魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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12章 魔法少女と学園生活

383話 魔法少女は休日を過ごす

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「【精霊展開】龍化、魔力超化、空力……」
誰もいない森の奥地も奥地。寮に指輪を1つ置いてやってきていた。私の使える全てを注ぎ込み、魔力球ははち切れそうになっている。さらに原素を投入。

 そしてすかさずそれに物質変化。中の物質が変化し瞬間にうん万倍と増幅させたガンマ線に変化させるようにした。一直線にしか動かないようにしてあるから安心安全だ。
 限界まで力を込めたけど、それでも超簡易超低威力版。

「よし、これを【擬似惑星】と名付けよう。」
もはや兵器入りしても何の問題もない小型レーザー(?)が完成した。もちろん、死んでもOKならそれこそ星が破壊されるレベルの攻撃はできると思う。

 やらないけどね。

「原素魔力脈更に重力で圧迫と、まぁ生物が住めないだけで惑星って言ってもいいレベルなんじゃない?」
といいつつ、空に投げ込んだ。

「分解!ガンマ線バースト(仮)!」
と、言った瞬間なんとも言えぬ破裂音。ただ鼓膜が破れそうな程明確ではあった。眩い光に強制的に目を閉じさせられ、ものすごいエネルギーを肌で感じる。けど、それは1秒あるかないかの短時間だった。

 ガンマ線バースト、これお蔵入りかな……威力高すぎる自分も麻痺する機動力皆無。決死の覚悟で命を賭してやるってなれば別だけど、これは無理。

「…………………………再生創々。」
反応の通り、見るに耐えない有様になった自然を眺めて呟いた。これは絶対使っちゃいけないなと思いつつも、体と相談して2つほど生成した。

 まぁ、考え自体は悪くない。爆発のエネルギーを利用するってところは。まぁ、また何か思いついたら考えよ。

 山程度なら軽く消滅させられることが分かった私は、今頃カラが自然の悲鳴を聞いてるだろうと予想して笑いながら転移した。サイコパスだ。


 景色が一変した。焼け野原と化しなんとか再生された森から一変、なんの変哲もない寮の1室だ。
 魔法少女服から魔導着(制服がそれっぽい見た目だからそう呼んでる)に袖を通しボタンを止めた。スカートも履き、ベルトを締めると最後にケープとブローチ。

「休日出勤……いや、遊びの誘いを出勤って言っちゃダメか……」
ガンマ線バーストに持ってかれた大量の魔力の喪失感に頭を抱えつつも、食堂で水を飲み干し胃に流す。

 もう9時30分。この際楽しんでやろうとお金を数える。

 そういえば商業ギルドのギルドカードにお金貯められてるんだっけ。
 まぁ、いざとなれば引き出しに行けばいっか。

 そう思うと残り30分が異様に遠く感じた。物事大抵は気持ちの持ちようということがよく分かる。

「ラノスの射撃練習でもするかな?」
ステッキから取り出した黒塗りの銃身を触りながら、解放されている校舎前の庭に移動した。

 こんな時まで戦闘の練習とか、私もだいぶこの世界に侵食されてるよね。絶対日本にいたらこんな考え浮かばないし。
 「30分?アニメ1話分ね」っていう考えが通常だから。

 的は……ギルに的持たせれば実戦ぽいかな。

 核石弾ではなく石弾(それでも当たりどころによれば重症になりうる)を詰めてファイボルトのファイの部分だけ使う。

「属性付与の試射もまだだったよね。」
右腕を上空に伸ばし、引き金を引くことで開始の合図をした。

『私達ー、仕事だぞー』
『私がやろうではないか』
『楽しそー』
ギルが四方八方動いていく。それを私1人の気配察知で感じる。この距離なら気配察知の方が効果が高い。

 ちょこまかちょこまか鬱陶しい動きしてる。ってことは多分私Aあたりの操作かな。
 視線をギルの方向に向けた瞬間、私は逆方向に回って照準を合わせ逃げようとするそれに3発撃った。

「1発的中……しかも端。球が勿体無い。まだまだ空間伸縮はやめられないね。」
と、言って空間を縮めた。瞬間移動と見紛う速度で縮められた空間をまっすぐ飛び、的の中心を射抜いた。

『なにチート使ってんの』
『ズルだ!卑怯だぞ!』
『だぞ~!』
私達がブーイングを起こす。

 はっはっは!私の能力を私が使ってなにが悪いというのか。

 心で高笑いする。そんな私を見て私Bは、

『自分にしか威張れない私……悲しいね』

 と哀れみを含んだ声で言ってきた。

「先生、なにをしてらっしゃいますの?」
と、突然の声にビビり急方向転換させたラノスの銃口をその敵へと向ける。

「あ。」
「あ?」
ツインドリルが目に入る。その次に可愛い顔と綺麗な体。リーディだった。

「今見たものは全て記憶から消去することをお勧めするよ。じゃないと悪魔のような魔法少女が襲いにくるから。」
「なにをしてらしたのですか?」
「魔法の練習ダヨ。」
嘘はついてない。逆に怪しく見えるほど真っ直ぐ視線を向け、こっそりラノスを収納、ついでにギルも。

 ファイボルトは使ってたしね。間違いは言ってないよ、間違いは。

「リーデリア様とのショッピングがあるというのに……」
「自由奔放な方でらっしいますのね。」
取り巻きがなんて人なのという目をしていた。バカにするような目ではなく、心底不思議そうに、戸惑いが混じっていた。

「では、行きますわよ?」
「「えぇ。」」
取り巻きは姿勢を正し、それはもう息のあったセリフでリーディを引き立てた。

「え、何しに行くの?ショッピングとは!?」
私はというと、どっからどう見ても先生には見えない立ち振る舞いでその後ろを追いかけていった。

 やっぱり休日出勤は……これ以上はあの、『取り巻きになるべくしてなった』ような2人に殺されそうだからやめよ。


 外に出たら、何故か馬車が待ち構えていた。

「お乗りくださいまし。これから、ドレスを仕立てますわよ。わたくしが直々に選んで差し上げますわ。」
「「恐悦至極にございます。」」
なんかの宗教かと思ったのは秘密だ。頬を綻ばせてる姿を横目に見ながら、馬車に乗り込んだ。

「ところで、なんでドレス?」
「学園では、年度の初めと終わりに上級生と下級生の顔合わせの場として学園主催のパーティーがありますの。」
「そこで新しく仕立てるのですよ。見る人によれば、ドレスや踊り1つで見抜かれてしまいます。」
「ドレスは冒険者で言うところの装備品です。」
補足するように脇の2人が入り込んできた。褒めて褒めてと飼い犬のように笑っている。

「もちろん、先生も出席しますわ。2つのパーティーは強制参加ですもの。」
「………………ちょっと学園やめてくる。」
馬車の扉を掴もうとすると、ベストオブ取り巻きが壁になる。

「リーデリア様のご配慮を足蹴りにするおつもりですか?」
「でしたら、容赦しませんよ?」

「……スミマセン。」
オンとオフが激しいタイプだ。それだけは言っておこう。


 無理矢理引きづられてやってきたのは豪華絢爛で煌びやかな服な。ショーウィンドーみたいなところにはそこそこの家すら借りれそう。

「えー、こんな値段で売れんの……?」
0を数えながら眉を顰めた。

「ですわね。」
「そこ認めちゃうの?」
「これは魅せですわ。この店の技術力を見せるものですが、さすがにここの品を買うような人間はいませんの。」
そのガラス張りを無視し扉に手を伸ばした。

「見ていても仕方ありませんわ。人に合わせず作られた品を着たとて、ドレスに着られるだけですわ。」
「リーデリア様を待たせないことです。」
「邪魔にだけはならないよう。」

「これ、なんで私呼ばれたの?」
果てしない疎外感の中、金魚のフンのようについていく。これが先生とか世も末だなと感じた。

 中に入ると、更に疎外感を覚えた。ドレスの生地やら装飾品、ティアラのような高級そうなものまでパーティー用品が大量にあった。見分けつかないやつもある。
 それを柔らかな光で照らしている。見た目だけで高そうだ。

「黒や白などは控えるべきですわ。生地が肌に合うか、色が奇抜すぎないか、邪魔にならないか。気にすることは色々ございますわ。」
「じゃあ私はここで待って……」
「先生も買うのですよ?」
「あ、はい。」
いくら挑戦しても見逃してはもらえないようだった。諦念を滲ませ、小さく言葉を紡ぐと……私は着せ替え人形となって、体にピッタリと沿うような紺碧のドレスに淡いベールのような肩掛けを着させられた。

「我ながらいいチョイスですわね。」
そう言って微笑んだ。私の目は死んで3日経った魚みたいだった。

 《魔法少女は、紺碧のドレスを手に入れた!》

———————————————————————

 魔法少女はパーティーに出るようです。だからどうというわけではないですが、まぁドレスを買わされたというだけの話です。

 パーティーを開けるかどうかは分かりませんけど。空がいるということはそういうことです。
 あと最後にひとつ、ここまで厨二ワードがたくさんでてきたというのに、アカシックレコードが出てきてないってどういうことですか!?
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