魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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16章 魔法少女と四神集結

496話 魔法少女と神の楼閣

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 人神、エディレン・メヴィスは両手を広げた。沸々と湧き出る魔力の放流を眺め、私はただ立ち尽くす。

「世界のために、余も一肌脱ぐんだ。其方もしっかりやってくれ。」
魔力が収束すると、そこには人が余裕で行き来できる程度の真っ黒な扉が現れた。人神は、そこを指さして言う。

「ここから先はどんな魑魅魍魎が跳梁跋扈する森の中よりも危険な、魔神のテリトリー。苛烈かつ夥しい量の罠が張り巡らされた城内を突破し、魔神の目の前まで辿り着かなければならない。」
「うわ、話聞いただけで行きたくなくなった。」
「余が踏破したら、魔神は機嫌を損ねて来てはくれない。其方自身で興味を持たせるのだ。」
人神は扉を叩く。自分で開けろと言うことか。

 いやまあ行くけどさ!そんな前置きされたら誰でも躊躇するじゃん。
 私は救国の勇者でもなければ俺TUEEE系の主人公でもない。よっしゃやったるか、なんて簡単に言えるわけないじゃん。

 私は命が惜しい!命あっての物種だ!大切を守るなんて死んだら出来なくなるんだよ!?
 いや行くけどさぁ!?

『はよ行けよ』
『怖いんなら怖いって言っていいんだよ?』
『ふっ、魔神、か。我が魔の力に届きうる名じゃないか』
『ふぁいおー』
私ABCDが心で騒ぐ。

『略すなおい』

 はいはい、いきゃあいいんでしょいきゃあ。行きますよ行きますー。私は魔法少女ですもん。怖いものなんてないですもん。

 少しだけ、少ーしだけ気分が悪いのを自覚しつつも、人神の指し示すその扉に手をかけた。

 そうだ、こう言う時は深呼吸。

 ひっひっふー、ひっひっふー。

『それ違う』
『コントみたいなのやめい』

 そ、そうだ。ラノベの主人公のモノマネしながらやれば……!演技は盾だって誰かが言ってた!

 私は今度こそ深く息を吸い、迷いを吐き出すように息を肺から押し出した。

「やる気になったようだね。」
人神がニヤつく。

 そう、私は主人公。魔王戦に挑むために魔王城へいざ乗り込まんとする、主人公。

『さっき自分で勇者でも主人公でもないって言ってなかったかー』
『シッ!私の気がそがれちゃうでしょ!』
その時点でゴリゴリとSAN値が削られていることをお気づきでないようで。

 …………もういいや。

 視界が制限されるフードはとって、瑠璃色の髪を曝け出す。この皮肉なほど綺麗に日光を反射する髪を後ろに払い、右腕を、伸ばす。

 片手のハンデがなんぼのもんじゃい!私は魔法少女!神殺しの美水!いける!よし行こう!

 勢いのまま、ドアを引いた。ここで人神のお茶目ミスでもあるのかと思いきや、難なく開く。

「開くんかい。」
「そりゃそうだよ。何のための扉なんだよ。」
捻くれた考えを正しつつ、扉の先へ踏み込んだ。人神もそれに続いて足を踏み出し、人神の最後の足が地についた瞬間に、扉は消滅した。

 ここが魔神の…………へ?

 首を回し、右に向けた時私の首は否応なく停止させられることとなった。

「アレが魔神の城、神の楼閣さ。」
「江戸時代の城じゃん。」
「和風というやつかな。」
「どっから知識得たのやら。石垣とか作るの大変なんじゃなかったっけ。」
「魔法製だから魔神が死ねば消える。」
ほへー、と適当な返事を携え、城に向かって足を踏み出す。

 にしても、アホみたいにでかいな……これ今から登るの?しかも罠だらけ。魔神なんだからもっと直接的にきてよ。なんで罠?

 そういうもんだと割り切り、城の周りを回るようにして入り口を探す。ん?

「言い忘れてたけど。」
人神の一言を聞き届ける前に、何か違和感を感じた。具体的に言うと、踏んだ。なんか踏んだ。

「城の外にも罠はある。ここはもう、魔神の領域内だ。」
「もっとそれ早く言えよおおおおおおおお!」
ドガシャアアアンッ!と、アニメのような効果音を鳴り響かせて地面が割れる。そこから剣が飛び出した。

 剣?なんで剣!?

 疑問に思う間もなく、その剣は次々に接合されてゆき、次に出てくる盾とも融合する。
 そして、膨大な魔力が渦巻いて地割れの修復とともに剣がプラチナのように硬化する。

 足も剣、胴体も頭も腕も剣。足は8本腕も8本。頭部と胸部?は盾で覆われ、とんでもない魔力が……

「なんでやねん!」
「さあ頑張りたまえ。余は介入できないから、其方1人で頑張れ。」
いつの間にか人神が遠く離れた位置で手を振っていた。

 せめて近くにいてよ。私死んだらどうするの?と言うかここで死んでちゃ城になんて入れないよねそうですよね!

 剣にラノスは有効じゃなさそう。それに、こういう類は核があるもの。怪しいのは頭部と胸部、2箇所。とりあえずやってみよう。

 私は物理攻撃のためのステッキを抜くと、走り出す。相手は多分、魔力で感知するタイプの敵。先輩の技は相性が悪い。
 あれは実際に瞬間移動するわけじゃなく、普通に歩いてる状態を誤認させるという技だ。

「なんでこんな、いきなり戦闘っ!」
罠に注意をしながら剣塊を軸に旋回する。地面にはなるべく触れたく無いので、空中歩行で。剣は私を追うように振り抜かれ、避けるのが精一杯。

 やっぱり魔力感知系のやつか……

 予想はしていたことだけど、厄介なものは厄介。
 でも所詮は金属。熱も電気も通しやすい。対応はできる。

「ファイボルト!」
空中歩行の足場を蹴り、加速してステッキを叩きつける。その威力を利用して半回転し、エアリスリップのエアリを下に叩きつける。

 まあ、知ってたけど。

 空中に浮かびながら、無傷を確認する。やばい、突き刺される。

 ギリギリのところで重力魔法を発動。引力で強引に引きつけ、木の側面に足をつける。

 こういう魔法も効きずらい相手のために、ガンマ線バーストとか意味分からないやつの他にも作ってはいるけど……

 ソレをポケットに突っ込んだ。実験もしたことがないから、どうなるか不安だ。

 とか考えてるうちにも剣塊は無慈悲にも剣を振るう。8本、後ろ以外の全方向から剣が飛び出し、私を捉えた。

「どう考えても強さおかしいでしょうよ!」
叫びながら、無理矢理対処する。1本目、ステッキを叩きつけて軌道を変え、後ろから来たやつを重力魔法でひしゃげさせる。ステッキの先端からプローターを取り出すと、爆発を引き起こす。そして軌道が逸れる。

 もちろん私も爆風に吹っ飛ばされる。

 けど、それは戦略だ。

 トロイを取り出し、標準を定める。時間的に1本。足は8本もあるしバランスが崩れることはない。腕を狙う。

「穿てッ!」
願いを込めて発射。流線型の弾丸は、高速で射出され剣の1つに着弾。そして破壊。

「っし!」
ガッツポーズをとる。しかし、私は吹っ飛んでる。

「あげぶっ!」
地面に尻餅をついた。

 トロイでしか破壊できないかぁ。やばくない?しかも剣の部分でギリギリ。盾の部分なんて貫けない。

 もう無理だ、そう思ってステッキをしまい、ポケットのブツを取り出した。

 プチ原子爆弾。確かプルトニウムが必要。それは核創造で原子を作った。それをぶち込む金属の箱も似たように作り、箱プルトニウムの塊少し開けてプルトニウムの塊、その隙間に火薬やらなんやら。それを接着、投げて爆破!魔力式の火薬だから遠隔操作可能!私自身はサークルで防御可能!

 強行理論で無理矢理実現させた夢の爆弾だ。

 私はそれを手に持った。

「おらぁ!現代科学まほう舐めんな!」
私の(ステータス上の)剛腕を発揮し、そいつを投げる。剣が切り裂こうとするけど、その前に起爆。

 そしてサンダーサークルサンダーサークルサンダーサークル!!

 外の景色が見えなくなるくらい、雷で覆う。
 もうそろかなー、ってところで解除し、外を見ると……

「おぅ……」
惨状が広がっていた。ご想像にお任せしよう。

 ま、ま?勝ちっちゃ勝ちだし?

 ボロボロの周囲を背景にし、私は満足そうに頷く。

「それ、禁止ね。」
「なんで!?」
遠くから人神に禁止令を出された。

———————————————————————

 また謎なのが出てきましたね。
 私が原子爆弾の理論なんて知るわけないので超適当です。大体こんなんかなーという憶測です。
 私と空さんは一心同体。私の知らないことは知りませんし、私の知ってることは知っています。そういうことです。
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