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16章 魔法少女と四神集結

524話 魔法少女と開戦

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 魔神の設置したのは、帝国と王国の国境。王国側の村々の点在する辺りに門を開き、私は足を踏み出した。

「もうこれ、戦争始まってるんだよね?」
「もちろん。宣戦はないらしいけど。」
そう言って出てきていたのは、魔神ヴァルディート。続けて人神、龍神、霊神と次々と神々が降臨(笑)していく。

 こんだけ神が集まるとなんか、新興宗教みたい?私が教祖でいい?まぁやらないけど。

「で、わざわざこっちに来たってことはなんかはあるってことだよね。」
「正解。」
魔神はにっこりとした。自ら事件に突っ込むとか、主人公かよ。と思う。

「わー、ナニモキコエナイ~。」
「其方。往生際が悪いぞ。自分で決めたことを最後までやらないのは、人としてどうかと思う。」
「神に人を語られた!?」
「悪いか?」
あっさりと物理的に背中を押され、歩かされる。ということはだ。

 絶対向こうになんかあるよねぇ?
 はぁ。でも、そうしないと帝国は倒さないんだよね。いや、分かってるしもう覚悟もできてるよ?でも、表層の部分がなんか足掻いてる。
 どのくらいかというと、どのくらいかというと……なんだろう。

『例えが浮かばないのに例えようとするの、それめっちゃ滑るやつ』
『我ながらつまらないな』
『つまらな~い』

 うるさないなぁ、なら私達は案あるの?

『………………』

 急に黙らないで?

 そんなお遊びのせいで、私の平穏な時間はしょうもないことで消えてしまった。

「ほら、なんか起こってる。」
「あれは……影かの……?」
「影ねぇ。」
霊神が頷いて、しかしだからといって何かある訳でもない。

「あの影……」
「何か見覚えでも?」
「あれ、ネイファのだ。」
思い出すように言葉を漏らした。

 そうだよ、あれネイファのだ。私は目の前で見てるし、喰らった。あれはネイファの影。間違いなく。

「神国側の、未来では創滅神に次ぐ厄介さ。でも、帝国戦には必要不可欠。」
「厄介な相手だね、随分。」
「断片的だけど、未来の話で分かる。21の村を制圧する帝国軍を秘密裏に掃討するにはネイファが必要。」
私は歩く速度を早める。合流はできるうちにしといた方がいい。

「それと、監視してた方があとがやりやすいでしょ。私はネイファに注意するから、周りの村の制圧は4人に任せるよ。あ!姿は隠してね?神とか見られたらまずいでしょ。」
「其方も働け。」
「我らは神だからといって、無尽蔵というわけでも……」
「はいはい黙って。やらなきゃいけないの、これは。」
眼前に近づく影を目指した。なんか言ってるけど、気のせいだ。

「やっぱりこれ、ネイファでしょ……何やってんのネイファ!勝手に動かれても困るんだけどぉ!」
失踪しながら文句を流す。

 何か一報くらいちょうだいよ。報連相大事だよ?……まぁ、仲間というより協力関係だから仕方ないか。
 どっちみち、しなきゃいけないことだし。

 影の内部に侵入しながら、整理をつけた。

「あ、い———」
た、と言おうとした瞬間に、頬を何かが掠めた。風?え、風?

 今、何が起きた……の?

 目を向けた先には、どう見ても日本人顔の女性とネイファが対峙している様子が窺えた。

「……………あぁ~。」
ネイファが私に気づいた。というか目がバッチリあってる。

「よそ見している暇があるのでしょうか?」
不可視の魔力の流れが巻き起こる。それを、ネイファは冷静な判断で防ぐ。影が最小限の動きで風を停止させる。

「集中力が欠けているご様子ですね。どちらを向いていらっしゃるのでしょう。」
そう言ってネイファに視線をやる。

 あ、アーレのおかげで私帝国の人に見えないんだ。
 こんな強そうな人までねぇ。すご。

 単純に感嘆の息が漏れる。

 不可視の攻撃は私の空間操作によって阻まれ、安心安全のままに私はネイファの横に立つ。

「私、見えてないみたいだけど。どうする?変わろっか。」
「そうしてもらえると助かりますねぇ。少々、相性が悪くて。」
影で覆わせ、完全暴挙する。そして、いつものように消えていく。飲み込まれていく。

「多分、別の村行ったと思う。普通に勝てない相手ではなかったしね。」
「で、どうするの?あの子惚けてるけど。」
「ん?」
人神が指摘し、振り返る。紫に近い黒髪の女性は、きょろきょろあたりを見渡している。私は認識すらされていない。

 なんか寂しいな。敵でも見つけてもらえないって。

「逃げられた…………一体何のために。」
「あのー見えてます?聞こえてます?」
「聞こえてるわけなかろう。そこまで人も盲目ではあるまい。」
「まぁアーレがやってるわけだしね。」
パッと離れる。周りにはまだ影があるため、余計困惑を助長させている。

「…………皆は?」
「全員ぶち殺した。」
「……っ!」
ばっと振り返る。なんか忙しない。

「俺は少し特殊でな。確実に、202人を殺害した。はっ。つまらねえな。」
剣を担いでいる。なんか、見覚えがある。

「聖剣?」
「…………あ?お前、なんでここにいる。四神はどうした?」
「ねぇ、全員殺したって本当?」
「あ……?村民は元から殺されてたから知らねえぞ。」
「いや、まぁそこもだけど……まぁいいや。」
「先程から誰と会話しているのですか!そこに、誰かいるというのですか!」
声を荒げて視界を彷徨わせる。

「こいつ、私やるから。」
「拒否する。俺はまだまだ満足しちゃいねえ。お前らの部下、弱すぎんだよ。」
「私の仲間を侮辱しましたね。……仮に、貴方たちとしましょうか。『六将桜』第二将の実力を、お見せしましょう。」
カッと目を開く。危険を感じて、四神と共にそそくさと。

 あの人の能力よく分かんないけど、四神の姿隠しててよかった……

「アレ、いいのかしらぁ?」
「さぁ?いいんじゃない?」
「ねぇ、これ21村あるんじゃないの?其方は行かなくていいのか?」
「私は後から。あー……ルーアは、転移用に私と。あとの3人は残りの村、頼める?私達は皇帝戦までばれちゃ行けない存在だし。」
魔神は「はいはい」と門を出し、人神は「其方もサボるなよ」と注言を残し、霊神は「ばいばーい」と消えていく。

 自由奔放だね、神って。

『ブーメラン』

 なに?

『ナンデモ』

 ……まぁいいや。
 このままじゃネイファの負担もありそうだし、この辺一体空間で覆おう。
 そのくらいならまあね。いけないことはない。

 地図上で見た場合、王国は東側。その北西部に帝国があり、現在地は国境に近い西部。人神には北部、魔神には東部、霊神には南部を任せる。

 どうして王国は村の整備とかしないんだろうね。

『反発生むからじゃない?』

 普通に考えればそれしかないか。
 ……で、あの転生者は?

 もう名前も忘れた男の方を見ると、聖剣を手に応戦している。

紅蓮電火蒼恒星グレクトゥ・リター!」
「ちゅ、厨二病だ……っ!」
あからさまなカタカナネームに目を見開き、若干引く。でも、威力は確かでものすごい熱量を帯びた隕石が現れ、女性に降り注ぐ。

「威力だけあっても、木偶の坊ですね。」
次の瞬間に、星は砕けた。

「私、貴方には相性がいいみたいですが。どういたしますか?」
「……はっ。戦いごたえがあるじゃねえか。」
「ねぇ、時間ないから早くしてくんない?」
「お前は黙れ。」
どすの利いた声。そこまで怖くない。向こうは何言ってんだって感じで見てる。

「空裂きっ!」
「どんな攻撃も意味はありませんよ。」
諭すような声で、やはり攻撃を防ぐのだった。

———————————————————————

 ちなみにですが、ソラさんが認識阻害がかけられているのは敵を倒すためではなく隙を作るためです。
 認識されないっていうのも、逆に良くないこともあるんですよ。

 それと、神が直接下さない理由は復讐や報復も兼ねているからですね。
 ソラさん、アーレのために頑張っちゃってますよ。普通にむかついてるだけってのもありますけど。
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