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20章 魔法少女と空
642話 魔導神と異世界
しおりを挟む眩しい。
瞼の裏が熱くなり、手で遮って目を開ける。開けると、そこに映るは太陽煌めく青い空。
ここ、どこだよ。
「空あああああああああああああああ!」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
突然の絶叫に絶叫返しし、神の身体能力で急速に体制を整えるとしなるように足を振り上げた。足にものすごい衝撃を感じた。
えぇ……………………
心で困惑の呻きをあげていると、徐々に理解が追いつき始める。
「あれ、人間……?」
と、理解した頃には時すでに遅し。星となって消えていった。
グッバイ、見知らぬ奇人!
「マスター、お目覚めですか。」
飛んで行った謎の人物を見送っていると、そんな声がかけられた。振り返れば美少女。
「……誰。」
「ッ!!!」
その少女、どことなく見覚えはあるけど思い出せない。まだ頭がポーッとしてるからかもしれない。
それはそうと、衝撃受けすぎて膝から崩れ落ちてるじゃんこの子。
百合n……aんとかさんと同じ香りがする。
「思い出せませんかマスター。あの日、《核盤》にてアリアの名を賜った創滅神の人形です。」
「あー、アリア。」
と、微妙に歯切れの悪い反応をする。あの時は意識が朦朧としてあんまり記憶が……
あぁ、アリアか。
ぽんっと手のひらに拳を当てた。
確かあの時、創滅神が消滅して《核盤》も消滅しそうになったから運ぶように頼んだ気が……
「ここ下界?」
「半分正解で半分不正解、と言うのが正解でしょうか。」
「正解か不正解の境界はっきりしよう。」
そういうと、イエスマイマスターとでもいうような恭しさで説明パートを始めた。私はスキップした。
まとめると、四神が私をここに連れたきて世界の崩壊から遠ざけたってことらしい。
「ですので、早急に対処しなければ世界は乖離します。創滅神の世界ではなく、マスターの世界へ生まれ変わらせるのです。」
アリアは両手を広げた。
「始めましょう、1から。いえ……」
「言わせないよ?」
「…………」
どうやら私の趣向に合わせるタイプの人形らしい。どうりで、あの時のアリアは神らしい態度だったわけだ。
「ま、やるよ。このために私は日本から遠路なんてもんじゃない距離からはるばる飛び越えて戻ってきたんだ。」
ぐっと伸びを1つする。もう寝ぼけは無しだ。飛んでいった百合乃には後で謝るとして、今は何よりも、世界の修繕。
「ここはルーアの作った世界だったよね。」
「はい。」
「なら、一旦ここから出よう。」
パチンと指を鳴らす。その瞬間、空間が振動して隙間が生まれる。
「さすがです。」
「このくらい創滅神もできたでしょ。」
「マスターだから凄いのです。」
「まあいいか。」
そんな反応も悪くない、そう思ったから口を噤む。百合乃がいたら危なかった。
「お供します。」
「いや、アリアはここにいて。」
「了解しました。」
空間の隙間に入っていく私を、アリアは文句の1つもなしに見送ってくれた。
—————————
「今、我の結界が何者かに干渉された。」
龍神は警戒モードに入り、神経を尖らせる。
「馬鹿か。」
「いて。」
龍神は間抜けな声あげた。こともあろうに、魔神が頭にチョップをいれてきたのだ。
「あのお寝坊な魔法少女が起きただけだ……今は神か。」
「……ようやくかの。」
「待ちくたびれたよ。平和を演出するのも一苦労なんだ。」
魔神は一息吐いて、幻想の空を見る。世界は解放されるのだ。
—————————
「まじかこれ。」
目をぱちくりとさせ、私は呆然と現状を把握する。
「王都が燃えたとか比にならないレベルなんだけど。」
地面が隆起し、沈没し、さらには空間歪んでるという狂気具合。
インフルの夢にも出てこないってこんなの。
「神になって初の仕事がこれとか……私って雑用係か。」
というかこれをどう直せと。ふっかあいため息を吐き出して、私は地面に足をつけた。ここは王国のど真ん中。そろそろ、神としての勤めでも果たすとしよう。
特に魔法とかいらないよね。
世界に必要なのは神っていう器。神界は……《核盤》を除いて全部残ってるね。
よし、これを縫合しちゃおう。
わたしはズンッと手を太陽に伸ばした。
そして鷲掴むっ!
何も握られていない握り拳の中には、果たして何があるのか。まぁ空気しかないけど。
「私こそが神だ!世界よ、答えろ!滅びた創滅神と共に滅びるか、成り上がった神に下るか。二つに一つだ!」
虚空に向かって叫ぶ。壁に耳あり障子に目あり、どこにいたって世界は聞いている。
私は神界の主人にはなっている。なら、あとは世界に認めてもらうだけ。
「私を受け入れろ。」
天に伸ばす、私の魔力。創滅神の生み出すそれとは別の、新しい世界の色。
届け、私の思い。
その瞬間、世界は煌めいた。
「……………終わっ、た?」
私は掲げた手を下ろした。世界が煌々と輝く様を見上げながら。
私の魔力光……これで、世界は元に戻るのか。
はっと一息、安堵する。
創滅神によって焼かれたものは戻ってこないけれど、それでも日常を取り戻せるんだ。
しかしそれはそうとして。
「王国に人の気配、まじでないんだけど。」
世界崩壊は終わってたのかもしれない。
ところ変わって、王都にて。
転移を使って秒で到着した王都は、ところどころが被害に遭っている。
「総人口から考えて数%ってところかな。」
本当にどこに消えたんだか。頭を捻るが、答えは出ない。
いや待てよ、私が目覚めた場所って……どこだ。
出ないと言った瞬間出てきた。
あそこは結界のような何かに囲まれていた。その中に、いるのかもしれない。
よくよく考えたら、四神の反応がここにないんだからどっかに隠れてると思うのが普通だろう。
「神になっても頭脳は変わらず、か……」
悲しくなってきた。だから腹いせに、結界をちょっとぶっ壊してド派手に登場してやろう。
魔導神の力さえあれば、見えない空間を探知するなんてお茶の子さいさいなんだよ。
全能創造とかいう厨二ネームから、自分好みの魔法をセレクト。そして行使!最後に発見!
私は天高く跳躍した。
「サァーチアンドデストロォイッ!」
発動者を特定し、そこを拡大してドロップキック!
「ぱりぃんっ!」
「自己申告型効果音!?」
ルーアが半身を翻して目を見開いた。ツッコミ速度が音速だ。
「って主、ソラか……?」
開かれた目を徐々に細めて、疲れたように俯いた。
「主、何しとる。」
「いやまぁ、神の役目を果たしてきた感じ。」
「意味が分からん。」
ルーアが眉間をつねった。この世界にまともな人間はおらんのか……と悩ましそうにつぶやいている。人のことおかしいとか、頭おかしい。
「ま、私が寝こけてる間に色々してくれたことは感謝してるよ。」
「なにかの?急に。」
「別にいいでしょ。」
私はルーアの肩にポンッと手を当てた。
「あとは任せて。」
「……そうするかのぅ。」
ルーアを連れて、結界の内側を進んでいく。
そういえば百合乃どこいったんだっけ。
—————————
ユユは異変を肌で感じていた。
体に満ちる魔力が抜け落ちる感覚と、生命力が供給されない異常事態。
これは神が等しく受けている。世界が変わろうとしている。
「ちゃんとやれているのかい……?」
ユユは不安な面持ちで天を見上げる。
あれから《神盤》に戻され、抗いたくとも抗えないもどかしさが全身を襲う。
やはり、あの人間がいなければ何もできない……
「いや、そんな考えじゃダメだよ。ソラは、頑張ってる!」
きっとこれは、何かいいことが起こる前兆だ。
ソラが戻るその日を信じ、ユユは情報を集める。
何があろうと情報は命。それが情報屋としての生き方なのだ。
———————————————————————
今日は疲労の末、睡眠しておりました。
ストックが……ない。
ということで、頑張ります。燃え尽きて灰になるまで……
というかもう燃え尽きてます。文章見てわかると思います。迷走してますよね。
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