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水撒や窓辺に座る猫の視線
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みずまきや まどべにすわる ねこのしせん
熱い日が続きますね……
そんなわけで、今回は夏の季語「水撒」からの一句です。
少しでも涼しくなるためにと考え出された日本の文化、水撒き。実際、結構な効果があるようで。私はマンション暮らしなのですが、少しでも冷房の負担を減らせればと、ベランダに水撒きをするようになりました。
マンションだとどれくらいの効果があるのかは分かりませんが……
ともあれ、私が水撒きをするのは大抵うちの猫が窓辺にいる時間帯なので、窓ガラス越しに猫と見つめ合うことがあります。
最初に水撒きしたときは不思議そうに見てましたね……
今回は、こんな状況を句に詠んでみることにしました。
まず、最初にたたき台として用意した形が、こちら。
水撒きの窓に向き合う猫と人
「水撒き」自体が季語ですし、他に登場する要素が猫と窓くらいなので、音数的には余裕があります。水撒きが屋外での行為なので他に外か中かの情報を示す言葉が要らないのも便利なところ。
そしてこの最初の形だと、明らかな音数の無駄まで生まれています。それが最後の「人」。
この「人」というのは俳句を詠んでいる私自身のことですから、わざわざ書かなくていいのです。むしろ、書いてしまったら、詠み手は他の人が猫と見つめ合っている姿を見ている、ということになってしまいます。
ただ、「向き合う」を入れた以上は主体を2つ入れなければおかしくなるので、そこをどうするかが最初の考えどころでした。まあ、これは単純な方法で解決できます。
水撒や窓の向こうに猫の顔
こうすればよいのです。
ただ、これもなんとなく音数を無駄に使ってる感がありました。そこで、猫の動作を入れて色々試してみることにしました。その過程がこちら。
水撒や窓には涼む猫の顔
水撒けば窓には涼む猫の顔
水撒や窓辺の猫と見つめ合い
水撒や窓辺の猫と見つめ合う
水撒けば窓辺の猫と見つめ合い
水撒けば窓から見つめる猫の顔
水撒けば窓枠越しに猫の顔
水撒や窓に見つめる猫の顔
水撒けば窓に見つめる猫の顔
水撒や窓の向こうに座る猫
水撒けば窓の向こうに座る猫
水撒やガラスに透けて座る猫
水撒けばガラスに透けて座る猫
水撒やガラスに透けて眠り猫
水撒けば窓のガラスに眠り猫
水撒や窓辺に座る猫の顔
水撒や窓辺に座る猫の視線
涼む、見つめ合う、見つめる、座る、眠る、という風に、猫の様子を入れています。
そして、上の句も、「水撒や」と「水撒けば」でそれぞれのパターンを試してみました。ひとまず書いて並べてみる、ということができるのが俳句の良いところ。
その過程で気付いたことなのですが……
「水撒や」と「水撒けば」の違い、最初はとりあえず書いてみて直感的にどっちが良いかというのを直感で選んでいました。
が、よく考えるとこれ、名詞と動詞の違いがあるのです。これが、「水撒けばガラスに透けて座る猫」「水撒やガラスに透けて眠り猫」辺りで気付いたこと。
その名詞と動詞の違いが何なのか、というと、例えば「水撒けばガラスに透けて座る猫」の場合、「透けて」と「座る」も動詞なので、一つの句の中に動詞が3つ登場していることになります。一方、「水撒やガラスに透けて眠り猫」だと、動詞は「透けて」の一つだけです。
この、動詞の数というものが、意外に重要でして。
動詞が多いと、Aがあれして、Bがこれして、Cがそれして、といったように、俳句が一つの文章のようにたらたらと流れていく感じになります。これに対し、名詞はそこで文章の流れがすとんと途切れ、インパクトが生まれます。
この、たらたらとすとんをどういう塩梅で混ぜていくかが、ここでのポイント。
そしてこのように考えた結果、「水撒や」ならば「座る猫」、「水撒けば」ならば「眠り猫」が、ちょうどバランスが良いように感じました。
こうして、一旦、「水撒やガラスに透けて眠り猫」に落ち着きます。
が、その後、少し他の形も試してみようと思って「水撒けば窓のガラスに眠り猫」を作ってみたところ、ここまでの形の欠点に気が付いてしまいました。
「ガラスに透けて」と「窓のガラスに」は、どちらも音数の無駄遣いがあるのです。ガラスは透けるものですし、窓にはガラスが嵌っているものですから。
そこで次に考えたのが、「水撒や窓辺に座る猫の顔」。寝ていた猫を起こして座らせました。猫がすやすや寝ている静かさも良いのですが、起きてて興味持ってみてくれている感じがでるのは座っているほうですから。
そして一旦はこれに落ち着こうとしたのですが、また気になるところが。最後に「猫の顔」で終わるのがどうもワンパターンになっているような気がしてきたのです。
ここを悩んで出てきたのが、「水撒や窓辺に座る猫の視線」。
最後6音で字余りになってしまうのですが、「ん」の発音で終わるならば韻律の崩れが小さいのと、「視線」と言っておけば猫が水撒きの様子を目で追っているような印象も出せるかなと考え、こちらを使うことにしました。
……まあ、最近は猫のほうが慣れたのか、水撒きやってもぐだっとしてますが。
それにしても、早く、水撒きが要らないくらいの気温になって欲しいですね……
※本日、アルファポリスでは2句同時公開となります。その理由、なのですが……すみません、この句、アルファポリス版で公開するのを忘れていました(この企画、ノベルアップ+で作成しているものをこちらに転載、という方法で進めていたのですが、残り話数を確認したところ数が合わないことに気付き、確かめてみたところ、8月29日に投稿すべきだったこちらの句の投稿をしそびれてしまっていたようでした。大変申し訳ありません。尚、次話でもお伝えしますが、本日の2句で49句目到達、目標の50句には来週到達、という予定になります(尚、ノベルアップ+版ではサイト内で他の方にご紹介いただいており、その関係で、特別編として4句多めに作っています)。
熱い日が続きますね……
そんなわけで、今回は夏の季語「水撒」からの一句です。
少しでも涼しくなるためにと考え出された日本の文化、水撒き。実際、結構な効果があるようで。私はマンション暮らしなのですが、少しでも冷房の負担を減らせればと、ベランダに水撒きをするようになりました。
マンションだとどれくらいの効果があるのかは分かりませんが……
ともあれ、私が水撒きをするのは大抵うちの猫が窓辺にいる時間帯なので、窓ガラス越しに猫と見つめ合うことがあります。
最初に水撒きしたときは不思議そうに見てましたね……
今回は、こんな状況を句に詠んでみることにしました。
まず、最初にたたき台として用意した形が、こちら。
水撒きの窓に向き合う猫と人
「水撒き」自体が季語ですし、他に登場する要素が猫と窓くらいなので、音数的には余裕があります。水撒きが屋外での行為なので他に外か中かの情報を示す言葉が要らないのも便利なところ。
そしてこの最初の形だと、明らかな音数の無駄まで生まれています。それが最後の「人」。
この「人」というのは俳句を詠んでいる私自身のことですから、わざわざ書かなくていいのです。むしろ、書いてしまったら、詠み手は他の人が猫と見つめ合っている姿を見ている、ということになってしまいます。
ただ、「向き合う」を入れた以上は主体を2つ入れなければおかしくなるので、そこをどうするかが最初の考えどころでした。まあ、これは単純な方法で解決できます。
水撒や窓の向こうに猫の顔
こうすればよいのです。
ただ、これもなんとなく音数を無駄に使ってる感がありました。そこで、猫の動作を入れて色々試してみることにしました。その過程がこちら。
水撒や窓には涼む猫の顔
水撒けば窓には涼む猫の顔
水撒や窓辺の猫と見つめ合い
水撒や窓辺の猫と見つめ合う
水撒けば窓辺の猫と見つめ合い
水撒けば窓から見つめる猫の顔
水撒けば窓枠越しに猫の顔
水撒や窓に見つめる猫の顔
水撒けば窓に見つめる猫の顔
水撒や窓の向こうに座る猫
水撒けば窓の向こうに座る猫
水撒やガラスに透けて座る猫
水撒けばガラスに透けて座る猫
水撒やガラスに透けて眠り猫
水撒けば窓のガラスに眠り猫
水撒や窓辺に座る猫の顔
水撒や窓辺に座る猫の視線
涼む、見つめ合う、見つめる、座る、眠る、という風に、猫の様子を入れています。
そして、上の句も、「水撒や」と「水撒けば」でそれぞれのパターンを試してみました。ひとまず書いて並べてみる、ということができるのが俳句の良いところ。
その過程で気付いたことなのですが……
「水撒や」と「水撒けば」の違い、最初はとりあえず書いてみて直感的にどっちが良いかというのを直感で選んでいました。
が、よく考えるとこれ、名詞と動詞の違いがあるのです。これが、「水撒けばガラスに透けて座る猫」「水撒やガラスに透けて眠り猫」辺りで気付いたこと。
その名詞と動詞の違いが何なのか、というと、例えば「水撒けばガラスに透けて座る猫」の場合、「透けて」と「座る」も動詞なので、一つの句の中に動詞が3つ登場していることになります。一方、「水撒やガラスに透けて眠り猫」だと、動詞は「透けて」の一つだけです。
この、動詞の数というものが、意外に重要でして。
動詞が多いと、Aがあれして、Bがこれして、Cがそれして、といったように、俳句が一つの文章のようにたらたらと流れていく感じになります。これに対し、名詞はそこで文章の流れがすとんと途切れ、インパクトが生まれます。
この、たらたらとすとんをどういう塩梅で混ぜていくかが、ここでのポイント。
そしてこのように考えた結果、「水撒や」ならば「座る猫」、「水撒けば」ならば「眠り猫」が、ちょうどバランスが良いように感じました。
こうして、一旦、「水撒やガラスに透けて眠り猫」に落ち着きます。
が、その後、少し他の形も試してみようと思って「水撒けば窓のガラスに眠り猫」を作ってみたところ、ここまでの形の欠点に気が付いてしまいました。
「ガラスに透けて」と「窓のガラスに」は、どちらも音数の無駄遣いがあるのです。ガラスは透けるものですし、窓にはガラスが嵌っているものですから。
そこで次に考えたのが、「水撒や窓辺に座る猫の顔」。寝ていた猫を起こして座らせました。猫がすやすや寝ている静かさも良いのですが、起きてて興味持ってみてくれている感じがでるのは座っているほうですから。
そして一旦はこれに落ち着こうとしたのですが、また気になるところが。最後に「猫の顔」で終わるのがどうもワンパターンになっているような気がしてきたのです。
ここを悩んで出てきたのが、「水撒や窓辺に座る猫の視線」。
最後6音で字余りになってしまうのですが、「ん」の発音で終わるならば韻律の崩れが小さいのと、「視線」と言っておけば猫が水撒きの様子を目で追っているような印象も出せるかなと考え、こちらを使うことにしました。
……まあ、最近は猫のほうが慣れたのか、水撒きやってもぐだっとしてますが。
それにしても、早く、水撒きが要らないくらいの気温になって欲しいですね……
※本日、アルファポリスでは2句同時公開となります。その理由、なのですが……すみません、この句、アルファポリス版で公開するのを忘れていました(この企画、ノベルアップ+で作成しているものをこちらに転載、という方法で進めていたのですが、残り話数を確認したところ数が合わないことに気付き、確かめてみたところ、8月29日に投稿すべきだったこちらの句の投稿をしそびれてしまっていたようでした。大変申し訳ありません。尚、次話でもお伝えしますが、本日の2句で49句目到達、目標の50句には来週到達、という予定になります(尚、ノベルアップ+版ではサイト内で他の方にご紹介いただいており、その関係で、特別編として4句多めに作っています)。
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