魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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17章 魔法少女と四国大戦

562話 魔法少女と終戦決戦 2

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 先に動いたのは私だった。
 やるべきことは変わらない。何も変わってはいない。ディディーの攻略法も。

「わざわざアレを連れてきたということは、なんらかの意図があったわけだろうな。」
「うっさい!」
スペアのステッキを1箇所に集めながら駆け出し、ステッキを正面に向ける。

「混合弾!」
無数の魔弾が出現し、ホーミーングでもついてるのかという軌道を描いてディティーを追う。

「窮余一策か?その程度のもがきとは笑わせるな。」
片手のスナップだけで魔弾を斬り裂くと、余った右手から翡翠の光が見えた。

「山紫水明。」
素早い。今から考えていても遅い。そんな一撃を、ディディーは水面に小さな波紋を立てるように、丁寧に放った。

 これって…………百合乃もたまには役に立つじゃん。

 気配の消えた剣を心で見据え、魔法を放つ。

「土壁、岩砲!」
ガンッ、何かの擦れる音がする。

「暗黒弓!」
放ったのは、空壊輪に。

「別に、銃弾に限ってるわけじゃないから。」
翡翠の光はなりを潜め、ディディーはぎりっと歯噛みする。土壁と岩の砲弾に挟まれ剣が鈍った。

「くっ……魔法も効くじゃないか。」
矢は背中に突き刺さる……というか、爆ぜた。痛みを堪えているのか少し目元をぴくりとさせ、笑ってみる。

「しかし、まだまだだ。」
ディディーの足が振り上げられ、土壁を破壊した。緩くなった拘束を腕力で斬り刻むと、紫が視界に一瞬映る。

 やばっ!

 そう思った時には右腕が動いており、何とか胴を死守した。

「ぐっ、ぁっ!」
ローブに切れ目がつき、そのまま吹っ飛ばされる。

 このまま倒れてやるかっての!

 空いている左手から、流星光槍を連射する。なかなかに魔力が削がれる。

 原素分解とその他スキルがなかったら危ないかもね。

「苦し紛れの攻撃など、効かん!」
そのどれもを、真っ向勝負で弾いていく。光がねじ曲げられるように、叩きつけられた。

「っ!」
次いで、無理矢理右腕を伸ばして引き金に指を乗せる。

「こんな至近距離で手を伸ばすなんて、馬鹿か?」
いつの間にか眼前にいた。まるで先輩のような動きで、動揺を見せてしまう。

 腕を掴まれた……!

 そのまま力が抜ける。後ろに引こうと力の向きを変えようとした瞬間に前に引かれ、あっさりそっちに体が傾く。

「隙が多いな。朕を見て学べ。」
「がっ…………いっ、たい……なぁ……」
思いっきり顔面に思い切り膝蹴りを喰らい、チカチカする頭で言葉を紡ぐ。

 こんなフィジカル的攻撃とかあり?

 よろめきながら後ろに数歩ほど下がって、反撃とばかりに回し蹴りを放とうとし、腕で防がれる。
 そのままもう片足を地面から離して、空中を蹴って真上に距離をとる。

「肉弾戦とか聞いてないよ!魔法少女に物理攻撃求めんな!」
「それだって、十分物理だろう!」
言っているのはラノスか。なら、存分に喰らわせてやろう。

 いける?私。

『誰に物を言っている?この私が、たかが空間移動に屈するはずがない!』

 ディディーはまたそれか、と目を細める。さすがにそのままの銃弾を弾き飛ばすようにはいかないが、警戒は小さくなっている。

 パァァンッ!と弾ける音が4度、

 音を聞いた直後に、光と見紛う速度でディティーは周辺を舞う空壊輪に直接攻撃を仕掛ける。

「な………………」
その横腹からは、鮮血が散っていた。

 空壊輪が出口っていう観念を植え付けてたけど、バッチリ効いたみたいだ。

 その証拠に、傷跡を懐疑の目で睨んでいた。偽物だと未だに信じたいような顔だ。
 よく見れば腹だけでない。本能で避けられているが、その頬には擦り傷と右肩に少し、掠めた痕。3発は少なくとも当たった。

「注意すべきはこれらだではない、ということか。朕も、視野が狭まっていた。」
「喋ってる場合?」
追撃をかけるように2発ラノスを撃つ。この損傷で、銃弾を弾くなんて曲芸を披露できるなら……

 えー、そんなの有り?

 どうやら、靴に金属を仕込んでいるようでタイミングバッチリで蹴り上げることによって弾き飛ばした。それにぶつかり、2発目もアウト。

「っ、チートが過ぎるっ!」
神速で踏み込む、背後をとってぼやく。

 まだ戦闘が始まって数分なのに……体力がやばい!

 翡翠色が月明かりに照らされ、反射光を生む。こちらに剣が迫っている。

 理を紡ぐなら、無意味にしてやればいい。
 縮光によって標的を私から外し、そのまま駆け出す。

 目を瞑りそうになるのを抑え、真横を突いた剣を視認した時に右腕を伸ばす……

「っ、いいじゃないか!」
ディディーは後ろに少し弾かれる。ラノスはブラフ。左手に握られたステッキが左方からスイングされたのだ。

 これもダメ……あれもダメ……何ならいいのさ。

「青刃清我、漆薙!」
女性の体から発せられるとは思えない力強さ。一筋なのに、何重にも重なって見えてしまう剣筋。そして、挟むように黒々とした光を放つ紫の剣。それらを眺めながら、歩いた。

 ほんと先輩、様々でしょ。

 ディティーの睨む先には、私はいない。私がいた場所を睨んで、その技を放つ。

 陰像。
 虚空に向かって刃が空気を裂く。飛び込むようにしたために片足が地から離れ、その瞬間にもう片足を地面に縫いつけた。地龍魔法の土で固めた。

「……ッ!?足が動かない……!」
「手元がお留守。」
ステッキでピンと伸びた腕の肘あたりから、上へ向かって振り上げた。やたらと素直に剣が離れる。

 二兎追う者は一兎も得られずって言うしね。欲張ったりしない。1本で十分だ。

 離れた剣のうち、翡翠に光る剣のみを掴み取ると、転移石で離れた場所へ転移する。
 空間魔法でもいいけど、そのために均衡を崩すのは気が引ける。

「うわかった!硬すぎでしょこれ。」
ラノスの銃弾を何度も直接ぶつける。弾が切れても、マガジンを差し替えて何度も。

 やば、そろそろディティー生き返ってくる。

 固めてあるはずの足がバキバキ言っている。やっぱりこの人人じゃない。妖怪とかUMAとかの化け物の類いだこれ。

「これなら、どうかな?」
剣を空に放り投げた。大空を斬り裂くようにヒュンヒュンと心地よい音が聞こえる。

 そこに似合わない黒塗りの銃~。

 ラノスを腰に挿し込み、空いた手にトロイが乗る。

「ばっちこーい。」
ディティーの足掻く音が大きくなる。さすがの直感、でも遅い。

 人神の、魔神の、龍神の、霊神の、そして私の魔力が迸っている。
 それぞれ違った色だ。金色、紫色、銀色、桃色、そして瑠璃色。混ざることはない唯一無二の魔力を注ぎ込む!

 バアァァァァンッ!そんな轟音と、バギッという鈍い音が轟いたのは同時のこと。

 掘削するように、鋭い弾丸が剣身を砕いたのだ。

「ソラァァァァァ!」
「うるっさい!私の名前を叫ばないで!」
完全に拘束から逃れ、据わった目が私を射抜いた。次のシーンのこと。

「ぁ゛、かはッ!」
肺から空気が漏れ出て、掠れた声がなぜか出た。

 こんな時に、敵の覚醒シーンきちゃうの……?

 腹には紫の剣の柄頭がめり込んでいた。薄く血の混じった唾液が放り出され、勢いのままにぶっ飛んだ。

 やばい……このままじゃ結界外に……っ!

 残った意識を総動員させ、空間歩行で壁と化した宙を蹴飛ばした。
 足が悲鳴を上げるが、激痛というほどではない。再生創々で怪我は治る。問題はない。

「朕が、この世界を統治する支配者となるべき朕が!全てを賭けて生み出した朕の理の素を!破壊した?あってはならん!」
半円を描くように左側から駆けてくる。車が違反するときの速さだ。

 無理無理無理!今身動き取れな……

「い゛っ!」
腹をど真ん中で薙いできた。魔法少女服の防御も貫通して、少し横腹から血が滲む。ローブに鮮血が染み込んで、ワイン色になる。

 あと20分。これが私の耐え切らなければいけない時間だった。

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 未熟を感じますね、やっぱり。
 素人がやってまえ!って感じで始めたのでそりゃそうだろ、という感じなのですが。
 本職の方は大変ですね、ほんと。

 新刊早くとかもう思いません。ファイトです。
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