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風呂上がり猫が待ってた居間のドア
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ふろあがり ねこがまってた いまのどあ
今回は、家のリビングを出て戻るときに猫が入り口で待っている、という情景を句にしました。
俳句では推敲の過程でお風呂から戻るときの状況になりましたが、猫がいる場所からドアを挟んだ隣の空間で作業等をしていると、結構この状況になります。
帰ってくるのをじっと待ってくれていた……のなら嬉しいのですが、ドアが開いて普段行けない部屋に飛び込むチャンス、というつもりで待っていることもあるので複雑な気分。追いかけるとすぐ掴まるので脱走しようとしているわけではないことは分かっているのですが、見えない場所で人間が何していたのか気になるのでしょうか。
まあ、それでもお風呂には入ろうとしませんが。一緒に入って洗わせてくれたらいいのに。
さて、俳句作りのほうはと言うと、最初のころは「風呂」はなく、は次のような形でした。
内開きのドアを塞いで夏の猫
内開きのドア塞ぐのは夏の猫
夏の猫内開きのドア通せんぼ
〇〇〇〇〇リビングのドア塞ぐ猫
4番目の「〇〇〇〇〇」は、ひとまず他の場所を埋めておいて余った部分に何が入るか考えるときによく使う手です。結局この形は使いませんでしたが。
ドアを塞いだような描写になっているのは、うちのリビングのドアが内開きで、その前に陣取るので開けるときに通せんぼの形になるからです。床に寝転がって肢4本でドアを抑えているときもあって、リビングに入ってきて欲しくないのか。でも開けないでいると「にゃー」と催促が。
最初はこのような感じで、「塞ぐ」という情報を句の中に入れようとしていました。
季語を「夏」にしたのは、犬や猫は暑いとき、隙間風が入ってくるドアの前などに寝そべることが多いから。うちの猫は何故か冬によくやってますが。暖房が強すぎるのでしょうか……
ともあれ、ある程度候補を作ってみたところで、「塞ぐ」の要素を使った形は無理だと判断しました。
ドアを塞ぐ、だと、入ってくるのを拒否している、という印象しか浮かんでこないからです。ドアが内開きだからその前で待っていると結果として塞ぐ形になってしまう、ということを現わすには「内開き」等の言葉も必要、そうなると音数が厳しくなり、他のことが何も言えなくなってしまうのです。
そこで、状況をお風呂上がりに限定。「風呂」が夏の季語なのでそのまま使うことにして、推敲を進めてみました。
それがこちら。
猫が待つ風呂後の居間のドアの前
猫が待つ風呂後の居間のドア越しに
風呂上がり猫待つ風呂のドア越しに
風呂上がり猫待つ居間のドアの前
猫が待つ風呂から居間に続くドア
風呂上がりドアの奥には猫が待つ
風呂の夫猫が待つ場所居間のドア
風呂上がり猫が待つ場所居間のドア
風呂上がり猫が待ってる居間のドア
居間の猫風呂の夫待つドアのそば
風呂出れば猫が待ってる居間のドア
夫は風呂猫はドアにてじっと待つ
夫の風呂居間の入り口猫の背
居間のドア猫が待つのは風呂の夫
風呂の夫待つ猫の背居間のドア
居間のドア猫の視線は風呂の夫
居間のドア風呂の夫待つ猫の背
風呂上がり猫が待ってた居間のドア
「風呂」を使ったことで、お風呂から出た後の情景か、あるいは、家族がお風呂に入っている間にドアの前で待っているのを自分はリビングの奥から眺めている、という情景を描くことになりました。
詩では、何故その状況が起こっているのか、この句の場合では何故猫はドアの前で待っているのか、という具体的な情報を加えるとより情景が見えやすくなるのですが、その効果が意図せず生まれることになりました。
試しに一部変えてみるのって大事ですね……
そして、この過程の中で出てきた「夫」。俳句ではこの字を「つま」と読ませて音数を節約することがしばしばあります。「夫」も「妻」も発音が一緒になるんですね。
ちなみに私自身は男性なので「夫」の入浴中はリビングにいる猫のことは見えていないはずなのですが、ここは他者視点を想像して詠んでみることにしました。
ともあれ、「夫」を使う形だと、お風呂に入っている、あるいは入っていた人物と猫のほかに、その猫を眺めている自分という3者を情景に登場させることができます。一方で、「風呂上がり」や「風呂出れば」の句のように「夫」が登場しない句は、自分がお風呂を出たら猫が待っていた、という情景に。
情景の面白さで見れば、登場人物が一人多い前者のほうが面白みがあります。が、その分、音数に収めるのが難しくなります。そして面白いけれど難しいならば、それを実現してみたいという気持ちも湧いてくることに。
こうして両方の方面で推敲を進め、最終的に2つの候補の対立となりました。
居間のドア風呂の夫待つ猫の背
風呂上がり猫が待ってた居間のドア
上が登場人物3者パターン、下が2者パターンになります。
3者パターンのほうはそれより前に作った「風呂の夫待つ猫の背居間のドア」のほうが自分はリビングの中にいるということが分かりやすかったのですが、三段切れになってしまうのでそこからさらに推敲。
そして情景の分かりやすさで言うと、やはり2者パターンに軍配が。3者パターンのほうは、最初に登場する「居間のドア」を居間の内側から見ているのか外側から見ているのかが直感的にイメージしにくいのです。ただ、最後まで読んでから考えれば分かるので、じっくり考える面白みがある、とも言えなくはないわけで。
この2つ、かなり悩んだのですが、やはり直感的にほっこり感を味わえるほうが良いと考え、2者パターンを選びました。
今回は推敲の過程で別の情景が浮かんだ形となったわけですが、こういう風に詠む内容が変わると、それぞれ別のものになってしまいますね。仕方のないことなのですが、どちらかを「切る」ことになるのでそれが大変に……
今回は、家のリビングを出て戻るときに猫が入り口で待っている、という情景を句にしました。
俳句では推敲の過程でお風呂から戻るときの状況になりましたが、猫がいる場所からドアを挟んだ隣の空間で作業等をしていると、結構この状況になります。
帰ってくるのをじっと待ってくれていた……のなら嬉しいのですが、ドアが開いて普段行けない部屋に飛び込むチャンス、というつもりで待っていることもあるので複雑な気分。追いかけるとすぐ掴まるので脱走しようとしているわけではないことは分かっているのですが、見えない場所で人間が何していたのか気になるのでしょうか。
まあ、それでもお風呂には入ろうとしませんが。一緒に入って洗わせてくれたらいいのに。
さて、俳句作りのほうはと言うと、最初のころは「風呂」はなく、は次のような形でした。
内開きのドアを塞いで夏の猫
内開きのドア塞ぐのは夏の猫
夏の猫内開きのドア通せんぼ
〇〇〇〇〇リビングのドア塞ぐ猫
4番目の「〇〇〇〇〇」は、ひとまず他の場所を埋めておいて余った部分に何が入るか考えるときによく使う手です。結局この形は使いませんでしたが。
ドアを塞いだような描写になっているのは、うちのリビングのドアが内開きで、その前に陣取るので開けるときに通せんぼの形になるからです。床に寝転がって肢4本でドアを抑えているときもあって、リビングに入ってきて欲しくないのか。でも開けないでいると「にゃー」と催促が。
最初はこのような感じで、「塞ぐ」という情報を句の中に入れようとしていました。
季語を「夏」にしたのは、犬や猫は暑いとき、隙間風が入ってくるドアの前などに寝そべることが多いから。うちの猫は何故か冬によくやってますが。暖房が強すぎるのでしょうか……
ともあれ、ある程度候補を作ってみたところで、「塞ぐ」の要素を使った形は無理だと判断しました。
ドアを塞ぐ、だと、入ってくるのを拒否している、という印象しか浮かんでこないからです。ドアが内開きだからその前で待っていると結果として塞ぐ形になってしまう、ということを現わすには「内開き」等の言葉も必要、そうなると音数が厳しくなり、他のことが何も言えなくなってしまうのです。
そこで、状況をお風呂上がりに限定。「風呂」が夏の季語なのでそのまま使うことにして、推敲を進めてみました。
それがこちら。
猫が待つ風呂後の居間のドアの前
猫が待つ風呂後の居間のドア越しに
風呂上がり猫待つ風呂のドア越しに
風呂上がり猫待つ居間のドアの前
猫が待つ風呂から居間に続くドア
風呂上がりドアの奥には猫が待つ
風呂の夫猫が待つ場所居間のドア
風呂上がり猫が待つ場所居間のドア
風呂上がり猫が待ってる居間のドア
居間の猫風呂の夫待つドアのそば
風呂出れば猫が待ってる居間のドア
夫は風呂猫はドアにてじっと待つ
夫の風呂居間の入り口猫の背
居間のドア猫が待つのは風呂の夫
風呂の夫待つ猫の背居間のドア
居間のドア猫の視線は風呂の夫
居間のドア風呂の夫待つ猫の背
風呂上がり猫が待ってた居間のドア
「風呂」を使ったことで、お風呂から出た後の情景か、あるいは、家族がお風呂に入っている間にドアの前で待っているのを自分はリビングの奥から眺めている、という情景を描くことになりました。
詩では、何故その状況が起こっているのか、この句の場合では何故猫はドアの前で待っているのか、という具体的な情報を加えるとより情景が見えやすくなるのですが、その効果が意図せず生まれることになりました。
試しに一部変えてみるのって大事ですね……
そして、この過程の中で出てきた「夫」。俳句ではこの字を「つま」と読ませて音数を節約することがしばしばあります。「夫」も「妻」も発音が一緒になるんですね。
ちなみに私自身は男性なので「夫」の入浴中はリビングにいる猫のことは見えていないはずなのですが、ここは他者視点を想像して詠んでみることにしました。
ともあれ、「夫」を使う形だと、お風呂に入っている、あるいは入っていた人物と猫のほかに、その猫を眺めている自分という3者を情景に登場させることができます。一方で、「風呂上がり」や「風呂出れば」の句のように「夫」が登場しない句は、自分がお風呂を出たら猫が待っていた、という情景に。
情景の面白さで見れば、登場人物が一人多い前者のほうが面白みがあります。が、その分、音数に収めるのが難しくなります。そして面白いけれど難しいならば、それを実現してみたいという気持ちも湧いてくることに。
こうして両方の方面で推敲を進め、最終的に2つの候補の対立となりました。
居間のドア風呂の夫待つ猫の背
風呂上がり猫が待ってた居間のドア
上が登場人物3者パターン、下が2者パターンになります。
3者パターンのほうはそれより前に作った「風呂の夫待つ猫の背居間のドア」のほうが自分はリビングの中にいるということが分かりやすかったのですが、三段切れになってしまうのでそこからさらに推敲。
そして情景の分かりやすさで言うと、やはり2者パターンに軍配が。3者パターンのほうは、最初に登場する「居間のドア」を居間の内側から見ているのか外側から見ているのかが直感的にイメージしにくいのです。ただ、最後まで読んでから考えれば分かるので、じっくり考える面白みがある、とも言えなくはないわけで。
この2つ、かなり悩んだのですが、やはり直感的にほっこり感を味わえるほうが良いと考え、2者パターンを選びました。
今回は推敲の過程で別の情景が浮かんだ形となったわけですが、こういう風に詠む内容が変わると、それぞれ別のものになってしまいますね。仕方のないことなのですが、どちらかを「切る」ことになるのでそれが大変に……
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