魔法最弱の世界で魔法少女に転生する〜魔法少女はチート魔導士?〜

東雲ノノメ

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11章 魔法少女と精霊の森

344話 魔法少女は会場入り

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 神試戦3人目。

 1人目と2人目はそれぞれ最初の、3人の精霊チーム、遠距離ネチネチ攻撃精霊に負けた。

 3人目がようやく最初を突破し、2回目3回目とさながら試練に挑むかのように進めていく。

「次の方ー、番号札4番の方ー、準備お願いしまーす!」
そのあたりで、受付にいた精霊が声を張って次を呼んだ。効率よく進められてるのは、何年もやってるからなのかなと思いつつ、目の前の画面に目を戻す。

「あの精霊、頑張るのね……」
「素直に応援しようよ。」
まだ挑戦してもないのに、悔しそうに眉の筋肉に力が掛かるベール。それをなんとか鎮める。

 この感じ、多分脱落形式なのは1番最初と最後だと思う。何度的に、観た感じはちょうどいい敵を配置してた。
 つまり、最初に全体能力、あとは細々と補っていく。そう言う順番だと思う。

「手加減で勝てそうかな。」
「いけるんじゃない?」
「できるだけ体力は使いたくないし、精霊術とかの問題で。」
映像では今、紅髪の大人精霊さんがアスレチックみたいなのに挑戦してる。

 あと、緊迫感を伝えるためかマイクとHPゲージがある。緑ゲージ、これがなくなるとおしまいみたいだ。
 最初を突破できれば、大抵のことがなければなくならないと思うけd

『ぇ…………っ!』
足を滑らせた。突然、足場が傾いていた。『~~~~ッ!』と言う悲痛な叫びが聞こえ、話によると痛みはないらしいけど擬似的とはいえ死亡シーンはなかなか見苦しい。周りを見ると、目を少し手で覆ってる人もいる。

 結構困難な道だね。私の羽で飛べればいいけど。

 あの精霊さんは、大人形態になるために力を注いで羽がなかったけど。
 羽を取るか動きやすさを取るか。難しい問題の末その答えが命取りになった。

「これは私もよく考えて行動しないとね。」
「できるだけ温存で行くの?」
「いや、危なくなったら私は使う。ベールも守るから、基準は緩めだけど。」
4番目の精霊さんが会場に出てきた。さっき精霊さんは、地下階段を上って戻ってきた。

『う~……ん、惜しかったぁー!次の精霊は~準備をお願いしまーす。』
未だ現れないこの街の長は、途中で酒を飲んでいた気がする。気にしてもあれなので、特に気にしない方向だ。

 郷に入っては郷に従え、みんなが気にしないなら気にしないよ。
 目の前に見える人間3人組はまだ神試戦の一挙手一投足を珍しそうに観てるけど。

「……わたしたち、次よね。」
「もうちょっと観戦できるんじゃない?ってか、したい。まだ違和感が……」
そう言おうとしたところで、受付の「お次の方ー」という声が聞こえる。ベールが「はいはーい」と返事をし、私のワンピースの袖を引っ張っていく。無理矢理引っ張られたことで、左腕の袖の部分が宙を舞い、一瞬席の精霊達に見られた気がする。

 最初にあれを入れるなら、途中ってどういう意味があるんだろう。
 私、予想立てられる?

『私が分からないのに分離思考の私達が分かると思う?』

 分からないよねそうですよね!そりゃあ思考はひとつだもんね、結局のところ!

 やけになってると、段々考えるのがバカらしくなってきた。ぶっつけ本番でいいんじゃないかと思えてきた。

『我ながらバカでしょ』
そんな声は、頭に入らなかった。

「あ、こっちからでも見えるんだ。」
受付の人に案内されてやってきたのは、階段のある会場へと続く道、闘技場でいうと待機部屋と繋がってる感じのあそこ。師匠が背中を壁にもたれさせて、「ぶちかましてこい」とか言いそうな場所。

『いやどんな場所だよ』

「なんか緊張で変な汗が出てきたわよ……あんたは?」
「まぁ、武者震いみたいなのは。」
軽く笑い返事をし、画面を見た。今度は何も考えずに観戦に徹した。

「あ、やられた。」
「早っ。」
映像を見ると、そこには短剣を突き刺された精霊さんの姿が。結構早めに終わった。

 もう私達の番かぁ。5番目だからそりゃ早いか。
 ま、早くできるにこしたことはない。まだ情報は少ないけど、行けるよね。

『いや~残念っ!んっ、ん……ふぅ、惜しい!』
酒を2回ぐらい煽った気がするけど、もう無視だ。

『ではお次精霊は~こちらぁ!コンビでしゅっ!』
そして私達は、紹介された通りに会場入りした。許されてはいるけど普段はいないのか、客席が盛り上がる。

「じゃあ、行こうか。」
「足引っ張んないでよね。」
ベールが私の肩に乗り、そのまま階段を降りていった。歩いた瞬間にライトがパパパッと一気に灯り、どういう原理だと不思議に思う。

『こんなんファンタジーなんだから割り切ればいいんだって』
『私よ、それは早計だ』
『ある程度注意すればいいと思うよー?』
『話を一旦まとめない?口々に言われても……』

『いや、ここはロジカルシンキングに論理的に……』
『フィジカルにキャトルミューティレーションしてディスカッションするんだよ』
『何1つ意味が通ってない!ネタにすらなってないよそれ!』

 不安感が増幅する中、私達の議論は謎の方向に加速していった。

—————————

 王都のとある宿にて、白髪の少女が黒髪ボブの少女に手を振っていた。

 ここ、人間の世界と精霊の森には大きく乱れが存在する。魔力を遮断し原素で満たされた空間だ。それなりの繋がりを切られている。

 つまり、時間差が生まれているということだ。
 
 精霊の森では4日だが、こっちではもう8日。夏は後半に差し掛かり、秋がもう目と鼻の先だ。

「寂しくなりますね……わたしは空の帰りを1人で待ってますので、学園、楽しむんですよ。」
「分かってますよ、ユリノさん。私も、最後に挨拶できないのが寂しいですが、頑張ります。」
白髪の少女、フェルネールは薄く微笑み玄関を出た。

「空、今何してるんです?」
もうずっとまともに話せていない状況に、胸を締めつられる感覚だった。

 今の百合乃には全く空成分が足りていない。尊値が圧倒的に不足している。やる気が全くと言っていいほどない。冒険者なんてしていられないくらいの気の抜けようだ。
 手持ちには空が渡してくれたまぁまぁなお金。

「早く帰ってきてくれないです……?」

—————————

 一方、宿を出ていったネルは、学園の女子寮へと向かっていた。
 荷物はもう運ばれており、あとは自身が寮に入るだけ。

 早めに寮に入る理由は、あらかじめ交流を作っておくことや、ルールを事前に把握しろという意図がある。
 ここで何もせず寝て時間を待とうものなら、学園についていけずにそのまま退学コースだ。

 ここで好成績を修める先輩をみかたにつけられたら、今後有利に働く。
 この学園のように、正攻法では難しいものには必ず抜け道があり、それを発見できるかが鍵となる。

 他人から聞いたとしても、それは立派な力だ。交渉能力という点での評価は得られる。
 表向きには超難関と知られる学園も、裏ではまた別の争いもある。

 ネルはそんな争いに巻き込まれたくはない。まず、試験の日に知り合った国王の娘、セリアスと合流し、人間関係に強い、顔のよく効く先輩の懐に入ろうと決断した。

 圧倒的な力を持つ孤高の人に寄り縋るのもいいが、それは難しい上あまり役には立たない。目先のレッテルに騙されてはいけない。
 学園という同年齢の少年少女が閉鎖空間に入れられ、1番厄介なのは人間関係だ。

 イジメはやめましょう、みんな仲良く、なんていう綺麗事はゴミだ。
 そんな綺麗な政治がこの世にあるのか。内戦なんてものがある中、そのイジメすら糧なのだ。

 それを起こすのも、止めるのも簡単なのが顔の広い人間。しかし、こちらが打算に塗れているということは向こうも同じ。取り入るなら、なにかメリットが必要だ。
 それがパズールの領主の娘、そしてこの国の王女という肩書きだ。この2人が協力をし、頼んできて断る馬鹿はいないだろう。

「一緒に卒業しましょうね、ネル。」
「お優しいですね。もしものことがあれば、頼らせていただきます、セリアス様。」
「様はいらないと言っているでしょう?」
「いえ、王女様ですから。セリアス様が許そうとも国が許しませんよ。」
「そうですか……なら、一緒に国でも変えてみますか?」
「ふふっ。面白そうですね。」
互いに不適な笑みを浮かべ、寮の廊下を歩いていた。

 一体彼女らは12歳にしてどの道を歩もうとしているのだろうか。

———————————————————————

 急に別の戦いが始まってました。
 学園での命は賭けないけどそれ以上にやばい戦いと、普通に自分の体使ってやる戦い。

 ちなみに、今回も前回と同じくポプテ○ピック観ながら書きました。
 山寺宏一さんがいい仕事してましたね。
 ヘルスをシェイクする男、ヘル○ェイク矢野じゃ!


 皆様新年明けましておめでとうございます!これからも執筆を励んでいきます!
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