魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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17章 魔法少女と四国大戦

527話 魔法少女は潰し回る

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 パァァンッ!パァァンッ!パァァンッ!

 たくさんの銃声の発生源は、無論私。どういう原理か、無限に湧く菫との戦闘が続いて3回目。ネイファと四神のうち3人で協力して潰し回っているため、もうそろそろで終わりそう。
 ちなみにネイファはどこ行ってるか不明。

「200人って結構多いんだ、ねっ!」
銃把というのか。よく分からないけどその辺で敵の頭を薙ぎ払い、頭を吹き飛ばす。急所打ちは、認識されないことの少ない利点だ。

 ここまで来ると菫狩りより雑魚処理の方がめんどい。相手気づいてくれないから自分で行かなきゃいけないし、何より数が多い。
 ラノスで処理し切れる量じゃない。

 銃は収納し、普通にステッキに持ち変える。

「最初あんな早かったのに、何でそんな遅いの?」
「スキルだって無尽蔵じゃねぇんだよ。」
「だって。使えないからルーア、やっちゃって。」
「いちいち我を頼るでない……」
あの時はあんなのじゃロリっ子ドラゴンだったのに。今や立派な神だ。

 まぁ神々しさはかけらもないけど。

 言ったらキレられる確率99%なので、言うことはしない。これは絶対。

「ひゅー、かっこいいよー。」
相手は1人のはずなのに関係ない奴まで死んでいく現状に慌てふためく兵士達を、宙に浮いて見下し、手を翳す。

 おぉー、凄いそれっぽい。強そう。(小並感)

「消え去れ、愚軍ども。」
手のひらから広がるように、7つの円が重なり合い魔法陣が生み出された。それが龍法陣と連結され、私の空間内を覆い尽くす。各龍法陣に力が蓄えられ……

「パラライズテンペスト。」
挙げた手を、断頭するように下げた。

「…………………マジかよ。」
「これでも最弱なんだけどね。私は元龍神を殺してるからそれより上ってことだ。」
「……さすがにそれは嘘だろ。いっぺん死ね。」
一瞥すらなしにそう言われるが、私も同じ。

 相手からしたら、見えない何かに貫かれて麻痺させながら痺れ死ぬ感じ?
 鬼畜すぎ。あんなの、見えてても避けるのは至難の業だろうし。

 ルーアは、行き交う麻痺光線の嵐の上で満足そうに腕を組む。

「上出来かの。我も四神の1柱。生半可な実力ではない。」
「もうルーアだけでやってくれない?」
「それは我も面倒。」
淡白な返事でビンタされる。これは適当な比喩表現。

『なんか私今日機嫌いい?』

 まぁ左腕復活したのは嬉しいからね。

『これで両手撃ちができるじゃないか!私の野望に1歩近づいt』
『はーい、興奮しないのー』
『…………解せん』
Cが抑えつけられた感情の昂りの吐きどころを見つけられず、歯噛みしていた。

 そんなこんなしていると、パラライズテンペストが終わりを迎えた。私の空間内に、3人以外は存在していない。

 ルーアと私が1ヶ所に集うと、自ずと蓮もやってくる。

「終わったが、次はどうすんだ?」
「普通に次行くんでしょ。あ、ちょっと待って。確認だけ先しとく。」
「確認?」
「どこの村が制圧完了したか。魔神に聞くの。」
用意されたのは1セットの紙とペン。

 今どんな状況?誰がどんだけ制圧完了してるかもついでにお願い。っと。

 魔力を流すと、消えてなくなる。
 と思ったら、すぐやってきた。

『ボクだって忙しいんだ。わざわざ確認なんてとらないでくれ。』

「よし、行こう。」
「確認はいいのか?」
「魔神役に立たないし。」
やってきたメモをビリビリに破り燃やし捨てる。二酸化炭素が余分に生まれてしまった。

「ルーアは分かんない?」
「そこに人間がいるかどうか程度しか判別はつかんの。我は探知に長けているわけではない。」
そう言いながら座標の確認をしてくれる。

「恐らく、もう17ほど壊滅しておるの。もう、じきに終わりが来る。」
「あと4ね。でも気を抜くのは厳禁だよ?私だって完璧じゃない。できないこともあるんだし。」
「俺がいることを忘れてねえか?」
「まぁ、蓮も強いっちゃ強いけど?安心材料としては安いかな。」
「殺すぞ。」
きゃーこわいー。なんて棒読みで叫びながら、視界を白く染め上げる。そして戻ってくる視界。ルーアの転移だ。

「慣れねえな、この感覚。」
「早く慣れたほうがいいよ。転移は私もできるように頑張ってる途中だけど、いずれポンポン使うから。」
左腕を伸ばし、空中にプローターを発射。爆発させて視界を掻っ攫う。

「もう手慣れてんな。」
「魔法少女だからね。」
「何の理由にもなってねえ。」
「魔法少女は存在自体が不思議な生物なんだよ。」
ある程度の人数が集まったのを確認し、空間を閉鎖する。それを皮切りに、私達は駆け出した。


「はぁ……………これで終わりか。」
聖剣で、鎧ごと体をバターのように切り裂く。

「んで、テメェは何やってんだよ。」
「詰問?」
「見えねえだろうが。」
うりうりと倒れた菫に銃口を突きつけ、薄く笑みを浮かべる。

「どのような能力でしょう……気になりますね。」
「あんた、見るたびに倒れてんな。」
「…………その口ぶり、私が複数名いることを知っているのですね。」
「んだよ。」
「いえ……」
「はぁ……流石にそろそろ心苦しいから楽に死なせてあげよ。」
無視されるのも少し慣れを感じてしまい、早く終わらせるためにそう言った。

 嘘も方便だ。少しでもまだ日本人っぽい倫理観があるって思いたいじゃん?

 つまり自己満足。

 載せられたステッキの先端から雷が発生し、菫の体を駆け巡る。相手に見えていない利点も、そこそこに見えてきた。
 体がビクッと揺れたのを確認したのち、焼却。

「よし。次!」
「テンション高えよ……」
「高くしないとやってらんないでしょ。こちとら認識すらされないからちょっと寂しいの。」

「テメェからしてることだろうが。」
「仕方ないじゃん。したくなくてもしなきゃいけないんだから。」
「夫婦漫才はよそでやってくれんかの?」
「「誰が夫婦だぶっ飛ばす。」」
元からの眼圧と、私特有の威圧でルーアを黙らせた。

「ルーア。キミさぁ……」
どこからともなく声がする。めちゃくちゃ聞き覚えのある声。

「もう少し、神の威厳を身につけたらどう?くたばった爺さんみたいにしろって言わないけど、神らしく振る舞えない?」
魔神だ。見紛いようもなく、ダサいTシャツの魔神。いまだにダサT。

「それは魔神様にだけは言われたくないの。鏡を見てから発言してくれんかの?」
「キミねぇ……生意気言うな。あと、その様はやめろ。エディにも注意されてるだろ。」
「ヴァルディート殿。」
「それでいい。」
魔神は、よっ、とでもいうように片手を上げ、笑ってくる。

「ボクが気持ちよく軽く一掃してる時に、水を差す手紙はやめてほしい。」
「そんなん知らないよ。…………それはそれとして、なんでいるわけ?」
「終わったから。」
「ん?」
次の展開がなんとなく予想できた。それでも、視線を奥にやる。

「わたしの体に気安く触らないでもらってもいいですか?なんですか?わたしが好きなんですか?気持ち悪いのでお引き取り願います。」
「余はそんなつもりはない!」
「あらあらぁ~。」
3名、空間の捩れから帰ってくる。

「あ、お疲れ。余の方はもう片付いた。うるさいこの子も。」
「同じくよぉ~?」
「……早くない?」
神の理不尽さを再び痛感しながら、一応問う。

 私達、まだ3村目なんだけど。残りの18村、もう終わったの?私達必要なかった?

「それで、どうする?」
「どうするって?」
「いや、制圧したところでここをどう扱うかって聞いてるんだけど。」
「人神のくせに嫌なところに気づくね。」
ネイファを羽交締めしている神の言葉に、少し顔を渋らせる。

 というかさ、ネイファは四神についてどこまで知ってるの?殺しに来ないってことは、そういうことなんだろうけど。

「一旦全村を逆に王国軍側の駐屯地……というか、物資保管場所にする。村人は悲しいことに全滅しちゃってるから、王国軍がくるのを待つしかないね。」
「それが妥当だとボクも思うよ。」
「村人は、集めて燃やしておこう。」
私は近くの岩に腰を落ち着かせた。と言ってもそこまで近くないから離れて。

「……何やってるの?」
「休憩。もう、外見て?」
空間遮断された外は、もう黒雲が立ち込めじきに押し流すような雨を降らせることを予告していた。これじゃあ、進軍も待たなきゃならない。

『そもそも、向こう帝国の侵攻に気付いてないから進軍しようがなくない?』

 あ。

「忘れてたぁ………」
やることが満載すぎて、もうてんてこ舞い。

「まずはもう解散。今日はもうおしまい……」
頭を抱えながら、やることリストを1人まとめ始める私だった。

———————————————————————

 最近遅筆がやばすぎますね。そのせいで執筆したいお話も進みませんし。
 本来ならば、彼の心の奥底に燻るイラつきを、誰も見えない彼女と結びつけその心を爆発させるようなシーンを描いていたはずが……まだバドミントンしてます。なんで?(こちらの話です)
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