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二十五

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戦えばいい。

主が、そう仰った。
涼しげな顔で、私と、サラを見つめて。
私だって、コレヴィロン伯爵を殺したくないわけでも無いのに、サラは、仲間を傷つけられて腹が立ったからと言う理由だけで止めてきた。

だからと言って、暴力に頼る気は無かったのだ。
彼女サラが、先に魔法を放ったのだから。

でも、主は仲間内での争いを酷く忌避しており、普段ならばあのような発言はしない。
主も、分かっていたのだろう。

私達が、譲り合う気などないことを。

そして、サラと私の戦闘スタイルは、かなり異なっている。

防御とサポート。
ヒットアンドアウェイに徹しているサラ。

攻撃こそ最大の防御。
攻めの姿勢を崩さないことに重点を置いている私。

傍目から見たら私の方が有利な戦いに見えるが、サラは防御を売りにしているだけあってかなり多数の防御手段を持っている。
だからこそ、彼女とはやりにくい。

それでも、私は譲る気もない。

彼女も譲る気は無いだろう。

だから私は、主が戦えば良いと仰った時とほぼ同時に、私の得意属性の魔法を彼女をぶつけた。

防御を出される前に攻撃した、はずだった。

彼女は何事も無かったかのように私と向き合い、お得意のバリアを作り出していた。

「急に攻撃だなんて、酷いよアルちゃん。」

微塵もそう思ってなさそうな声で彼女は言う。

「先手を取るのは戦いでは当たり前です。」

悪びれもせず私は返した。

お互いに、お互いの目を見据えた。

数秒ほど見つめ合い、彼女が楽器を奏でた。それだけで辺りの空気は震え、その震えた空気が、私に刃となって向かってくる。

それを、私の得意武器である大鎌で切ると第2、第3と刃が飛んでくる。

全て切り落とすと、彼女は空中に浮かんで居た。
私を見下ろすような姿勢で。

そうして、彼女との戦いの火豚は切られた。
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