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「これから隣の席の人とレポートの感想を交換してもらいます。」
国語教師がめんどくさいことを言い始めた。するなら席替えの前にしてくれよ。
席替えは昨日行われたばかりで、慣れた面子とはばらけてしまった。特別仲良かったわけではないが、慣れてしまっていたので、ただ、楽だった。
「おっおい、これ俺のレポート」
レポートをぎこちなく昨日隣の席になったばかりの遠坂一葉 に手渡した。
遠坂はそれを一切の音を立てずにそっと受け取る。
そうして、少し体を横に向け、自分のレポートを俺の机に置いたと思ったらすぐに、正面に向き直った。
遠坂一葉。長い前髪に、ひどい猫背、おまけに声なんて一度も聞いたことがない。まず、声を発さない。
だからって俺に被害がなければ、人の見た目にどうこう言う気はないけど、隣の席になったが故に、少なからず関わらなければならない。
今みたいに。
内容は相手のレポートを読んで参考になったことなどの感想を書けというものだった。
まあこういうのは、適当に、末尾に参考になりました。って書いとけばいいもんだ。
2分足らずで書き終えて遠坂の方を見る。遠坂はすでに書き終えているようで、手を膝に置き相変わらずの猫背で下を向いていた。
書き終えるの早いな。俺もかなり早く書いた方なのに。
「俺、書けたから。これ。」
そういって遠坂の机の上に感想が書かれた紙を置いた。遠坂も同じように俺の机に置く。
とりあえず遠坂が書いた俺のレポートの感想でも読むか。暇だし。
え、、、遠坂の感想文を見た瞬間びっくりした。そこには感想が丁寧にびっしりと綴られていて、隣でずっと下を向いている奴が書いたとは思えない文章だった。
「すごいな。こんな短時間でこんなに書けるなんて、」
と、思わず話しかける
、、、無視か、。だよな。話しかけて話すような相手じゃないぐらいは知っている。
遠坂の方を向いていた首を正面に戻しかけた時、
その瞬間だった。すごい勢いで目の前に、一枚の紙が差し出された。俺の感想文の裏のようだ。
そこには〃ありがと〃と書かれている。
....これは俺の言葉に対して反応ってことなのか?
国語教師がめんどくさいことを言い始めた。するなら席替えの前にしてくれよ。
席替えは昨日行われたばかりで、慣れた面子とはばらけてしまった。特別仲良かったわけではないが、慣れてしまっていたので、ただ、楽だった。
「おっおい、これ俺のレポート」
レポートをぎこちなく昨日隣の席になったばかりの遠坂一葉 に手渡した。
遠坂はそれを一切の音を立てずにそっと受け取る。
そうして、少し体を横に向け、自分のレポートを俺の机に置いたと思ったらすぐに、正面に向き直った。
遠坂一葉。長い前髪に、ひどい猫背、おまけに声なんて一度も聞いたことがない。まず、声を発さない。
だからって俺に被害がなければ、人の見た目にどうこう言う気はないけど、隣の席になったが故に、少なからず関わらなければならない。
今みたいに。
内容は相手のレポートを読んで参考になったことなどの感想を書けというものだった。
まあこういうのは、適当に、末尾に参考になりました。って書いとけばいいもんだ。
2分足らずで書き終えて遠坂の方を見る。遠坂はすでに書き終えているようで、手を膝に置き相変わらずの猫背で下を向いていた。
書き終えるの早いな。俺もかなり早く書いた方なのに。
「俺、書けたから。これ。」
そういって遠坂の机の上に感想が書かれた紙を置いた。遠坂も同じように俺の机に置く。
とりあえず遠坂が書いた俺のレポートの感想でも読むか。暇だし。
え、、、遠坂の感想文を見た瞬間びっくりした。そこには感想が丁寧にびっしりと綴られていて、隣でずっと下を向いている奴が書いたとは思えない文章だった。
「すごいな。こんな短時間でこんなに書けるなんて、」
と、思わず話しかける
、、、無視か、。だよな。話しかけて話すような相手じゃないぐらいは知っている。
遠坂の方を向いていた首を正面に戻しかけた時、
その瞬間だった。すごい勢いで目の前に、一枚の紙が差し出された。俺の感想文の裏のようだ。
そこには〃ありがと〃と書かれている。
....これは俺の言葉に対して反応ってことなのか?
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