魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

文字の大きさ
上 下
540 / 681
16章 魔法少女と四神集結

514話 魔法少女は龍神を探す

しおりを挟む

 待機することおよそ1時間。街の境界あたりで暇を持て余していると、ようやく霊神が現れる。その姿は、よそ行きの格好……ではなくいつもの露出だ。

「……痴女。」
「これが普通だ。見慣れておいてくれ。」
「はぁ……」
跳ねるたびにお姉様のお姉様がそれはもう元気よくお揺れになられる。なに?生き物でも入ってる?ってくらい。

 露出が多すぎて固定されないんだよ、多分。ほんと、最低限しか防いでない。

「そろそろ行きましょー?」
「はいはい……」
また長ったらしい道のりを辿ることになるのか、と少し辟易していると、そばで霊神が「そ~れ」と指を回す。

「はい、どーぞ?」
「そっから帰れるんかい。」
結界に穴が開くように、その出口は現れた。

 行き帰りもこれで行きたかったな……

「そういえば、龍神と連絡取れるのか?」
「そうねぇ、知らないわぁ。何も聞いてないんだもの。」
「じゃあどう探す?いくら神とはいえ、万能ではないんだ。余の力が及ばないこともある。」
なぜか、私の目の前で露骨に困った風を出す。

 いや、そういうのいいんで早く入ってもらって。

「困ったわねぇ。でも~、ルーちゃんの魔力があれば、追えるかもしれないのよねぇ。」
「どこかに龍神の魔力を持ってる人がいたらいいんだけど。」
「その謎の演技何?私に龍神の魔力出せと?」
あからさますぎてバカが誕生したのかと思った私は、呆れ満載の一言を吐き出した。

「言っとくけど、無理だよ。前の龍神の魔力なら私の中にあるけど、今の龍神の魔力はない。別のスキルもらってるし。」
「なんだ、使えない。」
人神は急に白けた感じを出して、ため息を吐いた。普通私じゃない?ため息吐きたいの。

「神なんだから私のステータス見ればいいじゃん。分かるでしょ?」
「それが分からないから遠回しに聞いていたんだよ。悟ろうよ。」
「無理だよ。」
無茶苦茶なことを言ってきて、さらには責任転嫁。飄々とした感じで、開き直っている。

「それがねぇ、魔法少女ちゃんのステータスに靄がかかって見えなくなってるのよぉ。まるで、私達より上の存在が覆い隠してるみたいな~。」
「創滅神ってこと?」
「でも、やる意味もなければ必要もない。」
「じゃあ誰が……あ。」
心当たりにぶつかった。

「私だ。」
「ん?」
「それ見えない原因、私。」
「はぁ?」
「詳しいことは話さないよ。人に話して面白いものはないし。」
言いながら、結界の穴に身を通す。霊神と人神の合間を縫って、通り抜けた。

 この辺で何かに襲われるのがテンプレだけど、まぁ神が監修してるだけあって危険はないね。
 ルーア探しか……1番難航しそう。

 もっと決まった場所にいてほしい、と思う私だった。

「とりあえず、出てこないことには始まらないでしょ?いつまでもそこにいないで。」
「はぁ~い。」
「神に指図できる唯一の人間だよ、其方は……」


 ようやく全員が外界に出たところで、霊神がぐるぐる回り出した。

「なにやってんの。」
「風を感じてるのぉ。」
「なんで。」
「体で。」
「理由を聞いてるの。」
言葉って難しい、そう思った。全面的に霊神が悪いことは目に見えてるけど。

「久しぶり外に出たものぉ。いいじゃない?」
「騙されるんじゃない。そいつ、つい最近外に出たばかりだ。」
「嘘つくなんてサイテー。」
「感覚は人それぞれよー?」
ふふ、と心の読めない笑みを浮かべた霊神は、何を思ったのか空を飛んだ。

「んん~、いないわねぇ。」
「そりゃいるわけないでしょ。その辺に飛んでる龍神とか見たくない。」
「そぉ?」
ひとまず自由奔放な霊神を降ろし、唯一手がかりがない龍神捜索作戦を実施した。

 というか、早く見つけて寝たい。濃厚すぎる2日間を過ごしてる私に休息と安眠を。

 だってさ!城を攻略して、牢獄にぶち込まれて、精神が疲弊してるわけ。分かる?

『それに関しては私も賛成だ』
『私も脳のキャパシティが残ってないよ』
『寝たいー』
Dは素直だ。ど直球に物事を言う。

「余は魔法が秀でているわけじゃない。言うなれば技神。人間が使うような武器や戦法を網羅している。」
「そう言う割に魔法しか使わないわよねぇ。」
「うるさいな。そういうのやめてくれない?」
「そういうのぉ~?」
「ダル絡みだよ。」
面倒臭い執着女でも見るような目で、しっしと手を振っていた。ダメージはゼロ。「あらぁ」とくすくす笑ってる。

「やめろ、ミュール。」
「いいじゃないレンちゃん。可愛いんだから。」
「男に可愛いって言うな。」
「…………2人の桃色空間を作らないでもらっていい?」
急にイチャつく2人を、文字通り陰となって見守っていたが、限界が来た。そもそもなんで人神は呼び捨てに?

 まさか……この2人っ!

 謎の邪推をしかけ、しかし100%違うなと思った。だって、霊神と人神だもの。

「……策ならある。仮にも人神。人の貪欲さも持っている。」
「カッコつけてる?」
「つけてない。」
霊神に構われうざそうな表情のままそう答えた。

「捜索ならヴァルの探索魔法が1番手っ取り早い。ミュールは確実性の代わりに魂を媒介にしないといけないから、少し使い勝手が悪い。」
「酷ぉ~い。」
「事実を言ったまで。」
「じゃあ一旦戻ろう。」
「どうやって?」
人神は指で私のステッキを指す。

 ステッキでどうしろと。私のステッキは魔法のステッキじゃないんだよ。

『魔法のステッキでしょ』

「ヴァルから貰った紙で伝えればいい。余は面倒だから扉は開きたくない。」
「ワタクシはそもそも無理よぉ。だから、お願いねぇ。」
「…………」
人神の怠惰具合に嫌気がさすが、仕方ない。ラノベ注文用のそれとペンを取り出し、書き綴っていく。

 最後に魔力を通して完了っと。

「はい、注文完了。」
「神をそんなデリバリー感覚で使う人間も初めて見たよ。」
「誰がやらせてるんだよ誰が。」
なんてツッコんでいると、にわかに空間が揺らいだ。

「ボクはタクシーじゃない……げ、露出狂……」
「暇人さんは今日も暇をしてるのねぇ。」
「誰が暇人だもっかい言ってみろ。」
「暇人さ~ん。」
「あ゛?」
2人の喧嘩の勢いは炎の如く大きく燃え盛る。私じゃ止められそうにない。

「人神、頼んだよ。」
「は?」
全てを人任せにする。なんと優越感のある行為なんだろうか。私は、しみじみ感じる。

———————————————————————

 諸事情により今回は短めです。
 諸事情ってなんだよ、って思われるでしょうが諸事情というのは諸々の事情で諸事情なんです。つまり、言い切れない事情。裏を返せば言いたくない事情をひた隠すための事情というわけでして、いえしかし言えないと言うわけではなく少し込み入ったような込み入ってないような深く浅く富士山のような…………………

 よし、150字稼げた。ものすごくキリ悪いですね。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

処理中です...