12 / 43
一
十二
しおりを挟む
折られた。
私の骨じゃない。
そんな軽いものじゃない。
私の、命の次に大事な楽器を
折った。折りやがった。
《個体名:サラ が『怒Lv.1』を手に入れました。》
《ステータスが一定のラインを超えました。スキルが進化します。》
《個体名:サラ が『怒Lv.2』を手に入れました。》
「え、うわ」
「おいミカンどうに___」
鬼がなにか言い切る前に顔面を殴った。
鬼は勢いよく後ろに吹き飛ぶ。
「いっ、たぁ?!」
結構ダメージが入ったらしい。
このまま痛みつけてやる。
《個体名:ミカン が『思考加速Lv.1』を手に入れました。》
___ミカンの進化以外に戦況は変化していない。
ミカンは見ているばかりで動かない。
カルは徐々に足がもつれてきており、限界が近いのが見て取れる。
そして、サラも。既に限界が近づいており、攻撃が単純になってきている。
このままでは、どちらも倒れて終わるだろう。
そしてミカンが、戦闘を終わらせる一声を告げた。
「止め」
二人の間に割り込むようにして入ってきたミカンが、その一声を発するのとほぼ同時に剣を二人の喉元に突きつける
「でも!__」
「まだ___」
二人は不服なのか同時に声を上げる。
そんな二人を、ミカンは冷たい侮蔑の視線を送り、こう告げた。
「カル?私は殺し合いをしろと言ったのか?」
「う、それはぁ…」
「サラ?無理だと思えば下がれといったのを忘れたのか??」
「えっとぉ…」
そしてにっこり微笑んで言う。
「そんなに戦いたいなら私と戦う?」
「「いえ、全力でお断りします。」」
ミカンは元より二人を傷付けぬために戦闘に参加しないだけであり、戦いが嫌いというわけではない。
むしろゲーム仲間の中では戦闘狂の枠組みに入るぐらいには戦いを好んでいる。
しかし、サラは未だ不服そうな顔をしている。
「僕の楽器ぃ……」
「直した。急拵えだか演奏はできるぞ」
ミカンは戦闘に参加してない間、サラの楽器の修理に取り組んでいた。
「俺、二度とサラの楽器壊さねぇことにする。」
「そうしろ。二度と修理なんてごめんだ。」
カルの呼吸も落ち着き、サラの興奮も収まったところで、ミカンは反対方向を指差して言った。
「あっちで戦闘中なのはわかると思う。私等はカル、こと、鬼の方に来たがあっちはあっちで戦ってる。今からあそこに合流する。異論は認めない。」
「うぇぇ遠い……」
「はーい」
「カルはよろしい。」
「僕はぁ?!」
「いくよー」
「無視なんて酷いわミカンちゃん!!」
サラのボケは無視してミカンとカルは足を進める。
このサラとカルの戦いは鬼と悪魔の戦いとしてなぜか歴史書に記される。
しかし、そんなことは知らず、3人は戦闘場所に進むのだった。
私の骨じゃない。
そんな軽いものじゃない。
私の、命の次に大事な楽器を
折った。折りやがった。
《個体名:サラ が『怒Lv.1』を手に入れました。》
《ステータスが一定のラインを超えました。スキルが進化します。》
《個体名:サラ が『怒Lv.2』を手に入れました。》
「え、うわ」
「おいミカンどうに___」
鬼がなにか言い切る前に顔面を殴った。
鬼は勢いよく後ろに吹き飛ぶ。
「いっ、たぁ?!」
結構ダメージが入ったらしい。
このまま痛みつけてやる。
《個体名:ミカン が『思考加速Lv.1』を手に入れました。》
___ミカンの進化以外に戦況は変化していない。
ミカンは見ているばかりで動かない。
カルは徐々に足がもつれてきており、限界が近いのが見て取れる。
そして、サラも。既に限界が近づいており、攻撃が単純になってきている。
このままでは、どちらも倒れて終わるだろう。
そしてミカンが、戦闘を終わらせる一声を告げた。
「止め」
二人の間に割り込むようにして入ってきたミカンが、その一声を発するのとほぼ同時に剣を二人の喉元に突きつける
「でも!__」
「まだ___」
二人は不服なのか同時に声を上げる。
そんな二人を、ミカンは冷たい侮蔑の視線を送り、こう告げた。
「カル?私は殺し合いをしろと言ったのか?」
「う、それはぁ…」
「サラ?無理だと思えば下がれといったのを忘れたのか??」
「えっとぉ…」
そしてにっこり微笑んで言う。
「そんなに戦いたいなら私と戦う?」
「「いえ、全力でお断りします。」」
ミカンは元より二人を傷付けぬために戦闘に参加しないだけであり、戦いが嫌いというわけではない。
むしろゲーム仲間の中では戦闘狂の枠組みに入るぐらいには戦いを好んでいる。
しかし、サラは未だ不服そうな顔をしている。
「僕の楽器ぃ……」
「直した。急拵えだか演奏はできるぞ」
ミカンは戦闘に参加してない間、サラの楽器の修理に取り組んでいた。
「俺、二度とサラの楽器壊さねぇことにする。」
「そうしろ。二度と修理なんてごめんだ。」
カルの呼吸も落ち着き、サラの興奮も収まったところで、ミカンは反対方向を指差して言った。
「あっちで戦闘中なのはわかると思う。私等はカル、こと、鬼の方に来たがあっちはあっちで戦ってる。今からあそこに合流する。異論は認めない。」
「うぇぇ遠い……」
「はーい」
「カルはよろしい。」
「僕はぁ?!」
「いくよー」
「無視なんて酷いわミカンちゃん!!」
サラのボケは無視してミカンとカルは足を進める。
このサラとカルの戦いは鬼と悪魔の戦いとしてなぜか歴史書に記される。
しかし、そんなことは知らず、3人は戦闘場所に進むのだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
おいしいはなし〜あたしが聖女♡なの〜
十夜海
ファンタジー
あたし、サクラ。
サクちゃんって呼んでくれたら嬉しいわ。
まあ、ちょっとしたことがあって……気づいたらあたしの腕の中には可愛い少年がいたの。
え?この子が勇者?
え?あたしが聖女?
え?ええ?世界を2人で救う?
なんで、あたしがそんなこと?
というか聖女って……ついてたらまずいんじゃないの?何が?ってナニが。
あと、この子お持ち帰りしてもいいのかしら?
なんて、おネエなおにい様が聖女として召喚されて、勇者様と戦いのたびに出るとか出ないとか、オネエ様にはとってもおいしいっていう、は♡な♡し。
うふ♡
まさか転生?
花菱
ファンタジー
気付いたら異世界? しかも身体が?
一体どうなってるの…
あれ?でも……
滑舌かなり悪く、ご都合主義のお話。
初めてなので作者にも今後どうなっていくのか分からない……
【完結】おじいちゃんは元勇者
三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話…
親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。
エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…
チート転生~チートって本当にあるものですね~
水魔沙希
ファンタジー
死んでしまった片瀬彼方は、突然異世界に転生してしまう。しかも、赤ちゃん時代からやり直せと!?何げにステータスを見ていたら、何やら面白そうなユニークスキルがあった!!
そのスキルが、随分チートな事に気付くのは神の加護を得てからだった。
亀更新で気が向いたら、随時更新しようと思います。ご了承お願いいたします。
偽物の女神と陥れられ国を追われることになった聖女が、ざまぁのために虎視眈々と策略を練りながら、辺境の地でゆったり楽しく領地開拓ライフ!!
銀灰
ファンタジー
生まれたときからこの身に宿した聖女の力をもって、私はこの国を守り続けてきた。
人々は、私を女神の代理と呼ぶ。
だが――ふとした拍子に転落する様は、ただの人間と何も変わらないようだ。
ある日、私は悪女ルイーンの陰謀に陥れられ、偽物の女神という烙印を押されて国を追いやられることとなった。
……まあ、いいんだがな。
私が困ることではないのだから。
しかしせっかくだ、辺境の地を切り開いて、のんびりゆったりとするか。
今まで、そういった機会もなかったしな。
……だが、そうだな。
陥れられたこの借りは、返すことにするか。
女神などと呼ばれてはいるが、私も一人の人間だ。
企みの一つも、考えてみたりするさ。
さて、どうなるか――。
超能力があれば転生特典なしでも強キャラだった件~帰還し命を救うため、モンスターを倒しまくるぞ~
うみ
ファンタジー
生まれながらにして「転移」「念動力」「自己修復」の異能を持っていた池添は、能力を隠し平凡な人生を歩んでいた。
卒業式の帰り道で命の危機に遭遇した彼は友人を見捨てて異世界に転移してしまう。
自分だけ逃げてしまったことに後悔する池添であったが、迫るモンスターを転移、心臓の血管を断ち切る必殺の一撃で打ち払う。そこで、不思議な声が彼の頭に響く。
なんと、自分の能力で逃げ出したわけじゃなく、この声の主が自分を転移させた原因だと言うのだ。
「あの時、あの場所にいけぞえさーんを帰すことができまーす」
「……ギブアンドテイクといったな。すみよん。お前の求めるものは何だ?」
「すみよんの元まで来てくださーい。そして、破壊してください。暴走を。オネガイ……です」
そんなわけで、友人を救うチャンスを得た池添は今度こそ彼らを救うことを誓う。
そのために能力を鍛えることが必要だと痛感した池添は、能力を自重せず使い、全力全開で進むことを決めた。
異世界で出会った仲間と共にモンスター討伐に明け暮れる日々が始まる。
※ラストまで書けておりますので完結保証です!全47話予定。
巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~
細波
ファンタジー
(3月27日変更)
仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる…
と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ!
「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」
周りの人も神も黒い!
「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」
そんな元オッサンは今日も行く!
天才ですが何か?~異世界召喚された俺、クラスが勇者じゃないからハズレと放逐されてしまう~いずれ彼らは知るだろう。逃がした魚が竜だった事を
榊与一
ファンタジー
俺の名は御剣那由多(みつるぎなゆた)。
16歳。
ある日目覚めたらそこは異世界で、しかも召喚した奴らは俺のクラスが勇者じゃないからとハズレ扱いしてきた。
しかも元の世界に戻す事無く、小銭だけ渡して異世界に適当に放棄されるしまつ。
まったくふざけた話である。
まあだが別にいいさ。
何故なら――
俺は超学習能力が高い天才だから。
異世界だろうが何だろうが、この才能で適応して生き延びてやる。
そして自分の力で元の世界に帰ってやろうじゃないか。
これはハズレ召喚だと思われた御剣那由多が、持ち前の才能を生かして異世界で無双する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる