魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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11章 魔法少女と精霊の森

356話 魔法少女は神との会合

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 ゲートを潜った。次の景色は緑を感じられる、それでいて開放的などこか安心感さえ芽生える部屋だった。

 でも、でもだ。

 この柔らかな紫の光は一体何処から?
 うんうん、緑や樹々が左右に生えてる。真ん中あたりは少し開けて、1番奥には人影とソファのような物が見える。それだけならまだマシ。
 で、この妖しい夜のお店的な光は何?

「……思ってたのと違うんだけど、もっとこう、神々しい神殿でも建てられてると……」
「正直、わたしもそう思う。」
ベールがこの妖しい雰囲気に苦い表情をしていると、どこからか声がしてくる。ずっと耳に入ってくるような気分で、なんか気持ち悪い。

「会いたかったよぉ、魔法少女ちゃ~ん!」
「わっ、ん゛!」
突然の衝撃。次いで感じたのは凶暴なまでの柔らかな感触。スベスベな2つの果実が私の無きに等しい胸部にぐりぐりともちもちが。

 このスライムのような柔らかさ、このスライムのような肌触り、このスライムのような滑らかな動き!

 これはスライm

『なわけないでしょ。そもそもスライムとは会ったことないし、感触全く違う。百合乃のアレを忘れた?』

 忘れてないよ!バイクの後ろから隙あらば抱きついてきたあの憎たらしい感触を忘れるとでも?みんな、私には無い物を持ってるよね……

 そもそも気配あった?

 恐る恐る声の主、ブツを押し付けてきている主に目を向ける。

「もしもし、お巡りさん?ここに変質者がいます。」
「酷ぉい。ワタクシは変質者じゃないよぉ?」
やけに間伸びした声、全体的にふっくらはしてるけど、引っ込むところは引っ込んでて出るところはアホみたいに出てる。ものすごい体型だ。

「いや、これは変質者以外の何者でも…….」
指を差す。そこには薄っぺらい布が胸部のごく一部と陰部を隠しているだけの海水浴場でもいないぞとツッコみたくなる装いで……

「ミュール、様……ですか?」
「ベール、そんなはずないよ。神様がこんな露出狂みたいな格好するわけないでs」
「そうよぉ?あなたも可愛い精霊さんねぇ。なでなでしちゃおうかぁ。」
標的はベールに移り変わり、私はようやく解放された。けど、私は嬉しそうにするベールの側で呆然と立ち尽くす。

 え?あれが、神?四神?あれが四神なの?
 霊神って、こんなエrじゃなくて艶かしい感じのキャラなの?もっとエルフみたいな感じで精霊系の頂点に君臨する威厳たっぷりの清楚系美人かと思ったら……

『まさかの露出たっぷりの変態系美人だったなんて、でしょ』

 いや、そんな考え当ててやったぜみたいな雰囲気出しても、私なんだから同じこと思うでしょそりゃ。

 いつも厳しい私に対し、やり返してやった私。気分がいい。わけではなかった。


 そして数分に渡るベール愛での時間は終わり、ようやく仕切り直しとなった。
 霊神がソファに座り込むと、「こっちにおいでぇ」と手招きをしてきていた。

「早く行くのよ!ミュール様が呼んでるじゃない!」
いつも以上にウッキウキだ。ふんすっと鼻息を立てて、ベールは素早く近寄る。

「素直で可愛いわぁ~。」
にっこり微笑む。そしてこっちに視線を飛ばしてくる。

「あの、何か?」
「こっちの子は初めましてだけどぉ、魔法少女ちゃんは初めましてじゃないんだよねぇ。んふふ~、まぁわたくしが一方的に知ってるだけなんだけどぉ。」
「えっ、私そんな神と接点あったの?私神に好かれる体質?」
「そんな体質ないわよぉ。ただ魔法少女ちゃんから来てるだけでしょー?」
感情が掴みづらい。ケラケラと笑って、ベールをまた撫で始める。

 いつ会った?会ったことない、よね。

「ほらほら~、あの薄暗いお店でぇ、よくロングコートを買ってたよねぇ。」
「…………まさか、新人の子?」
「そうだよー?」
話が終わると、話をすると言うので仕方なくソファの前にベールと一緒に立つ。

「まずはぁ、おめでとう。ワタクシがいる神試戦を勝ち抜けたのはぁ、2人で2回目なのよぉ?すごいわぁ。」

「あ、1人目はいるんだ。」
「そんなすごい精霊、わたしたちの街にいるの?」
ベールも疑わしそうにしている。

「ほらぁ、今はこの街の長をしてるっていう子ぉ。エスタールちゃんよぉ。いつもは任せてるんだけどぉ、今回は楽しそうだから戻ってきちゃったぁ!」
んふふ、と嬉しそうに笑みをこぼす。その度に揺れる双丘はお子様方の情操教育に悪いと思うので即刻排除してもらいたい。

 でも、あの長の精霊、そんなにすごい人だったんだ。ベールの話だとただの酔っぱらいにしか聞こえないけど。

 ふと隣を見ると、ベールが目を見開いている。

「あ、あの、酔っ払いが……」
手がわなわなと震え、帰ったら謝るわ……なんて小声で口にしていた。そんなに霊神が大切なんだろうか。

「じゃあねぇ、早速だけど勝利記念の力を授けるわぁ。そっちの子は、レンちゃんと元龍神って人の力を感じるわねぇ。わたくし、少し奮発しちゃおうかしらっ!」
本当に楽しそうだ。一挙手一投足に目が奪われ、その間の抜けた声には何か抵抗する気を失せさせる精神攻撃的なものを感じる。

 確かに、これは神かもしれないね。戦おうって気がまずしない。

「最後に!お願いを、聞いて、くれませんか?ミュール様。」
声が思ったより出たのか、後半恥ずかしそうにもじもじと喋り出した。

「いいわよぉ。何をして欲しい?」
「その、あの、褒めて、欲しいの。そうしたら、自分を信じられる気がして……」
「よくやったわねぇ、フランベールちゃん。」
ベールの目が大きく開かれた。霊神の頬に、ベールの体を密着させた。そして甘い言葉を囁く。

「フランベールちゃんはぁ、フランベールちゃんのままでいいのよぉ?どんなにカッコ悪くても、それを認めるのがぁ、カッコ良さなの。心の持ちようはぁ、ゆっくり変えていけばいいのよぉ?それが、フランベールちゃんなんだからぁ。ここには、頑張った子しか来られないのよぉ?」
「———ありがとう、ミュール様。」
憧れの霊神に励まされ、感極まったのか一筋の涙を流す。それを小指で拭いとる霊神。かっこいいお姉さんだ。

「2人ともぉ、目を瞑ってちょうだい。今からぁ、力を授けるからぁ。」

「う、うん。できれば使いやすいのでお願い。」
「わたしは、なんだっていいの。ミュール様と話せただけで一生の宝物よ!」
促されるままその場に片膝をつき、目を伏せた。霊神が立ち上がる音が聞こえ、温もりを感じた。

「———ワタクシの子たち、愛しい君へ。望むものを与えたもう。祈り、願い、捧げよ。この胸に抱かれ、今は心地よく眠りなさい。」
なさい、なさい、なさい……と、声が反響して聞こえ……次第に強烈な眠気を感じて意識を失った。

「どうか、愛しい2人が幸せな道を歩めるよう。フランベールちゃんが、自信を持って歩けるよう。魔法少女ちゃんが、ワタクシたち四神の重荷に、潰されてしまわぬよう。ワタクシは、心から願うわ。」
たった1人になったこの空間で、霊神ミュールは空を見上げて独りごつ。

—————————

 目が覚めると、地面が冷たく硬いことに気がつく。今は神試戦中だと思い出し、にっくき双丘もまた思い出す。

「ベール、起きて。もう神試戦は終わったよ。」
周りを見ると骨組みの機械が落ちている。最初の部屋と分かり、安心してベールの体を指で揺らす。

「ん、ん……ミュール、様は……?」
「もういないよ。力の確認はまた後にして、早く出るよ。みんな待ってると思うし。」
「そう、よね。」
いつも通り左肩を差し出すと、ベールは羽を動かして1人で宙に浮かんだ。そして、私より先に進み出す。

 ベールのヒロインは霊神かぁ。なんともレアなヒロインだ。

 そんな謎な思考を働かせる自分に肩をすくめ、ベールの後を追った。

———————————————————————

 今章もそろそろ終盤です。
 霊神は実はいい奴パターン入りました。これで分かりましたね、本当に創滅神打倒を目指して頑張っていたのは元龍神とそれを引き継ぐ現龍神(今はそれどころじゃない)だねということです。

 人神は自由に生きれればいい。手出しはしない。魔神はもしめんどくなったら怠いから城ごと別世界にでも行こうかと思っている。誰もまともに創滅神を相手にはしてないってことですね。

 まぁ後々空と関わる理由付けはしますけど。
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