君の声が聞きたい

梔子

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その日はなぜか授業中も落ち着かなくて、そわそわした感じがした。わざわざ〃ありがとう〃を伝えるために紙に書く必要もないだろうに。
 
....まあそれから遠坂とは接点があるわけでもなく一週間がたった。ただ隣の席ってだけだ....関わりをめんどくさがったのはついこの前までの俺なんだけど。そんなことを考えながらぼーっと授業を受ける。
俺は自慢じゃないが、目が鋭く目力が強いため、少しぼーっとしていても授業を真面目に聞いてる風に見えるのだ。
楽するために生まれてきたような理想的な見た目だと最近は感じていて、よく生徒会長みたいとクラスメイトには言われている。つまり、賢く見えるということだが、俺自身成績は赤点ぎりぎりだ。
勉強はいい点を取るためにするんじゃなくて赤点回避のためにするものだと思っている。
勉強だけでなく、友達付き合いもそうだ。誰と仲良くするわけでもなく、かといってつるまない訳でもない。仲間外れにならない範囲で付き合っている。
つるむ方が楽だと感じる場面ではそれなりのグループに入るし、つるんだ方が面倒だと感じた時は、一人でいる。基本一人に不自由はない。寝とけばいいし。
 
授業と全く違うことを考えている間に、昼休みのチャイムが鳴った。昼休みも屋上で適当に弁当を食べた後、昼寝をするつもりだ。うちの学校の屋上は座る場所もなく、おまけに座ると塗装の白い粉が付くということもあり、昼ごはん場所としては不人気らしい。
その点俺は少し前から自前のミニシートを持参するようにしたので服が汚れる心配がない。誰もいない屋上でゆっくりする至福の時間。楽をする努力は惜しまない。
 
そして俺は屋上に到着した。
シートを敷き終え、昼を食べようとした時...

「ちょ!違うでしょ」
「あー腹立つこいつ無駄な動き多すぎ!」
聞こえてきたすごく大きな声。ここからでも言っている内容を聞き取れるぐらいだ。....誰かいるのか?

.....声が聞こえた方ってたしか出入口の裏だよな?
興味本位で出入口裏をちらっと覗く
え...?
「遠坂、、、、??」
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