魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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19章 魔法少女と創滅神

606話 魔法少女は情報を得る

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 しばらくして、復活の見込みなしと判断した私は、遠くへ飛ばしていたユユを回収した。

 そして今、ボロッボロの廃墟となった情報屋で正座させられている。

「さて、どういうことか事情を教えてもらおうかな。」
にっこりとした笑みの中に、狂気を感じる。これを答えねば殺されそう。

「えっと、まず……嘘ついてごめん。」
「いやぁ、あたし、そこについてはあんまり怒ってないかな。」
「え……?」
あっさりとした反応。薄く笑ってる。

「情報屋なんてやってると、莫迦みたいに情報が流れてくるわけなんだ。つまり、嘘も当然流れ込む。それを篩にかけて、あたしはこの職を生業にしてるわけさ。」
「つまり?」
「嘘なんて、ついてなんぼってこと!」
桃髪を振って、サムズアップ。よく分からない神だ。

「私、人間なの。下界から来た、創滅神の作った世界に転生させられた、別世界の人間。」
「ちょっと待って、いきなり情報過多。」
ユユは目を閉じてうんうんと唸る。スケールがでかいのだから、仕方ない。

「噂で言った戦争の話、ほんとなんだよね。今、すごいことになってる。この世界滅びそう。」
肩を竦める。これに関しては、ユユも無関係ではないだろう。

 世界がなくなるってことは、生存に必要な力を得られない。この世界もおしまいということだ。

「だから、それを止めたくて……はっきり言っちゃうと創滅神、殺しにきた。」
「わぁお。」
まじかよと言いたげな顔をしている。私だってなにやってるんだろう思う。

「ねぇ、こんなこと神の前で言っちゃってるけど大丈夫なの?私、密告されたくないんだけど。」
「しないよ、あたしも死にたくないし。純粋に、この知識欲を満たしたい。それがあたしの生きてる意味なのさ。」
無限の命を持つらしい神。そんな神だって、やりたいことの1つや2つあるらしい。

「ねぇ。」
「なんだい?」
私は不敵な笑みを浮かべた。

「今度は私から頼むよ。私の情報を全部あげる代わりに、手伝ってよ。世界を変えるのを創滅神を殺すのを。」
「やだよ。」
スパッと切り捨てた。しかし、その顔は我慢できないほどの欲求を秘めたような嬉々とした表情をしていた。

「あたしは情報屋。だから、ソラの情報をもらう代わりにあたしの情報をあげる。それでいいかい?」
「重畳だよ。」
互いにハイタッチし、契約は完了だ。

 それはそうとして…………

「正座、もういい?」
「あ、ごめん。」


 再生創々でもどうにもならないぐっちゃぐちゃのあたり一帯。さっきから、この情報屋にいくらか神が訪れた。
 いざ情報交換を始めようと思った時だった。
 落ち着くまでにそこそこ時間がかかりそうだったので、私は気になることを確認しに行った。

「ユユ、案外ちゃんと情報提供してるんだ。」
頭の中でユユの様子を描いて呟く。

 あの辺では有名なのかもね。

『それで、お目当てのものは見つかりそう?』

 さぁね。目処はない。

 私の言葉に心で返事をしつつ、先ほどの激闘の地へ赴いた。赴いたというほどの距離でもないけど。

 実はあの時、チラッと何か光るものが落ちたドロップした

「話を聞くに、バビロンって神は中々に上位の神らしいし……なにか通行証的なものないかなぁ……」
希望を口から漏らす。盤の移動はそこそこの対価や地位が必要だと言っていた。もちろん、神の世界に金なんてものはない。それじゃ通れない。

 ちなみに、盤は大きく分けて3種類あるらしい。
 ここは一般神が住まう『神盤』。
 この上に役職持ち……まぁ、さっきのバビロンみたいなのが住まう『銘盤』がある。
 その上。特殊な方法でのみ移動できる、使徒や創滅神がいる『核盤』というのが私の目指す先。

 別に、これからこの世界にお世話になることはないから強行手段は選べる。でも、相手によって私はだいぶ苦労することになる。
 だから、楽に進める手段が欲しい。

「あっ!あれ……」
先ほど黒い粒子になって消えた地のほぼ直下、剥き出しの地面に金色に光るエンブレムが落ちていた。

 まぁ、障害物も何もないんだからそりゃ見つかるか。

 側まで行ってそれを拾い上げる。砂を払ってやると、光に反射してキラキラと煌めいた。

「ま、そんな都合のいいことないよね。」
ただの綺麗な石(というのは流石にこじつけがすぎるので落とし物)くらいに思って、しまっておこう。

 よーし、そろそろ戻るか。

 目的も完遂したところで、情報屋に戻った。

「それ、『銘盤』の通行権限持ってるよ。」
「まじ。」
ユユはエンブレムを見て、うんと頷いた。マジもんだった。

「ひとまずはそれを持って『銘盤』に行くことを優先にするってことかな?」
「そうするしかないよね。今の時点で使えそうな情報は?」
「危なそうな神の名前ならだいたい記憶には入ってると思うんだけどさ……」
悩むように口を噤んだ。

「じゃあ、特にやばそうな奴は?」
「それなら……『与命神』アンドロダストかな。神のまとめ役をしてるらしくてね、言葉一つで操り人形にできるとか。」
「絶対会いたくない……」
「そうだろう?」
少し自慢げになって言った。役に立てるのが嬉しいみたいだ。神と言えど、社会性がなければ子供と変わらないのか。

「神って別に、一枚岩じゃないから仲間を増やすのも手かな。」
「仲間?」
「1人くらい『銘盤』の神を引き入れといたほうがよくないかい?」
「できるならしたいけど……」
それをするのにもまた作戦が必要だ。この案は一旦傍に置いておこう。

「神については初めに色々教えてもらったし……私の話でもする?」
「おっ、いいねいいね。」
耳と尻尾を幻視した。

 ここまで期待されちゃ話さないわけにはいかないよね。

 向こうが熱心に聞いてくれると、話してるこっち側も気分がいい。
 さすがに両親の胸糞話までは話す気にはならなかったけど、それ以外は大体話した。

 日本っていう異世界から来たこと。あの世界で過ごして、何でここまで来たか。私の能力の情報。プラスで、知りたがってる下界の情勢も。

「ここにいると下界からの情報は隔絶されちゃうから、新鮮で嬉しいねぇ。」
ホクホク顔で、満足を全面に押し出してくる。

「じゃあ、あの噂はどっから持ってきてるの?」
「その話をするには、何で神がいるかを説明する必要があるけど……聞くかい?」
「短めに…………」
ユユの話を聞くこと10分程度。頭の中の私達が、滝のように流れる情報を無理矢理まとめてようやく理解した。

 簡単に言うとこうだ。
 創滅神が世界を作った後、生物やそれを取り巻く環境が次々に変化していき、創滅神がめんどくさく……じゃなくて対処に困った結果、代わりに秩序や理を管理する神が生まれ、各理別に神ができた。それが『銘盤』の誕生。
 『神盤』はというと、創滅神が運営に疲れて役目をポイ捨てしたらしい。その後釜が、ここにいる神。

 つまり、創滅神はカフェで言う私だ。

 あれ、それ私も害悪じゃ……?
 あまり考えないようにしよう。

「秩序や理を司ってるわけだから、たまに下界に顔を出すこともあるらしくて、それを盗み聞きした神から噂が広がってね。」
まるで伝染病みたい、何で笑っている。そもそも神に病気とかないでしょうに。

「とりあえず、これがあるんだから『銘盤』に行ってみないかい?新しい景色が開けるかもしれない。」
「……それ、ただ自分が情報得たいだけとかじゃないよね?」
「…………何のことかわかんなーい。」
完全にすっとぼけモードに入ったユユ。結局、行くんだからどっちでもいい。ちゃんと情報くれれば言うことはない。

 にしても、お腹減ったなぁ。

———————————————————————

 お前また休んだなとお思いの皆様。そうです休みましたすみません。
 もはや週一のペースで休みだしました。

 ちゃんと終わらせはするので、完全に投稿がなくなった際は死んだんだなと思っておいてください。
 別に死にませんけど。
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