魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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12章 魔法少女と学園生活

380話 魔法少女は1週目

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「冒険者と一口に言っても、パーティーを組んでる人、臨時で組んでる人、個人でやってる人とか、色々いる。私は後者かな。」
魔導黒板に魔力を流していく。ただいま、5日目の昼前。昼食の前だ。

「依頼もその分多岐に渡り、特に王都の冒険者ギルドは細々と分けられてる。さすが国の中心。都心は半端じゃない。」
なんて言いながら、時計を確認する。授業時間は大丈夫かなではなく早く終われ、という意味だ。

 5日間授業に触れてきて分かった。
 これ、冬休みまで続けろとか不可能じゃない?

 いや、週に3回という比較的優しい部類の時間割だけども、それでも大変なもんは大変なんじゃい!

 1週間目にして、もう心が折れそうだった。

「先生。先生の1番印象に残った依頼とかあるんでしょうか?」
「確かにー、ソラ先生強すぎるから苦戦した依頼とか?」
生徒達が騒ぎ始め、軽く宥める。そうして少し思案し、依頼に関しては苦戦は少なかったことに気づいた。

 それはそうと、この学園の生徒っていやに意欲的だね。日本ではいろんな感情捨ててきたんかって人か、成績狙いの人以外手なんて挙げなかったよ。
 まぁ、そのおかげでお通夜は避けられたけど。

 厳しい先生の授業は決まってお通夜なのを思い出すと……あんなんじゃなくてよかったと思う。

「……依頼ねぇ、依頼なら、領主から言われたエンヴェルでの依頼は結構キツかったかな。」

「冒険者ってそういう依頼もあるんですね。」
「魔物倒すだけの脳筋集団と思ってたな。」

「依頼は、薬草採取でも物によればS以上もありえるし、調査依頼ももちろんある。この依頼、私実は死にそうになったんだよね。」
ハハッと笑っていると、ちょうど鐘が鳴る。ようやく終わったと安堵し、魔導黒板の魔力を切った。

「「「え、終わり!?」」」
「ん?」
鐘と共に教室を一旦出ようとする私に、生徒達が声をかけてきた。

「鐘鳴ったし。」
「いやいやいや、死にかけたあはは、じゃないんですよ先生。続き気になりますよ。」
「先生が死にかけたと聞いて。攻略法を求める。」
「いや攻略法て。」
教室内に視線を送ると、リーディが微笑んだ。口を少し動かしてたけど、それを読み取る技術はない。

「先生の話……新鮮で好き。聞きたい。」
女子生徒6割男子生徒4割。グイグイと来られる。

 やめっ、やめ……っろ!暑苦しい!

『そういえば、授業以外で生徒と話すなんて初めてじゃない?リーディ抜いて』
『確かに~』
『余計な接触は避けているだけだ』

 うるさいっ!脱出手段考えて!

『『『『…………………』』』』

 いや、急に黙るのやめようか。

「話すっ、話すからちょっと離れて!」
そして私はこの昼休み中、話を絞りつくように聞かれた。途中、リーディのチームに入れてもらい食事を取り、脱力しながら箸に手を伸ばした。

 昼休みにここで過ごすのも初めてかな、案外、教室も悪くn

「ところで、お話の続きを語ってくださるんですよね?気になりますわ。」
「え?」
「ですわよね?」
「「えぇ、もちろん!」」
キラキラとした目で見つめる取り巻き。誰をと聞かれればそれは金髪ドリルとしか言いようがない。

「リーディも……そっち側……!」
くっ!と唇を噛んで壁を叩く。ちょっと凹んだけど、再生するから問題ない。

「……聞きました?リーデリア様を愛称で……?」
「一体、お2人の仲は……?」

「なんでもないから。」
「酷いですわ。互いにシあった仲というのに。」
「「キャーー!」」
黄色い声援。しかし、それは殺、しあったというのが適切だ。一応私は手加減してたけど。

「さっきみんなに話した以上のことは話せないし話すことがない。だから次の授業の準備でもしてなさい。」
少しは先生らしくと誤魔化し半分で机をバンバンと叩き、私は立ち上がって後ろに回る。少しは頬を膨らませる令嬢に不覚にも可愛いと思ってしまった。


「今では、王都には全国から多くの作物や道具が運び込まれていますが、これは交通手段が通常の馬車から魔力式に変化したことによる恩恵であり、この年代から多くのものが魔力性に変わってきています。これを魔力の一般化と言い———」
授業が始まり、参考にと無理矢理この場に居させられてる私も一緒に勉強をすることにした。授業料もタダというわけだ。

 本来、お金と能力で入学して努力に努力を重ねてここまでくるはずだろうけど、私はなにもせずとも受けられると。

 ちょっと気分が良くなり、身が入る。

 魔力の普及……この辺が転換点かな?産業革命みたいなものだと思う。分からないけど。

「この辺りから魔導具と呼ばれる品が生まれ始め、初めて魔導具の発明を完成させたと言われる人物が、「イプシード」という人物です。では、なにを発明したか、これは前年度に学習したはずですが、覚えている人。」
ざざざっと挙手者が現れる。意欲的でいいことだ。その中私だけ手を下げてる事実に羞恥がないわけではないけど、分からないものは仕方ない。

 そもそも、これなんの授業?歴史?日本史ならぬ王都史、普通のこと言ってるだけじゃんこれ。

「魔力を貯蔵する箱です。これは、現在王都の北部に位置する研究館に実物が展示され、王城では実際に改良品となるものを使用し緊急時に光、水、火など必要な要素をカバーできるようになっています。」
「大正解です。拍手を。」
立ったボクっ娘は、少し照れた様子で拍手を受け止める。

 うん、ナイス可愛さ。
 まぁそれはいいけど、授業ってこんな風に進めるんだよね、やっぱり。私みたいに適当じゃなくて。

 あぁぁぁぁ!無理だ。授業考えるなんて無理だ!冬休みまでは勤めろと?授業内容思いつかないわ!

 それでも授業はつつがなく進行していく。無慈悲だ。

「この頃、王都近辺では最近も問題となっている魔力活性化が起こり、小規模ではあるものの飢饉が発生しました。これを受けて、早急に馬車路を開拓する方針に移行し、より早く確実に品を届けられるようになりました。」
魔導黒板にはびっしりと文字が埋まっていく。私なんてちょろっとしか書かないのに、この段階ですら倍以上は余裕である。まだまだ時間はあるのに、だ。

 これ、ノート書くの遅い人殺しの先生だ。私の数学の先生これだったんだよね。
 こっそりスマホで写真撮ってたけど。寝たかったし。あの先生当ててこないから、割と寝やすかった。

 すると、魔導黒板がスライドした。そして下にもう1枚現れた。
 魔力の力ってすごい。

「王都の門が二重であり、大きいのはこれが理由という説もあります。壮大さを示すだけでは、コスト的に問題が残るというのもあるでしょうが……1度に大量の荷物を運び、一時的に門と門の間に保管することで———」
と、女性の先生は長々と説明を開始した。入った時、馬車の出入りしやすい形になっているとかなんとか。

 へぇ。ただでかいだけじゃないんだ。逆に、こういうのに意味があるとか思わないでしょ。思わないよね?

 心の中で誰かに問いかけた。こういう問いには答えてくれない私A~D。

 それからも色々話が始まった。
 なんかドリスとエブリスとかいう街があって、そこに1番集中して道が整備されたとかで。
 エブリスは核石を加工するための溶魔石の産出が有名らしい。それを運んできて、いろいろ加工するそう。

 へぇ、そんなんがあったんだー。初耳~。

『この世界に対する興味薄くない?』

 歴史も地理も世界史も、社会系の先生は自分の旅行の話が多い(実体験)。この先生も例に漏れずだ。

 つまり私にとって仮眠の時間だ。
 よろしく、私B。Aは私の体使わせるのは怖いからBで。

『…………ちょっとくらい痛い目見てもらわないと、ね』
『……やめよ?私も痛いのは嫌だから。ね?』
鐘の音に合わせるように設定(?)し、意識を交換した。私Aに口撃されたことは言うまでもない。

———————————————————————

 なんで急に本編に関係なさそうな話になったかというと、この世界についての話を1ミリもしてなかったことに気づいたのでですね。
 まぁ適当なんですけど。
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