魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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13章 魔法少女と異世界紛争

398話 魔法少女は行方を探す

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 龍神ルーアは、瞑目していた。
 一体これはどういう状況か。

 真下に、あからさまにやばいオーラを纏った(龍神にのみ存在する龍眼にて観察した)オールバックの男と、数百年前に見たような瑠璃色の髪をした少女が対立していた。

「力は五分五分……いや、扱えていないだけで瑠璃少女の方がだいぶ強いかの?弱ければ、龍神様が負けるはずがない。」
ふわふわと、気付かれないように戦場を眺めていた。

 本来は龍の救出及び被害の拡大を防ぐために赴いたのだが、数百年ぶりの再開人。会って行きたいという思い反面、若干の忌避を感じる。

 いくら龍神本人の願いとは言え、殺したのには違いない。
 何も感じないほど薄情なつもりはない。

「ガンマ線、バーストぉっ!」
少女の叫び声が聞こえてきた。

 その直後、そのエネルギー量にルーアが目を見開いた。一瞬、ほんの一瞬ではあったが、星レベルのエネルギーを感じた。

「ほぉう……いつの間にここまで。我の目の届かぬうちにとは、さすがは転生者と言ったところかの。」
と、そこで相対していた男は口を開いたかと思いきや、瞬時に姿をくらませた。

「あれは……しかしまぁなかなかのダメージを負わせられたのではないか?」
ルーアはそのタイミングで地に降りようとした。が、何か呟きながら少女はどこかに歩いて行ってしまった。

「あれ?これ、行ってもいいかの?」
コミュ障だった。

 それはそうだ。あれからずっと、定期神集会を行うためだけに労力を費やしていた。四神以外との会話経験などないに等しい。

「これ、どうすれば良い……?我、今世紀最大の困惑じゃ……」
どこに今世紀使ってるんだよと思わなくもないが、実際にそれだけ生きているのだから笑えない。

 ルーアは、神らしくもなくうじうじと空中に止まっていた。

—————————

 ———一方その頃魔法少女は、そんなこととはつゆ知らず身を低くしていた———

「あれだけの騎士を私1人で相手する大変さ、空には分からないでしょうね。」
「ごめんごめんって、だからそんなめっちゃ昔の議員さんのモノマネしないで……」
ベーコンにでもなりそうな勢いでカリカリする恵理を宥め、平謝りを繰り返す。

 あれからぼちぼち王都に帰っていたら、途中で恵理に遭遇した。着物を土だらけにし、パクトを握りしめて走っていた。そこを私が救出した次第だ。

「でも、まぁ……かっこよかったよ?」
「鉄扇で殴られるか鉄扇で刻まれるか、空はどっちがお好み?」
「スミマセン。」
おふざけは置いといて、私は私の出来事を語る。

「へぇ。トリオね。ソロ、トリオ、セクステット、オクッテトと。確か重奏の名前よね。人数は最低8人として、そこは変わりなしね。」
「トリオはやばいくらい強かった。さっきも、倒せたかどうか分からないし。」
「それは仕方ないでしょう。セクステットとやらも討ち取れたかは定かじゃないんだし、今更よ今更。」
「ま、あの人はゲームのスキルだから完封できるけど。」
恵理の鉄扇がバキバキに物理攻撃なので、どうとでもなるだろうと笑って言う。

 あのスキル、厄介には厄介だけどゴリ押しが有効打だから。あのゲームではMPが尽きやすい魔法職でゴリ押しはキツかったけど、ここはゲームじゃなくて異世界。十分いける相手だよ。

「そんなことより、今大事なのはカラだ。」
「体?」
「カラ、だ。……そこに多分、奴らもいる。黒服も、重奏シリーズも。」
勝手にシリーズ化しておいたけど、怒る相手は今不在なのでこれで決定と。

「そこで、闇雲に探してもどうにもならないと思った私は恵理のリンクスタートを借りることしにた。魔力は大体覚えてる。」
「そこで私の出番というわけね。」
「そう、人探しのプロフェッショナル《女王》恵理様の。」
「ん?」
「いや、何も。」
百合乃を真似て、少し練習して上手くなった口笛を披露しつつ、カモンカモンと急かす。ため息を吐く恵理は、その手を私の頭に乗っけて口にする。

「リンクスタート。」
脳内に情報が流れ込んでくる。私1人なら神経が焼き切れる情報量も、5人ならなんとでもなる。

 リンクスタートってほとんど禁術レベルだと思うんだよね、私。

『そりゃ、視覚情報2倍なんだし。しかも恵理の場合魔力眼つきときた』

「……っ、やっぱり受け止めるまでが結構……くる。」
「ゆっくりやるなら大丈夫でも、この量を一気にだからね。これは、一応攻撃スキルに入るし。」
「入るの……?」
頭を抱えながら、安定し始めたところで目を開ける。視界が増えたような錯覚に陥り、うまく制御しつつ空中歩行により空高く舞い上がる。

 カラの魔力カラの魔力…………おぇ……こんなのを毎日見てたら酔いそう。
 魔力反応多すぎ……

 と、向きを変えてみた先に……膨大な魔力?

「「……なんかある。」」
声が重なり、そちらを注視してみる。

 あ、なんか目があったような。

 そう思った途端に猛スピードで近づいてくる、なんていう怪異的な行動には出なかった。現実にそんなのはありえるはずがn

「久しぶりじゃの、魔法少女よ。」
「ふんぬらばぁ?!」
そこにいたのは、エロ……じゃなくて露出度の少し多い(霊神を彷彿とさせる)服、支点力点作用点的に脳が揺れそうな立派な角や、大きな翼を持つ少女……

 この人は……!

「誰だっけ。」
「忘れてるんじゃないわよ。空が知らなかったら私はもっと知らない。」
「仕方ないじゃん、覚えてないんだもん。」
「人の顔くらい覚えたらどうなの?」
「覚えてないってことは印象薄かったんじゃない?」
「記憶力どうなってんの?」

「あーもう!やいやいとうるさいのぉ、人間!少しは話を聞いたらどうじゃ?」

「のじゃロリ?」
「馬鹿にしていることはよく分かった。」
うんうんと頷き、ビシッと指を差した。

「我はルーア。龍神ルー様の跡を継ぐ現龍神である!」
「ルーア……………まさか、あの時の龍?」
手のひらにポンと拳を当て、そうだそうだと思い出す。

 百合乃がお世話になったよね。
 最後は私が止めた記憶があるけど。

「何百年ぶりかの。」
「そっちにとっては100年単位だけど、私にとってはほんの1、2ヶ月前のことなんだけどね。」
「なん、じゃと?」
驚きのあまり固まるルーア。

「あの時はただ過去に送られただけだから……会うならその時って前行った気がするけど。」
「忙しすぎてよく覚えておらんの。」
両手の平を上に向け、首を傾げた。

「で、何しにきたの久しぶりの龍神さん。」
「その言い方は何か気に食わんからルーアで良いぞ。そこの娘は龍神と呼ぶのだ。」
「神として対応の差はどうかと思うわ。」
細かいことは気にするな、とルーアは意味を湛えてそう言った。

「この事件、主らも動いているようだが……我も、どうにかしたいと思っておるのだ。」
「なんで?」
「龍も操られているのだ。こうなったら、動くしかないかの。と。」
「つまり、手伝ってくれるの?」
「そう言うことになるの。人間と神の共同作業というやつかのぉ。」
そう言うと、決めた顔でルーアが言う。

「我が主の人探しを手伝ってやろう。」

———————————————————————

 今回ちょっと短めですね。
 どう頑張っても今の空たちではカラを探すのは不可能に近かったのでルーアに頼らせていただきました。
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