちに手伝って欲しい事があるからなんだよね」

「俺らに会いたいから呼び寄せた訳ではなく?」


「うるさい黙れ」
「まぁその要件っていうのが
お姫様(笑)の奪還です」


「「は?」」
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