魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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15章 魔法少女と帝国活動記

486話 この世界チーター多すぎ問題

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「それでお前は、何が言いたい?」
レンは、冷たくそう言い放つ。

「ですから、協力しましょう。そう言いました。」
ヘラヘラとして返事を返す。やたらとウザい口調のこいつは、ネイファ・リンカ。

 本来なら神国の軍人。それも高官。レンを捜索して誰もいなくなったこの場所で、彼女は面白いものを見た顔でそう言った。

 話があると言われてからのこと。ネイファは、レンに相談を持ちかけた。

「お前は帝国側じゃなかったのか?」
「そんなわけないじゃないですか。」
レンは表情を強張らせた。それは目の前にいる少女が深い深い闇の目をしていたから。どこまでも悪に染まるつもりでいるような、酷く冷たい目。

「わたしは創滅神様をお救いしたい。創滅神様だけを見ているのですよ。」
「つまり、なんだ。」
「簡単です。」
にこりと笑った。

「帝国を潰します。」
「は?」
こいつ正気か?そんな言葉を初めに浮かべた。それに伴って表情も呆れ顔となる。

 とんだブーメランだが。

「わたしが何も知らないとでもお思いなんでしょう、あの皇帝と教皇のクソどもは。一切創滅神様のことを考えてないんですよ。」
ガンっ!気づかれてしまうほどの音で壁を殴った。パラパラと砕けた石が床に落ちる。

 バレたらどうする、そんな視線を送った。

「これで気づけたら一般兵なんてやってねぇんですよ。」
口調を荒く、開かれた目で返す。

「教皇は金のためにやってるんです。皇帝が世界を収め、世界中に教会を設立して……それ帝国の金で行われるらしいですねえ。そして教会に落とされる金。金金。ほんとう、死んで欲しいですよ。」
キャスケットを深く被り、いひひ、と不気味な笑みをこぼす。

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!」
呪詛を吐き尽くすと、キャスケットを少しだけ上げて笑った。

「すみません、取り乱してしまって。」
「いや……」
「それで、折りいってお話があります。」
ネイファはテクテクとレンの後ろまで歩く。

「貴方には帝国を、滅ぼしていただきましょう。」
「……そいつは、ありがたい話だな。」
「貴方が死ぬのは神も本望ではないですし、わたしとしても利害が一致する。なので、ここは一つ協力しましょう!悪い話ではないと思うわけです。」
いつもの調子で悪い笑みをしたネイファを相手に、さっきの姿を見てしまったレンは、断ることができなかった。

 そもそも、今ここで断りでもすれば殺される。実験動物という話はあり得るという話であって、しかも死んでいてもサンプルは取れる。

「どんな裏がある?どんな打算がある?それを教えろ。」
強気に、語気を強めて睨んだ。

 頼まれている側だ。聞く権利くらいはあるだろう。

「へへぇ。それを聞いて、どうするというので?」
「判断材料だ。」
「断られれば殺しますけど、それでも良いということですね了解です。」
敬礼した。こんな茶目っ気のあるクソ野郎が自身を殺せる力を持っているなんて、なんとも認めたくない話だ。

「世の中にはですね、知らない方がいいことというのは星の数ほどあるんですよお。それを知っていてもらわねば、ね。」
「……分かった。」
これが精一杯の虚勢。ギロリと、使えるものを全て使って、雰囲気、タイミング、呼吸。まるで役者のように言い放つ。

「なら、お前も俺を詮索すんな。刺し違えても殺してやるぞ。」
「それはそれは、怖いですねえ。縮み上がりそうです。」
ゲラゲラ笑ってキャスケットの鍔を触った。

「さて、なら計画をお話ししなければなりませんな。」
「ああ。だが、こんなところで話をするほど馬鹿じゃねぇだろ。」
「ええ。ですので。」
たん。靴を鳴らすと、影が湧いて出た。

「飲み込め。」
「おい、これは……」
影はレンを飲み込み、やがて意識は消え失せた。


「ほら、早く起きてください。」
意識のないレンに、ネイファは触れようとした。

 元々、ネイファには帝国も神国も関係なかった。どちらも紛い物だと思っていたし、どうでもいいからそこにいた。
 でも、事情は変わった。

 ネイファは騙されていた。
 甘言に呑まれた。生涯の恥だ。世界を創滅神と共に。その言葉に食らいついてしまった。
 今は、創滅神を侮辱したそのクソどもを排除することが第一目的。

 これは戦争ではない。殺戮だ。

「どうしたそんな思案顔で。」
「……いやはや、貴方は本当に影が薄い。」
「褒め言葉として受け取っておく。」
「気持ち悪いですから捨てておいてください。」
特殊な会話をしつつ、ネイファは立ち上がる。相棒キャスケットは頭にある。これは、創滅神様からの、初めての頂き物なのだ。

「ここはどこだ?」
「いつかのために掘った帝国府の地下です。」
「俺は何日こうしている。」
「それお答えしかねますが、貴方が捕縛され1ヶ月ほどは経っておりますねえ。お寝坊さんはいけません。」
ニヤついた表情で煽る。こうしていないと死ぬ病気にでもかかってんのか、とツッコみたい気持ちを抑え、レンは居住まいを整えた。

「で、どうする。作戦がどうとか言ってたよな。」
「ええ。」
「具体的には?」
「協力者を増やします。」
簡単に言ってのけた。その無鉄砲な発言に、レンは疑問を抱く。

「誰が協力するんだ?好き好んでこんなとこまで堕ちてくる奴がいるとでも?」
「いますよ、もうすぐそこに。」
「はぁ?」
「忘れました?わたしたちの目的は帝国の破壊。つまり、その目指す方向が同じであれば問題などないわけなのですよ。」
小さな子供に倫理を説くように、懇切丁寧に語り始める。

「帝国には、わたしたち2人では悲しいことに到底敵いっこありません。それには、世界を変革するが必要。」
「それを手に入れればいいんじゃねえのか?」
「簡単に言いますねえ。でもそれは、言わば運命。それこそ創滅神様すら観測できぬこの世の運命に愛された人間でなければならない。」
唐突にキャスケット帽子を外すと、ネイファはくるりと回転した。

「それはひかりじゃあだめ。わたしのような、そこのそこにうまる、かげ。」
「…………………………」
その一挙手一投足に何か意味があるのではないかと、レンは目を鋭くして耳を開く。

「ちなみに今の演出に意味はありません。」
キャスケットを被り直し、着席するネイファに殺意が湧いた。

「話は変わりますが、帝国府にはいくつか組織があり、そのうちの上位に『イグニス』という諜報防諜二刀流の組織があるのですよ。」
「それがどうした?」
「そこにはとある少女、ネインアーレという子がいる。彼女は変革と接近し、無事に生まれ変わったのだよ。」
うむうむと頷いた。

「これはいい傾向なんですよ?なんせ、それは帝国側に恨みを持てるようになった。恨みを持つべき人間が、最強の力を持ちながらにして帝国に反旗を翻せるようになった。」
「……話が見えないぞ?」
「そのまま聞いておけばいいんですよ。」
レンのことは歯牙にもかけずに語りを続ける。本当に自分勝手だ。

「だから用済みになったあの子を連れ込もうと思ったけど、地味に強くて逃げられちったんさ。」
舌をぺろっと出しててへっと口に出す。レンは手に持ったファリスを頭を叩き割る勢いで振り下ろした。

 それはキャスケットにあたり、金属でも叩いたような音を響かせて反発した。本当に化け物だと、しみじみと痛感する。

「お前から逃げられるほどの奴がいるのか?」
「気になります?貴方は捕まっちゃいましたもんね?」
「殺すぞ。」
「ほうほう、ヤル気ですかな?……まあわたしはそんな気ありませんけど。……質問にお答えしますと、偶然が大きいと思いますがね。実力は、それなりにありますよ。」
「俺たちは、そいつらを仲間に引き入れると?」
「仲間ではないですよ。協力者。達成すれば全員敵に変身します。」
どうしますかな、とレンに問うた。

「怖いのでしたらやめますか?」
「やめねえよ。」
「なら決まりですね。」
手をポンと叩いて笑った。今すぐもうすぐの精神で、ネイファは影を生み出す。

「さて行きましょう。わたしのために、創滅神様のために。」
「いい加減予告くらいしろ。」
文句を言いながらも、やはり影に抗うことができず飲み込まれていく。

 レンはもう、無心だった。

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 最近、1日の中で起床時が1番疲れてるのはなんででしょう。安眠と快眠が欲しいです。どこぞの魔王城でもぐっすりなお姫様にコツでも聴きたい気分です。
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