魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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17章 魔法少女と四国大戦

534話 魔法少女は迎え入れる

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 私達は7人、本拠地であるイグル村の村長宅(多分)の食卓に集まっていた。
 全員座れる椅子があるのはここだけだ。

 それぞれ思うままに座り、正面に映像を投影した。何を見ているのか、それは……

『朕の名は、ディティー。皇帝、ディティー・ヘルベリスタだ!』

 皇帝の宣戦シーンだね。うん。

 こうなった理由を超簡単に説明するとこうだ。

 魔神「なんか宣戦されたらしい」
 みんな「マジか」
 魔神「よし鑑賞会しよう」
 スクリーンオンザピクチャー←今ここ。

 あれ、映像ってピクチャーでいいよね?

『英語弱者が露見してるな』
『ははは!面白っ』
『まぁ私達も分からないんだけど』
『へるぷみー百合乃~』
そういう細かい話はどうでもいいとして、そんな感じなのだ。

「声に魔力が乗っているね。知らず知らずのうちに、彼女の声しか聞こえなくなっている。余は揺らがないけど。」
「ボクら神には耐性がある。ま、そういう風に体を作っておいてるから当然か。」
「1番やばそうなのはそこの子よねぇ。」
食い入るように見入っている男が1人。この流れで男と言えば、残り1人しかいない。

「おーい蓮。完全に飲まれてるよー。」
「…………いや、大丈夫……だ。」
「明らかに大丈夫じゃないやつだこれ。」
映像を一旦止め、頭を古いテレビのようにチョップしてみる。人も機械も、叩けば治る。

「いってえ……殺すぞ。」
「自分のせいでしょ。」
私はさっさと魔神に再生を頼み、ネイファに蓮を任せた。「めんどくさいですねぇ」と半目で答えてた。眠そうだ。

 1番聞いてなさそうだよね、ネイファ。
 確かにネイファは創滅神一筋だし、こういうの強そうだ。

 再び音声が流される。

 本題に入るといい、なんかそれっぽい演技しながら王国を非難して同情を煽りながら共感と自分事のように考えさせて……

「とにかく情報量が多いね……こう、精神的な。」
眺めていて、そう直感が言う。

「さすが皇帝と言ったところかな。」
魔神が笑いながら拍手する。敵ながら天晴れ的なやつか。

 長いようで短い再生を終えると、蓮が端を発する。

「あの軍、俺の目には偽物のようには見えなかったが。本当だとしたら、王国が悪いんじゃねえのか?」
「根底から変わっちゃったよ。」
「わたしはどっちでも構いはしませんけどね。わたしの行動原理は、創滅神様のため。」
使えない2人は置いておき、最も使えないバカ蓮に説明を与えることにした。

「あのねぇ……王国はちょっと前、とある組織によって学園を襲撃されて大変なの。しかも私を犯人扱いして人員割いてたから、自分から戦争ふっかけるような戦力も余裕もないわけ。だから合衆国に結構な人員求めてるんでしょ?」
蓮がつまらなさそうに私を見た。事実を述べてるだけなのに、不思議な奴だ。

「ラミアからはほとんど出ない、守英団拾肆彗のうち数名、派遣されているようだね。余のように、神になれたかもしれない素質を持つもの、と言えば分かる?」
「それは普通にやばい。」
「其方がそれを言うか。」
ちょっと何言ってるか分からない。私はそっぽを向き、説明者を交代する。魔神にバトンタッチ。

 というか、合衆国の名前ラミアって言うんだ。
 そもそも私地理とか詳しくないし、国の名前帝国のぐらいしか知らないんだけど。

「はぁ……ちなみにあの兵たちはその際、魔法少女捕獲のために動員されていた軍だ。そこを、撮られていたわけ。」
嫌だねー、姑息で。なんて言いながら頬杖をつく。私がつまみに作ったポテチを食いながら。

 いちいち切って(野菜を)揚げて切って(油を)盛り付けて塩振って。怠い。
 ネットスーパーとか使えないかな。空間からダンボールぽい的な。ドラ○もんとかも引き出しから宅配の人届けてくれるし。

「多分、すぐに帝国軍はここに向かうと思う。その前に連合軍が来てくれればいいけど……」
「迎える準備はできてんのか?」
「ばっちしばっちし。」
適当に応答し、立ち上がる。魔神も同じく。

「連合軍がこっちへ向かってる。キミの作った空間の檻に触れたみたいだ。」
「まじ。」
「受け入れてあげなよ。」
「いやまぁそのつもりだけど最初から。」
で、どこの村?そう尋ねながら玄関に向かう。

「帝国のことは任せたよ。」


 ということで指定された村までやってくる。というが、まぁイグル村東部だ。イグル村は他の村よりも栄えていたらしく、広くて少し遠い。

 つまり、他の村はもっと遠い。もしも他の村に行きたければ、魔神の扉でレッツゴーだ。
 扉に番号付けて行き来できるようにしてある。

 魔神様々だ。

「ん……まだここからは見えないかな。」
背伸びして目を細めてみるも、何も見えない。もうちょっと寄ってみよう。

 確か合わせて4万ちょいだっけ?詳しくは分からないけど……この人数イグル村に入れるの結構キツいよね。だから分けるんだけど。

 万能感知で見てみると、しっかりその姿を確認することができた。

 いやはや。めっちゃ隊列なしてるね。感動してきたなんか。この中に合衆国軍もいるんだよね。ラミア、だっけ。行ったことないし、いつか行ってみよ。

 村の入り口。王国側の入り口に向かって歩いていると、ガッチャガッチャと金属音と足踏みの音が聞こえてくる。微かに、馬の音も。

「あれ、かな?だよねたぶん。」
遠くを見るように、目の上あたりに手で軒を作る。結局よく見えず、断念して接近してみることに。

 いきなり襲われでもしたら嫌だな……あそこに知り合いいないかな……いたらいたでなんか面倒そうだなぁ……

 じゃあ何がいいんだよと聞かれたら、私はハテナを浮かべるしかなくなる。何故かって?そこになんの意味もないから。

「あれ?なんか人少なくない?」
向こうもこっちに近づいてきているため、接近は見やすかった。物資を運ぶ馬達の数や、万能感知での雰囲気を見て、漏らした。

 あれ、なんか向こう私に気づいてない?

 ちょっと微妙な緊迫感を感じる。何か言ってほしいのに、無言。怖い。

『じゃあ聞くけど、村人がいるはずの村によく分からん人が現れたらどうする?』

 逃げる。

『正解』

 これに正解とかないでしょ。確かに不審者が出たら逃げるが模範解答だけどさ。

「まぁ……いいや。とりあえず入って。説明は後。」
私は踵を返し、軍団を引き連れて村の中に入っていくのだった。素直でたいへんよろしい。


 全員を無理矢理中に詰め込んだ結果、村の中に騎士が溢れかえった。
 リーダー格的な人が指示をしており、探索や待機をしている人がいた。私の側には、少人数しかいない。

 拠点に案内するわけにもいかないので、村の中心部に簡易的なテーブルと椅子を設置した。

 あれ……なんか、どっかで見たような顔な気がするんだよね……誰だっけ。
 こういう時に記憶力の無さが現れるんだよ……

 なんて頭を悩ませていたら、本人登場。図体のでかいやつが、こっちに近づいてきた。

「お嬢さん……でいいのか。一体何が目的だ?ここには村があったはずだ。村人はどこにいった?」
険しい顔つきで、私に問い詰めてくる顔は……真っ直ぐで厳しくてうざい……

 あ、そうか。この人総騎士長だ。ナリアのお父さんだ。

「だから見覚えが……」
1人うんうんと頷き始めた。総騎士長さんは、腰から剣を抜いた。

「ふざけているなら、切り捨てるのみ。」
鋭い眼光を浴びせられるも、平然と見返す。

 いつもの私なら、ここで刀でも抜いて打ち合って「お前は……!」的な展開をやるけど、今回は真面目な話だ。控えておく。流石にね。

「ちょ、ストップストップ。私、私だから。」
そう言いながらフードを取る。ほんとに剣振りそうだったし。

「…………ソラ、か……」
「そうですよ。あの日門の前で罵り合った仲じゃないですか。忘れました?」
魔法少女ステッキを振る。苦い思い出を思い出すように、「あの時は唐突にすまなかった」と謝罪をした。

 なんか素直……?

「が、あの日ああして太刀を交わし合ったことに疑問も後悔もない。」
「あ、そうですか。」
と思ったら、思考回路の問題だった。凛々しく言い放った総騎士長が謝ったのは、どうやら唐突の部分。

「改めてようこそ。私達の駐屯地へ。」
今度は、美水空としての私で歓迎の言葉をかけるのだった。

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 ちなみにですが、レリアリーレはそこそこ強かったりします。剣は握れない代わりに魔導具の扱いがめちゃくちゃ上手いです。
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