魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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16章 魔法少女と四神集結

509話 魔法少女は頼み事

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「これからどうする?」
魔神が再びYo○iboに体を埋めて聞いてきた。

「さっき言った通りだけど。」
「そういうことじゃなくて、今から何をするか。未来じゃなくて現在。now.」
「なんで英語知ってるか分からないけど、とりあえず次は霊神を当たるつもり。霊神のとこには知り合いがいるし。」
頭にベールを浮かべーる。つまらなさすぎて脳が凍りつきそうになった。

『なら最初から言わなければ良いのに』
『こういうのは言ってみたくなるものなんだよ。ほら、やっちゃダメなことほどやりたくなる冒険心』
こうやってダメ人間が生まれていくのか、としみじみ感じる。つまり自分はダメ人間ということ。

「最後に何かお願いを聞いてあげよう。送ってあげようか?」
「それは最初から決まってるとして……もしかして、アニメとか漫画とかラノベとかも出せる感じ?」
「そこに気づくか。アニメはここでしか見れないけど、物で残るラノベと漫画は、いける。」
「神っ!」
私は魔神の手を握り、ぶんぶんとアグレッシブ握手をする。

 まさか、まさか異世界でそんな娯楽を楽しめるなんて……

「それ、貰えたりしない……?」
「じゃあこれ。」
「なにこれ。」
ただのペンと紙にしか見えない。

「ペンと紙。」
「知ってた。」
「これに書いて魔力を流せばボクの元までやってくる。ついでに、ここから新刊情報やら既刊情報を検索できる。」
「やばい、神すぎる。異世界の遊戯神だ……」
手の震えが止まらない。半年間の二次元禁止生活。そんなの楽しむ余裕が少なかったという点を除けば、キツイことはしばしばあった。

 何もない休日の過ごし方とか。

 何を頼もうかと今になってワクワクが爆発しそうになる。

「まずは異世界系読みたいよね……ラブコメとかも読みたいし、あー!あの新刊出てないかな……」
「落ち着けー。」
人神の小さい手がぶんぶん目の前にやってくる。

「今、そんなことしてる場合じゃない。其方の欲求は別の機会に発散してくれ。」
「はーい。」
「ヴァル、頼める?」
「仕方ない。」
パン。手を叩いた。私と人神の目の前の空間が捩れ、そこに隙間が生まれる。

 これが本物の転移魔法ね。いつか、じゃ遅いか。すぐ覚えよう。結界魔法を同時に覚えようか。次元に干渉できればいけるはず。

 私はラノベニウムを摂取することで感情が昂り、ふんすと鼻息を出す。

「それじゃ、健闘を祈ってるよ。全員集まったらそれで呼んでくれて構わないから。」
「おっけ。いろいろありがとう。」
「こっちこそ、趣味の仲間ができて嬉しいよ。」
手を振って空間の亀裂の中に入っていく。「余と対応違い過ぎない?」と小声で呟いていたのを私は見逃さない。

『聞き逃さないの間違いね』

 ネチネチしないの。そのくらい雰囲気で察して。

『こういうのが自堕落を産むんだよね』
『いちいちめんどくさがってさー』

 はいはい、分かったよ、訂正すれば良いんでしょ。

 めざとい私に嫌気がさし、仕方なくお詫びと訂正を。

 申し訳ございませんでしたー。

 小学生の「ありがとうございました」を彷彿とさせる棒読み感。ないよかマシ、という精神を突き通そう。

 切り替わって現実では、にわかに風が吹き出した。木々のざわめきが久しく、もう何日もあそこにいたような気分になっていた。

「ん゛ー!涼しいー!」
「はしゃぐな。さっきのクールムーブはどこいった。」
「今は今さっきはさっき。楽しめる時に楽しまないと常時アレになるよ。」
「それはそれで気持ち悪いな……」
胸焼けしそう、そう言って後ろからついてくる。空間の捩れは瞬時に元通りとなり、空に腕をぐーっと伸ばす。

「今はここに精霊の森が移動中らしいけど、どう見つける?」
「神様パワーで分からない?」
「分からない。」
「ちぇ、使えない。」
「悪いね使えない神で。」
そんな風に卑下する人神。ぶっちゃけ戦闘以外で使い物にならないし、間違ってはない。

 そもそもその辺に出る魔物くらい私でも瞬殺できるし。

「神霊召喚、だっけ?」
手を伸ばしてスキル名を呟く。多分こんな感じでよかったと思う。

 前1回召喚したきりだったし、今回はゆっくりお話しといこうかな。戦闘するわけでもあるまいしさ。

 木の葉が舞う。
 そこには、緑色の髪の毛を持つ美人さんが。体はそこそこ小さい。でも、手のひらサイズよりはマシになっている。

「久しぶり、ベール。」
「……随分と急ね。」
そう言うベールは随分と不満そう。

 まぁ前回雑に扱いまくったし仕方ないか。

「今日は何の用?痛いのは嫌よ。」
「イタクナイヨ、イタクナイ。」
「その棒読みやめて。」
「本当に痛くないよ。戦いはない。」
「じゃあ何の用?」と細く小さい首を傾げた。

「精霊の森に案内して欲しいんだけど。霊神に話がある。」
「ミュール様に?会えないわよ、そんなに簡単に。神霊になったわたしでも色々な手続きが必要なんだから。」
「でもほら、同僚の人神連れてきたし。」
「よろしくー。」
片目を開けてよっ、と言う感じのフランクな挨拶。ブロンドの髪のせいで貴族の子息にしか見えない。

「え?」
「本物だよ。」
「ご紹介に預かった通り、余は人神。世間一般には知られていない、四神の1人。エディレン・メヴィス。」
「ミュール様の言っていた?」
「なんて言ってたかは知らないけど多分その人神じゃない?」
ベールが珍しくあわあわおろおろしている。狼狽している様を見るのはなんか楽しい。

「それで、あの、人神様はどうして精霊の森に?」
「余たちの本懐を叶えるため、と言えば気づくでしょ、あの露出狂なら。」
「露出狂?」
「ああごめん、ミュールのこと。」
あははと笑い出す。情緒不安定かな。

「ね、ねぇあんた、この人ほんとに人神様なの?ミュール様を露出狂だなんて……」
「正真正銘四神の人神。疑いようもない事実。」
眉間に少しだけ皺が寄る。期待が砕かれるような思いが表情から見て取れる。

「精霊の森に案内して欲しいんだけど、いける?」
「うん、分かった。そのくらいなら別にいいわ。」
「ありがとう。」
「やけに素直ね。」
「後悔先に立たずっていうでしょ。後々じゃ遅いの。ま、その後々を作るのが私の役目だけど。」
ベールは疑問符を打つ。私はそれでも満足して、案内を始めるベールの後ろをついていく。

 ベールはあんまり背負わない方がいいと思う。他人の重荷ほど重く感じるタイプだろうし。

 転移した森から少し深いところまで進み、いつの間にか外界と隔離されている感覚が伝わってくる。

 このあたりから魔力が薄くなってきている。原素があるため以前のようにはならないけど、警戒はもちろん必要。

「人神って原素あるの?」
「ないけど。」
「え、死ぬじゃん。」
「舐めてもらったら困る。四神特有の力があるんだ。人間みたいに倒れることはない。」
「なんかうざー。」
煽られているような気がして文句を吐いた。

「可愛くない人間だよ、其方は。」
「可愛さとか求めてないし。」
「いちゃついてないで、もう着くわ。」
「「は?してないし。」」
ひっ、とベールが可愛く声を上げた。

 やっぱり可愛さってのはこういうベールみたいなのに求めるのが普通であって、私みたいな魔法少女には不必要なものなんだよ。

 深々と頷く私だった。 

———————————————————————

 まだ執筆中のお話があるというのに、coverさんは新しい物語を書き始めてしまいました。

 ラブコメといえばラブコメ。ファンタジーといえばファンタジー。不思議なお話となっております。(まだ5000字も書けてない)
 さて、意欲が下がらないうちに頑張りましょうか。

 私の書く物語のヒロインは魔法少女スパイ女子高生殴殺少女召喚術師ときて、今回は魔女です。原点回帰です。それが投稿されるかは未定ですけど。
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