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16章 魔法少女と四神集結
508話 魔法少女はゲームに興じる
しおりを挟む私は専用コントローラーを用いて、大画面テレビゲームに興じていた。
私はイン○リング、魔神はピ○チュウ。
「———~~~んんん!」
ゲームセット!そんな音声がテレビ画面から聞こえてくる。上投げからの撃墜で試合は終了してしまった。
「なんでゲーム?」
人神の視線が突き刺さる。私も何故だか分からない。
私はちゃんと未来の話をした。したはずなんだけど……
話は少し遡る。
「帝国を退けた後の王国軍は、とても次の戦争を始められるような状況じゃない。大元は私達が叩けても、局所的な戦まで手はかけられない。」
話だしから帝国を滅ぼす。まぁ、別に帝国はあまり関係ないからどうでもいい。
「創滅神は世界を創り直そうとした。初めてできたこの『失敗作』の世界の代わりを創るために。」
「それなら、普通に壊せば良くないか?それだけの力が、認めたくないがある。」
「それだけ性格も捻じ曲がってる。だから、楽しく世界を壊したかった。だからあんな残虐な方法をとった。」
私の語り口調は、少しだけあの私のようになっていた。思い返すだけで、はらわたが煮え繰り返りそう。
「創滅神は神国に力を与えて、私以外ほとんどが死んだ。」
「キミは生きてるんだな。」
「あいにく、2人に助けられたもので。」
「それはそれは、その世界線のボクらはやっさしいことで。」
「そりゃもうね。人神とかすっごい剣幕で来るなって叫んでたし。」
その言葉に笑いのひとつもない。無感情のセリフだった。
「ま、そんなピリピリしたってどうもならないぞ。ほら、触ってみたら変わるから。」
そうして手渡されたのはコントローラー。
そして話を戻して現在。
「あぁぁぁぁぁぁぁ!強すぎない!?チート使ってない?私1回しか落とせてないんだけど?」
「いや、1回撃墜できただけでも誇るべきだ。」
「さすが魔神。風格あるなぁ。遊戯神にでも改名したら?」
「あはは。ふざけてない?もう1度隕石落とそうか?」
「ごめんなさい。」
さっきまでの雰囲気がまるで夢のよう。ゲームに白熱している。しかし、熱はいつか冷める。
『おーい、現実に戻ってこーい』
「……なんでゲームやってるんだろう。」
すとんと意識が元の場所に戻ってくる。
「人は何もしないと暗い思考に埋もれるものだ。なら、何かしていたほうが楽なはず。それがボクの持論で、ボクがゲームに浸る理由。」
「ヴァルは単に好きなだけだよ。」
良い話風に見えたゲーム好きの妄言だった。まともに聞こうとした私がバカみたい。
「でも、そうか。ボクらは目的を達せなかったのか。悪いね。ボクらが不甲斐ないばっかりに、キミにも飛び火した。ほら、エディも謝れ。」
「だから頭を撫でるな……」
見た目と中身が逆な2人が、今は見た目通りに見えた。魔神……ヴァルディートは、案内いい神なのかもしれない。
「……其方が、余の死後全てを受け継いだ人間だというのは少し納得はいかない。だけど、その点は謝罪と礼をするよ。」
不満げに横を見て言った。神なのに情けない。
どうせなら、四神とは言わず十二神くらい集めてくれたらどうにかなったんじゃないとは思うけど、今更だ。
もう来年。時間は本当に残されていない。
というか、来年もない。
「それはいい。今の魔神と人神には関係ないし。それを言うなら、今も全てを背負って世界を旅する可能性の未来の私に言ってあげて。」
「顔も分からない相手に謝罪ね。」
「そんな変わってない。自分で言うのもなんだけどね。私から希望やらなんやらを抜いた感じ。」
軽口はここまで、そんな感じに言葉を区切る。そもそも軽口しか飛んでないのが問題だ。
ここって神の城だよね。軽く血が飛びそうな魔神の城に軽口が飛ぶことなんてあるの?
「だからこそ、今回はそうならないようにしたい。私は多分、2人にも死んでほしくないんだと思う。2人は神じゃないから。」
「薄々は気づかれているとは思っていたが、そこも知ってるみたいだね。」
「ボクは知られたところでどうとも思わないけど。」
手のひらを天井に向けて笑う。人神を煽ってるみたいだ。
「人神ー、煽られてるよ。」
「いや、違う違う。ボクはキミに笑ってるんだ。」
人神はニヤリとした。どうしても人神だけは神と思えない。偽りだったとしても。
「流石のボクも、未来を見通すとは思わなかったよ。驚きだ。これは、本格的に変革者をバカにできなくなってきたな。」
「それはいいけど、あの異世界人はどうする?同じ創滅神からの転生だけど。」
「あの異世界人?」
「途中で入ってきた男のことだよ。」
そのくらい察せ、と無茶を言う。私ほど鈍い人間はいないのだから。
『都合いい時だけ鈍くなるよね、私』
都合のいい人間だしね、私。
ご都合主義を常時展開する私の言う言葉にはとても現実味も信憑性もない。けどあるものはある。
「あれはほっとけ。脅威にはならない。知ってる能力を好き放題身につけたところで、意味ないでしょ。」
「まぁ、ディスタブの解除法は同じディスタブか理を操るの能力だし、無理か。」
2人の世界で話し始める。早々についていけなくなり、集中力が抜ける。
神は神の、私には私の考えることを考えよう。分からないものは素直に分からないと言って開き直ろう!いくら聞いたって分かるようになるわけじゃないんだし。
考えるべきは神国。
創滅神はどうにもならない。2人の言う変革者になれれば別?まぁ、これは分からない。
危険なのは明らかにネイファ。あの私の未来では百合乃が断絶で殺した。でも、今回はそうさせるわけにはいかない。
なんだかんだ言って百合乃は好きだ。死んだら泣き腫らす自信がある。
ずっと友達でいたいくらいには好きだ。
今の私は素直だ。失ってから、伝えることはできない。
ネイファにはほんとに注意しないと。神国軍はもう無理かな。力を与えたらどんな雑兵でも精鋭部隊に様変わり。1人で国を脅かせるようになっちゃうから。
まぁ肉体は雑魚だから問題ない。
それに、いざとなったらあれがある。
統一神化。創滅神との戦闘で使う……いや、やめとこう。私の救済処置は使わない方針で。
「それで、キミはどうするつもり?」
「ん、なにが?」
「今まで其方は何を聞いていた?」
「なにも。」
人神の呆れ切った顔が私に向けられる。そっちが分かりづらい話をしてるせいだ。
「神国に対して、どんな対応をするか。それを聞いている。」
「わお、端的。」
思ってもない驚きを声に出す。
「もしここで帝国どうこう言われたらぶっ飛ばすつもりだったけど、それならいいや。」
「で、答えは?」
「数を減らす。これが最も単純で容易い方法。教会を潰すか、人員を減らすか。個人的には各地の教会を取り押さえてやるのが1番。」
思いを語る。
今の段階だと、帝国よりよっぽど神国の方が危険。だけど、帝国に私の存在がバレる危険かこのまま私が動けない危険か、天秤にかけてもどっちつかずの答えしか生まれない。
「ひとつ聞いていい?」
人神と魔神を見る。
「帝国戦で私の存在がバレたとき、どのくらいの損害がある?」
「時と場合による。」
魔神がスパッと答えた。人神も頷き、それに乗じて説明を加えた。
「戦争準備中にバレれば、計画は破綻する。しかし、戦争開始後にバラせば内部に混乱を生ませられるはずだ。きっと、皇帝やそこらには転生者の情報はいっている。」
「というか、キミは戦争始まった瞬間暴れてもらって構わないよ。それがボクら四神のカモフラージュになる。」
案を聞いて、方針を固めた。
「帝国戦が終わったら一気に忙しくなるけど、頑張ってもらうからね。」
「できる限りやるよ。ボクと趣味の合う唯一の人間なんだし。」
「余は死にたくないから頑張るよ。」
それぞれの利害は一致し、ここに二柱一人の同盟が結ばれた。
あと、二柱。
———————————————————————
ゲームをするはずが真面目な話に変わってました。ここからは最終章に向けて後半のお話になっていきます。帝国を吹っ飛ばして、そこを越えてからが最終章の入り口です。
早く終わりたいと言いながら終わりが見えなくて泣きそうな私ですが、頑張らせていただきます。
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