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13章 魔法少女と異世界紛争

410話 魔法少女と数的不利

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「ルーア!今何体くらい?」
「分からん!燃やして燃やしてもバカのように湧いてくる!初めは500いるかどうかであったが……万は越しておるの。」
「万!?」
私が絶叫すると、ルーアは額に手を当て息を吐く。

「喚いておってもどうにもならん。数を減らすことを最優先に考えて……っ、数的不利が過ぎるのぅ……」
どこもかしこも魔物だらけ。逃げる隙間もなく、人気もない。重奏達を探すことすらできず、私達は否応なしに魔物の処理に追われた。

 いくらなんでも多すぎる!分裂なんて非現実なことは起きないだろうし、何か裏があるはず……
 そもそも異世界自体非現実だよ!?

『セルフツッコミありがとう。でも今は処理が先!倒しても倒しても湧き出て来るんだ、一旦巨大な一撃を!』
『ファイボルトセット完了!巨大化開始』
『砲撃展開』
『燃料よぉーい!』
私達はテキパキ動く。私がその辺の魔物を対処してる間に、皆んなは次の策を打つ。

「ルーア!一旦時間を稼ぐから、力蓄えて一撃を!このままじゃジリ貧!」
「分かった、任せる!」
ルーアは私の開けた道に後退し、あそこだけを圧力操作で魔物を寄れなくした。脳の容量を超して死にそうだけど、今やらずいつやる、だ。

 私1人でルーアを守って私も守る。重労働すぎるけど、これをやらなきゃ死ぬ!

 死ぬのは嫌だ。あんな奴らに嵌められて死ぬなんて、負け犬になんてならない!

「龍化!【精霊解放】!擬似神格化ぁ!」
魔力が巡り、羽が生える。最後のは咄嗟の思いつきというか、地龍能力の1つに眠ってた。地龍の使った、人型になるアレだ。

 使用者によって倍率が変わる。さて、私はどうなるのかな?

 魔法少女服が変形し、ロボスーツのような小型の、魔法少女服だった何かに包まれる。ちなみに羽もついてる。

 魔法少女の原型がどんどんなくなってる気がする。うん。色がなんとも可愛らしいのを除いて。

 これ、服がロボスーツに変形してパイロットが私って認識でオッケー?
 まぁ、こんな時ぐらい私に頼らず1人でやるかな。

【魔法武装、全方位レーザー!】
名前は即席だ。ただ魔力を込め、ステッキ(腕)を伸ばして魔力光線を放ってるだけ。

【お、おぉ……我ながら咄嗟の行動力だけは一級品。】
感心げに呟く私。そのレーザは魔物を焼き貫きながら思うがままに左右に揺れてゆく。

 面白いね。動き回るはずの能力で動かずに倒すって。俺つえーしてる感がたまんない。
 こんなん毎回やってたら読者から批判されそうだけど。

 私は読者に好かれるタイプの人間になろうと決めてるんだ。

 ツッコミ不在の中、その妄言にツッコむ私はいなかっ……

『そもそも読者って誰だ!』
【って、私ぃ!?】
直接脳に語りかけられる感覚、間違えるはずもない。

『完成したよ、足止め』
ロボスーツ越しに景色を見る。上空に、巨大な炎の塊が太陽のように君臨しているのが視界に映り、仰天する。

 これを私が……

 驚きと共に感嘆する。

『燃焼すると爆発的な高熱と威力を伴う破裂をする鉱石を変化させて作った。感謝してね』
言うと同時に爆発し、魔物が現世サヨナラ来世オハヨウオヤスミナサイしている光景だった。

『何言ってるか分からない』
『要するに~、魔物がやられて分裂して、またやられちゃった~って感じ!』

 そう正解!Dが私的に1番私っぽいね。
 ……それ、私が子供っぽいって解釈だけどまぁ、そう言う偶然もあるかな。うん、きっとそう。

 現実逃避しながら、大爆発を連発していく。

【よーし、第2撃も発射!】
なくなった左腕の代わりにステッキが生えており、先ほど撃った光線もこれだ。誰にも見えないからとニヤリと笑みを湛えると、生き残った右手から雷を発生させる。

【私の高火力をとくと味わえ~!】

「ツッコミが追いつかんが……とにかく頑張るのじゃ!」
ルーアの声援もあり、爆撃と雷撃と砲撃の3撃を撒き散らす。もはや識別すらできない魔物達の数が一瞬だけ少なくなる。

「よくやった、後は我が!」
【任せたよ。龍神の本当の力、見せてもらうよ!】
「今だけはノってやろう!」
ルーアは少しだけ考えるそぶりをして、最後にこっちを向いてきた。名前を考えろと言うことだろうか。

 よしきた。私に名付けられない魔法などない!(ネーミングセンスは置いておいて)

 ルーアは結界の天井を光らせた。龍法陣から高密度の魔法の雨が……

【オールレンジレインっ!】
スーツの中でくわっと目を見開き、そう叫んだ。これがこの魔法の名前だ。

 って、これ私もダメージ喰らうやつ……!

 一方ルーアに視線を向けると、盾のようなものを頭上に作り余裕そうな表情で笑っていた。

【性格悪いよルーア!】
神速で殴り込むようにルーアに接近すると、「暑苦しいのぅ……」と目を細めた。

「これでいくらか時間稼ぎはできるの。……これから、どうする?」
【この場は任せて。……一応私にも奥の手があるからね。】
「奥の手?まぁよいか。我は恵理を……」
ズドォン!と巨大な地響きがルーアの声を遮った。

「クインテット……迷い、砕きて弾き奏でん。」
旋風が地面を抉り、魔物が守るようにあたりに配置される。雨は肉壁で防がれ、声の主は私達を睥睨する。

「ボスの邪魔はさせん。」

—————————

 神扇ユースティティアを振るう恵理の目の前にいるのは黒炎の塊、エレボス。

「案山子に守られるなんて、プライドはないのね。」
一閃ごとに爆音を轟かせる恵理は軽口を吐く。神格化しただけあり、歯応えがある。

「勝手に吠えればいい。吠えた分の代償はきっちり払ってもらうが。」
闇が睨みつける。怯みそうになるのを抑え、闇の塊を吹き飛ばす。

「正義の炎に焼き貫かれろ。暗黒風情!」
「闇に呑まれろ、人間風情。」
闇の塊だったそれは、攻撃も防御もやめ恵理を包み込まんと己を広げる。それを受け入れるように地を蹴り、両手に握った神扇にて引き裂いた。その直後、バッと開くと背後に仰いだ。

「神風。」
黒炎の傷口がみるみるうちに広がっていく。闇に光が差されている。

「悪を消すためだけの正義の風。私はそんな生き方できてないのだけど、この時ぐらいは役立ててあげましょう。」
《女王》としての瞳を宿し、先にいるナギアを睥睨する。

「残念な話だが、まだ黒炎はここにある。たっぷりと味わっていけ。」
そう言うと、円状に炎上する。黒炎のフィールドが出来上がる。

「我は崩壊を望む。」
ナギアが宣告するとともに、天井が崩れ落ちた。神扇を開き、消滅させる。

「我は斬撃を望む。」
斬撃が生まれる。目視で捌くが躱しきれず、少し血が垂れる。

「我は爆撃を望む。」

 理不尽が、恵理を襲った。

———————————————————————

 早速ですが、カクヨムで私が立案執筆投稿約20~30分の超短文ラブコメを投稿しました。(数日前)
「仕方ねぇ見てやるか」というお優しい方、時間にお暇がありましたらぜひ目を通すくらいしてやってください。

 一応ストーリーは繋がっておりますが、どこから見てもラブでコメなシーンがお届けできればと考えております。
 ……しかしです、しかしですが……またいつか投稿されるはずの『姉が可愛いのは創作だけだ』という回は、その……ラブでコメらないのです。申し訳ないです。
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