魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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16章 魔法少女と四神集結

515話 魔法少女と四族龍

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 無事に喧嘩は終わらず、現在進行形で続いている。しかし、これが通常運転だそう。神って案外ノリ軽いんだ。

「そろそろ、話聞いてくれない?」
「こいつが悪い。」
「暇人さんのせいよぉ。なによぉカリカリして。」
「どっちもどっちでしょ。互いに妥協すればおしまいでしょ。片方じゃなくて、互いが。」
何もしない人神の代わりに、めんどくさい神2人を宥める。本当うるさい。

「次うるさくしたらチョップかますよ。」
「チョップされたくないからやめておくわぁ。」
「はいはい。」
ようやく喧嘩を沈め、一息つく。

「それで、ボクは龍神を探せばいいのか?」
「うん、端的に言えばそうなるね。」
「ここはボクの根城。全力が出せるボクにできないことはほとんどない。」
手に魔力を纏わせ、瞬時に紫色の炎を灯す。それは徐々に、半透明な揺らぎに変わる。

「そういうのいいから。」
「つまらないな。」
手を振ると魔力は霧散し、代わりに床に波紋が広がる。それは床を突き抜け壁を通り越して広がっていく。

「それ、創滅神に気づかれない?」
「大丈夫。さすがに、このくらいならね。言ってなかったけど、一応ボクらは軽くダメージを与えてるんだ。」
「大昔にだけどねぇ。」
「うるさいな。余計なことは言わなくていいんだよ。」
事実を隠蔽しようとしている。姑息な神だ。

「何故直接創滅神が下界ここに来ないのか。直接手を下すのは興が覚めるからと言うのもあるだろうが、余が思うに負わされたダメージのおかげだ。」
「ダメージって?」
「ミュールは何故精霊の森に拠点を作って生活していると思う?」 
唐突な質問。論点を変えすぎてるにも程がある。けど、なんとなく真面目な雰囲気を感じ取った。

「安全だから?」
「何故、安全が必要だ?」
「降参。答え教えて。」
これ以上は無駄だと感じた故の一言。

 なんか訳あり?四神もなかなか大変なのね。

「ミュールはその魂のかけらを核にして、余を含めた全四神の魔力を注ぎ込んで封印の秘術を発動した。」
「それで?」
「創滅神は下界に降りようとすれば、封印に阻まれる。その封印を解く方法は、ミュールを殺すこと。さらに言えば、魂を砕く。」
「だから安全が必要なのか……」
今一度頭で整理し、理解する。

 霊神の自己犠牲でなんとかなったけど、霊神は守らなければならない。だから外界から隔離した森を設置した。
 未来で火を使ったのはそれが理由か。あれは魔力すら燃やす。それで、見えないはずの森が解けた。

「ちなみに、監修は前龍神だよ。神からの監視から逃れる術を知っているのはあの爺さんだけだ。のたれ死んだけどね。」
「私が殺しただけだよ。」
「さらっととんでもないこと言うねキミ。」
「事実だし。知ってるでしょ。」
無駄話に興じ始めた魔神の目は、何重にも輪が描かれていた。

 探索魔法……どのくらいの規模なんだろう。

「……………ん?」
「なに?まさか見つからなかったとか?」
「まさか。見つけたさ。でも、よく分からん龍が龍神の周りに4頭。」
「別に龍なんだし龍神の周りにいたって普通でしょ。」
「これは……神龍?いや、候補か。」
「聞いてないし。」
空中ににらめっこをする。うーむうーむと睨む。

「ま、いっか。」
「よくないでしょうよ。」
「キミも龍だから大丈夫って言ったでしょ。なら、いけるでしょ。頑張れ。ファイト。」
「無責任な。」
そう言って魔力を収縮させ、その手のひらに戻した。

「はいおしまい。居場所は龍神の空中要塞。あの神殿だ。」
「へぇ。はちゃめちゃ遠い面倒い門開いて。」
「話が違う。」
「そのくらいはおまけしてよ。」
「はいはい。」
本当にこの神達面倒臭がりだ。めっちゃ嫌がっている顔を顰めて指先を向ける。私達に。

「はい転移。」
私の視界はシャットアウトした。


 こんにちは。魔法少女です。
 後ろを振り向いたら、底が全く見えない深い深い空。地面が見えない上空で、霞のかかったこの場所に突然放り出された魔法少女。

「ようやくついた、ルーアの神殿。」
「この霧邪魔だな。」
「侵入者なんていないのにねぇ。」
「ブーメランだよミュール。あんな馬鹿みたいな森作るとか神は大体狂ってる。」
「それもブーメランよねぇ。」
霧を手でぶんぶんやって、煙でも浴びてる感じを出す。

「もう寝たいんだけど、早く行こうよ。」
霧の先に指を刺し、視線を横に向ける。

 面倒い面倒い言いながらやってくれるツンデレな神様達と、ルーアの説得に行きますかぁ。

 あの時魔神の言ってた『4頭の龍』が気がかりになりつつ、神様パワーで苦労なく霧を抜ける。また日本に精神飛ばされたりしたらだるいなと思っていたけど、さすがは人神と霊神。私を守ってくれてる。

 霧を抜け、神殿の形が見え始めたところで……

「ん?」
「あれは……」
目を細めた。その先にある、というかいる巨大な塊を視界に収めた。

「えぇぇい!黙るがよい!我の命令を聞け!ちょ、我神のはずだが……何故話を聞かぬのかの?」
ルーアの叫び声が聞こえてきた。

『神龍の座に就けるのはワタシのような高潔な龍であるはずだ!帝龍であるこのワタシこそっ!』
『自惚れはよせ。王龍であるこのニニウルが、私のいるべき座なのだ。』
『貴様のような駄龍が神龍?笑わせるな。業龍の名を冠する吾輩こそが相応しい。』
『龍神様は女神であらせられるのです。ニニウルとアイルーンは無価値。』
カラフルな龍が言い争いをしている。ルーアは、頭を掻いて苦い顔をしている。

「なに、あれ。」
「さぁ。」
「あれよぉ、あれ。龍神になると、1龍神龍となる龍を決める習わしなのぉ。先代も、顰めっ面で話してたわぁ。」
「ま、面倒ごとには代わりないな。」
箸にも棒にもかからない、と言ったようにルーアは頭を抱え始める。

 そんなに神龍に執着するの、なんでなんだろうね。神龍ってそんないいものなの?
 人間の私には分からないね。

 でも、このままにするわけにはいかない。私はルーアに一刻も早く話さなければならないことがある。そんな程度のことに邪魔されてたまるものか。

「あー、ちょっと———」
声をかけようと出てきた瞬間。

『先程から妙な気配を漂わせて……龍神様の御前だというのに。』
『人間?何故人間が紛れ込んでいる。』
巨龍が見下げてくる。蔑んだ目と、言葉。

 イラっ。

『人間程度、無視するべきだ。私の出る幕ではない。』

 イライラっ。

『どれ。吾輩が排除して、神龍に相応しいと証明してやろう。』
『人間如きを倒して胸を張るなんて、なかなか幼稚。笑える。』

 イライライライライライラ……………

「これ、なんかやばくなぁい?」
「完全にキレてるな。御愁傷様としか言えない。」
そんな2人の言葉はもう聞こえていない。私が見えているのは、眼前のクソ龍4頭。

 鑑定眼で見てみようか。

 4頭を一通り確認し終える。
 ステータスだけで言えば、私と同じか少し上。でも、それだけだ。特段すごいスキルやら魔法やらが使えるわけじゃない。あの頃のルーアの方が強い。

「さっきから人間如き人間如きって、龍如きがごちゃごちゃうるさいんだけど。」
冷静(?)さを保ちながら、冷ややかな言葉を浴びせる。

『おい。龍を侮辱するとは、いい度胸だな人間!』
「黙って。」
『……っ!』
4頭全て、仰け反った。奥にいるルーアは、救われたような目をする。

 何が龍達に効くか、そんなの考えなくてもわかる。龍神の威圧だ。

 龍の威が発動される。

「重力世界。空間圧迫。」
物理的にも空間容量的にも動けなくなる龍達を見下す。土魔法で地面を盛り上げて。それでもなんとか動こうとしている。

 まだ動けるんだ。普通にすご。
 私だったらそのまま地面舐めるくらいの圧力をあると思うけど。

 それでも動けないのはまぁ、龍の威様々だ。

 ついでに土魔法で地面を泥濘みに変え、ハマらせる。

「こっちはそんなクソしょうもないことよりもうん千倍と大切な話があるんだよ。他所でやって、そんなもん。」
『なにを———』
「ん?」
『………』
私は満足げに頷き、ステッキで横を示す。退けってことだ。龍達は、見事に左右に散っていった。

 ふぅ、爽快!

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 買いたいラノベと、でも買えないラノベと、読めないラノベが大渋滞しています。
 あれも欲しいこれも欲しい状態で抜け出せません。あと、買ったところで読む時間はないのです。
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